[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様(終)

小説/本文

数日後、国際部。

骨折が治っていないリーザは、車椅子で出社した。
本当はもう少し安静にしていなければならないのだが、
仕事に迷惑を掛けたくないし、両手は動くので、少しでも仕事がしたいと希望したのだった。

「白鳥部長。本当に、ご迷惑をお掛けしました」
車椅子のまま、リーザは深々と頭を下げる。
「とにかく、無事で良かったよ。逆に飛び降りを阻止できなかったこっちが謝りたいくらいだ。
……それと、『あっち』の人格と上手く話がついたようだね。見事な日本語だよ」

「ほんと、こないだまであのめちゃくちゃな日本語話してたのが嘘みたいですね。
これでリーザさんにだけ外国語で話す手間がなくなりますね」

東京タワーでの爆発事件は、爆発の規模の割には被害は少なく、
怪我人も、煙を少し吸って気分を悪くした程度のものであった。
犯人も無事捕まっている。
連日の”サプライズイベント”に浮き足立っていた都民も、
便乗犯の出現により危機感を思い出し、自己防衛に努めることであろう。

「ところで白鳥部長、僕に魔導を教えてください!」
「は?」
思いもよらぬ突然の弟子志願に、夜半は目を丸くする。
「記憶を取り戻して、僕が魔導師だったことも思い出しましたけど、
もっともっと色々覚えてみたいんです!」

前向きに目をきらきらさせるリーザ。
「嫌だよ面倒くさい。というか出社したんなら溜まってる仕事に少しでも手をつけなさい。俺は寝る」
「寝ないで下さい~!」
机に顔を伏してしまった夜半を必死に揺さぶるリーザ。

「魔法使い二人かぁ…国際部がファンタジーな世界になっていくよ…怖いねぇ、ビビアン」
「君だって相当ファンタジーしてるじゃないか」

寝ていてもツッコミは欠かさない夜半であった。

END

タイトルとURLをコピーしました