[NEWS] 恐怖の新人研修・3 照美ちゃんの理想

○刊ねぎ秘密結社ニュース

(大空が氷雨にフルボッコにされてたその頃……
照美は鏡に囲まれた一室に倒れていた。)

 

照美:い……痛たたた……なんて荒っぽい研修なのかしら……
これでもあたしは部長なのよ!?そ
れに、怪我したら労災認定されるんでしょうね!?

久我:”フフフフフ……ようこそ、照美君。 ”

照美:その声は久我室長!随分と荒っぽいマネしてくれたわね!!!
ましてか弱い女の子のこの私に!!! とっととここから出しなさいよこのハゲ!

久我:”わ、私はハゲてなどいな――――――い!! ”

照美:新人だけど、あたしはこの会社の幹部として選ばれた誇りと自信はあるし、
たとえキャリアは違っても立場は貴方と同等だとも思ってる!

久我:”お、落ち着きたまえ照美君…… ”

照美:それを同等の立場である貴方に、
何でこんな試されるようなことされなきゃいけないの!?

それに同期入社の白鳥部長は無条件免除って、何よそれ!?
あたしは部長として認めてないってこと!?

久我:”白鳥君は……まあ理由は追々説明するから……というか彼が来ると…… ”

照美:~~~~~ああもうっ!!! イラつくわね!!!! いいわよもう!!!!
矢でも鉄砲でもなんでも持ってきなさいよ!!!
あたしの部長としての誇り、見せてあげるわ!!!

久我:”矢でも鉄砲でも、って……そんな手荒な真似、
「ただの」人間の女性である君にはしないさ……フフフフ ”

照美:………前口上はいいからとっととやんなさいよ。
あとここ脱出したら貴方をフルボッコにするの決定ね。
そのヒトを見下した根性、
細胞レベルから叩き直してやるから。
まず水晶球で後頭部ぶん殴るから覚悟しときなさいよ。

久我:”(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル
(なんでねぎ社の幹部女性は誰も彼もこう怖いのだ!?)
……ま、まぁいい。ならばお言葉どおりやらせてもらおう………はぁっ!!! ”

 ピカッ!!!!

照美:きゃぁっ!? 眩し……っ!?

久我:”フフフフフ……これで良し……後は『彼女』に任せるとするか…… ”

照美:え……?何なの……!?
何も起こらないじゃない!バカにしてるの!?待ちなさいよ!!

??:ごきげんよう。久我室長なら他のアトラクションの様子を見に行きました。
貴女のお相手は、この私がしますわよ。

照美:誰!? ………って、ええええええええ!!??

(気がつくと照美から少し離れた隣に、ものすごい美女が立っている。
同じ髪色に同じ声。そして何より照美の気にしている外見的短所を全てカバーした外見。)

照美:な……何なの……!? あたしがいつも頭の中で理想としてた女性像のまんまが、
飛び出してきたような……誰よ、貴女!!!

偽照美:私は、貴女ですわよ?私も、南十字照美です。
……ただし、貴女より背は高いし、貴女より胸は大きいし、貴女より美しいし
貴女よりも年相応に見えますし、貴女が本当は着こなしてみたいと思っている
ふりふりレースにリボンのついたドレスもこの通りエレガントに着こなしますわよ。

照美:ム、ムカつくわね……同じ私なのに私が気にしてるところ…理想としてるものを
全て持ち合わせてるとか……何の嫌味なわけ!?

偽照美:久我室長の頭脳を持ってすれば、このように理想の自分になるのは容易いこと。
……ねえ?南十字照美さん。
私のような姿に、なってみたいんでしょう?すぐなれますわよ。

照美:そりゃなりたいけど……理想に近づくために日々努力はしてるし。

偽照美:そんな努力なんて、バカバカしくなってきますわよ。
……どう?取引しません?

照美:何よ、取引って。

偽照美:久我室長は裏で某ライバル会社と繋がってるの。
で、貴女にもこちら側に付いてもらいたいの。

照美:あたしに、会社を裏切れと?

偽照美:久我室長はああ言ってるけど、貴女のことは高評価してますわよ。
ちなみに、某ライバル会社では常務取締役のイスを用意してるわ。
常務のイス……そしてこの完璧なる美貌!貴女にこの二つをプレゼントしますわ。

照美:(‘A`)くだらねぇ

偽照美:!?

照美:理想の自分ってのは、自分の力で手に入れなきゃ、何の意味もないわよ!
そんな胡散臭いネタであたしを釣ろうなんて、甘い、甘すぎるわね!!

偽照美:胡散臭いだなんて…
貴女も、久我室長の技術の素晴らしさは目の当たりにしてるでしょう?

あのお方の技術は、胡散臭くも何もない、本物ですわよ?

照美:技術がどーたらこーたらとか、関係ないの!! バッカじゃないの!?
確かにアンタはあたしの理想かもしれないけどね、
本当にその姿になりたいとでも思ってんの?

偽照美:え……!?

照美:むしろあたしにとって理想なんてね、永遠に死ぬまで理想のまんまで構わないわけよ。
理想を追い求めてる間が、一番楽しいんだから。
それを手に入れたら、そこで終わっちゃうのよ。

だから、魔法の力も科学の力もなんにも頼らない。
努力してる今の自分が一番好きなんだから。他の何にもなりたくないわ。
あと、あたしを部長として認めてくれた会社のことも、
そう簡単に裏切ったりしないわよ。

……わかったら、とっとと消えなさい、偽者!!!

久我:”フフフフフ……お見事。まあ君にとっては簡単なトラップだったかね…… ”

照美:ふん。あたしを誘惑で釣ろうってのが間違ってるわよ。
もうちょっと人を見て仕掛けた方がいいわよ。

それに、どーせ貴方が某ライバル会社と繋がってるなんてのも、ウソなんでしょ。
貴方がこの会社に来た経緯なんて、
部長に任命された時に事前知識として聞かされたわよ。

久我:”まぁ、私が某ラ社に行くことは、まず無いだろうねぇ…フフフフフ… ”

照美:ところで、合格なんでしょ。とっととここから出しなさいよ。

久我:”(ぎくっ)……お、怒らないかい? ”

照美:結果はどうであれ貴方のことは殴るわよ^^

久我:”(((((((( ;゚Д゚))))))))ヒィィィィィィ ”

 

 

(続く)

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