小説/本文

小説/本文

[小説]素敵な恋の忘れ方(1)

「ま、マジで告ったんかお前」 翌日。湧木から話を聞かされた遠山 満は驚いて口から煙草を落としかけた。 「なんでそんなに驚くんッスか?頑張ってみればー?って言ったのまん部長じゃないッスか」 「あ、ああ…そいえば言ったっけか?まあいいや。んで沙...
小説/本文

[小説]素敵な恋の忘れ方(プロローグ)

隅から隅まで目を通し、チェックを入れ、印鑑を押す。 一枚、また一枚と重ねられてゆく書類。 事業企画部の蔵石沙織は、果てしない山のような書類に埋もれていた。 「いやー、やっぱ月末はしんどいなぁー」 二人分のお茶を片手に、湧木廉太郎がやれやれと...
小説/本文

[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様(終)

数日後、国際部。 骨折が治っていないリーザは、車椅子で出社した。 本当はもう少し安静にしていなければならないのだが、 仕事に迷惑を掛けたくないし、両手は動くので、少しでも仕事がしたいと希望したのだった。 「白鳥部長。本当に、ご迷惑をお掛けし...
小説/本文

[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様(3)

「もう、誰も信じられん。信じられるのは自分だけだ。 だがもう、自分が自分でいることすらも、疲れた……」 「何もかも放り出したかった。なくしてしまいたかった。ゼロになりたかった。 だがその時はまだ死ぬ勇気はなかった。いっそ何もわからない土地で...
小説/本文

[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様(2)

「へぇ、それじゃあリーザさん、記憶が戻ったんだ」 昼休み。 みはるから、昨日の出来事を伝えられた橘は感心する。 だが、みはるの表情は何やら複雑そうだ。 「そうなんだけどねぇ~…」 「ん?何か問題でもあったの?」 「……リーザ様、前にパノスく...
小説/本文

[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様(1)

「別にいいんじゃないの?」 やや深刻そうに相談に乗ってきた夜半に対し、なんてことないと言った感じで軽く返す奈津恵。 「えらくあっさり返すねぇ。本当にいいの?」 「だってなくした記憶が戻るわけでしょう?こんな良いことってないじゃない。 何か不...
小説/本文

[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様(プロローグ)

毎年恒例、4月の大規模人事異動を終え。 国際部では、産休に入る大島椎子の穴埋めとして、 多彩な言語を使いこなせることから営業部のフレスリーザ・レオンハルト… …通称リーザ(様)が異動、配属された。 だが。 「白鳥部長、今日はDVDの白菜がペ...
小説/本文

[小説]最期の恋(終)

雲一つなく、厳しい太陽の光が照らす、夏空の下。 会社の屋上公園のフェンスの前に、汗一つかかず涼しげにたたずんでいるのは… 「白鳥部長、ここにいらっしゃったんですね。……あつく、ないんですか?」 社員食堂が、珍客……赤ん坊の雪彦を前に賑わって...
小説/本文

[小説]最期の恋(5)

”グォアアアアアア…!! ” 転ばされた『雪男』は、視線を夜半に向け、怒りを露わにした。 まずはお前から食ってやると言わんばかりに、抱きかかえていた恵莉を手元から落とした。 「ぅお…っ!」 すかさず浪路が駆け寄り、抱えて木陰へと運び出す。 ...
小説/本文

[小説]最期の恋(4)

「おはよう」 三日間、突然の欠勤をしていた夜半が国際部に顔を出した。 「あら部長♪三日も休んでどうしたんです?お布団から出れなくなったんですか?」 休んでいた事を特に気にもせずに椎子が問う。 「いやちょっと出かけててね。これお土産」 そう言...