[NEWS]人間嫌いvs人間嫌い

○刊ねぎ秘密結社ニュース

奈津恵:―――――と、いうわけで、今年の社内スポーツ大会について広く意見を集めることにしましたので、まずはアンケート用紙を各部署に配布して……(以下延々と説明)

 

氷雨:(はぁ。なんで私がスポーツ大会の役員なんて…あみだクジで決めたみたいだから、クジ運悪かったんだなぁ………それに………)

梧:…………(←同じくあみたクジで抜擢されたスポーツ大会役員)

氷雨:だし。しかも知らない人だし。目がずっと笑ってて何考えてるかわかんないし。ああ嫌だ……)

梧:アンケート用紙、重たいでしょう?僕が全部持とうか。

氷雨:! べっ別にこのくらいなんともないですし。っていうかいきなり話しかけないでください。あと私に近づかないでください。

梧:………ふーん、ずいぶんと、警戒心強いというか、それらを通り越して失礼というか。ふふ

氷雨:(なにこの……完全に人を見下すような、嘲笑うような……嫌な感じ

梧:えっと、朝霧……さん、だっけ?さっき瀬上部長からそう呼ばれてたよね。
同じ部署の古屋さんから話は聞いたことあるけど、妖怪なんでしょ。

氷雨:……その言い方やめてもらえますか?

梧:なんで?間違ってないでしょ。

氷雨:私は雪女族という、人間よりも優秀で誇り高い種族です。他のあやかしと一緒にされるのはあまりいい気分ではないです。

梧:……………ふっ、あははははは

氷雨:なに、笑ってるんですか。

梧:ふふ……いやぁ、人間たちが勤める会社で働きながら、人間社会で暮らしてるのに、人間よりも優秀で誇り高いとか。
君、もうちょっと人間社会での立ち回りの仕方を見直した方がいいと思うよ。

氷雨:………さっきから、あなた、ほんっっっと嫌な感じですね。別に愛想良くしろとは言わないですけど、なんなんですか?

梧:いやいや、覚えてる?先に塩対応してきたのは、君の方だよ。
僕は単に、砂糖には砂糖、塩には塩で対応したまで。

氷雨:~~~~~~~(ぐうの音も出ない)

梧:古屋さんから君…雪女族の話を聞いた時、ちょっと調べたけど。
雪女族の女って、人間の男を虜にして最後には食べちゃうんでしょ。怖いね。
君も人間の男を食べたりするの?

氷雨:わっ……私は、別に……

梧:いずれは、青木くんも食べるつもりなのかな?(※付き合ってることをふるやんから聞いたらしい)

氷雨:そっ……そんなことしません!!!

梧:人間を食料にする種族なんて、最初から人間に嫌われて然りなのに、そんなんじゃ人間社会じゃやっていけないんじゃない?
青木くんだって内心、どう思ってるかわからないよ?

氷雨:あ……青木さんは、そんな人じゃ……ありませんしっ。
(なんなの……この人、怖い……

梧:青木くんだけは特別、ってわけか。……でもね、人間なんてホント、笑顔の裏で内心どんなドス黒いこと考えてるか、わからないよ?
そんな、相手の事を何も知らないのに、いきなり相手を怒らせるような態度を取るのは、得策じゃないよ。

氷雨:別にっ、青木さん以外の人と慣れあおうなんて気、ないですし……

梧:慣れあうの対義語は拒絶だけじゃないよ。嫌いなら嫌いなままで結構だけど、どうせなら自分にとって得になるよう、とことん利用してやるくらいに考えたら?
……少なくとも、僕はそうしてる。

氷雨:………!

梧:僕は人間だけど、…ちょっと色々あって、人間の負の感情は今まで山ほど見てきたから、人間は大嫌いだよ。
でも結局、人はひとりじゃ生きていけない。なら適当に愛想振りまいて、使えるところで使って、いらなくなったら捨てればいい。

氷雨:…………(あっけ)

梧:なんてこと考えてるんだ、って顔してるね。

氷雨:……いえ、あなたみたいな人を……腹黒いって言うんでしょうね。

梧:あははは、よく言われる。でも本当に腹黒い人は、こんなこと口に出して言わないよ。

氷雨:なら、なぜ私に話したんですか?

梧:君が僕を嫌ってるからだよ。別に、嫌われてる相手に話したって、これ以上嫌われても別になんの損もないしね。
あと…………いや、なんでもない。

氷雨:? なんだか、気になりますね…。

梧:ホント、それだけだよ。……あぁそれと、妖怪だなんて言って、ごめんね。
異種族なんて、人間側からみた名称ばかりで、そっちから見たら人間だって十分に「妖怪」なのにね。

氷雨:………あなた、本当に人間なんです………?

梧:人間だよ。……ただし、人間の事をひとつも信用してない、ってだけのね。

 

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