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[小説]Illusion Night(後編)

数日後、午後6時。 終業時間を1時間ほど過ぎた頃である。 そしてまた、いつもの威勢の良い声と共に開発研究室の別館に現れる沙織。 「やっほー久我さんっ!こないだの資料返しに来たよーっ!」 その威勢の良い声にびくつく様に、おどおどとした感じで上...
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[小説]Illusion Night(前編)

「こんちわーーっス!久我さんいる?」 突如、威勢の良い声と共に開発研究室の別館に現れたのは。 同じ会社の事業企画部の蔵石沙織であった。 室内に飛び込んできた沙織の顔を見るなり、 桐島上総は何かを思い出したかのように、ハッとする。 「あ、あれ...
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[小説]Illusion Night

久我恭一郎を訪ね、開発研究室に訪れた沙織は、そこで上総と出会う。 しかし上総は、以前から何故か沙織を避けており、沙織はここぞとばかりにそのことを問い詰めるが… これは、桐島上総・沙織夫妻がまだ交際していない頃の過去の物語です。 【登場人物】...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(終)

ハリーと眞妃の入籍の経緯はこうだった。 遡ること、数日前… 二人が再会し、お互いの気持ちを確かめ合ったあの日。 ハリーのマンションでそのまま一夜を明かした眞妃は、 彼からある提案を告げられた。 「…眞妃ちゃん、ものは相談なんだけど。」 「『...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(4)

2日後……会社帰り。 眞妃は再び、『主の居ないマンション』へ、足を運んでいた。 だが…来たところで、自分を出迎えてくれる主人は、もういない。 眞妃の心の内を表すかのように、今日はものすごい土砂降りであった。 (……別れた日も、確かすごい雨だ...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(3)

数日後の週末には、ハリーの送別会が盛大に行われた。 彼の人徳もあってか、社員のほとんどが出席する大送別会となった。 だが…その中に、眞妃の姿は無かった。 終業後に開催されていた送別会の最中、眞妃は、 皆の誘いをさらりとかわし、早々と帰宅して...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(2)

次の日。 昨日とはうって変わって、いつも通り会社へやって来た、眞妃。 始業時間よりもはるかに早く会社に来るのが、本来の彼女の日常なのである。 何故か日の出と共に会社へ来る中原幹雄には劣るが… 眞妃は、昨日からハリーに言われた言葉を、頭の中で...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(1)

そんな桜の季節から、数週間が過ぎ…。 6月に入ったばかりの、雨の日の朝。 社内では、ハリーが会社を辞める、という噂が少なからず飛び交っていた。 だがハリーは否定も肯定もせず、いつものように明るく振る舞う。 そんなハリーを見るたびに、唯一事情...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(プロローグ)

それは、桜が満開な季節の、良い天気の午後のことだった。 「…ああもう…社長も人使いが荒いなぁ……」 大島 橘は、先般社長に依頼されていた書類を 両腕に山ほど抱え、社長室へと向かっていた。 橘は4月から、購買部の主任へと昇進したばかり。 だが...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る

ハインリヒ=明=相原(ハリーちゃん)が退社する?そんな噂が流れ始めているねぎ秘密結社内。 そして、それを知らされた元恋人・成沢眞妃は…? ハリマキ(ハリー×眞妃)小説完結編。 これは、成沢 明・眞妃夫妻がまだ交際していない頃の過去の物語です...