湧木:えーとまずコレを数滴混ぜて……80度に保ったまま5分間熱する。その後この混合液を…
(ブツブツ言いながら手早く材料を混ぜていく)
アラウネ:あら、廉太郎さん。とっても熱心に作業しておられますね♥
湧木:ああ、アラウネねーさん。コレは、久我しつちょーに色々ご教授いただいて作ってみた、いわば僕の発明デビュー品っスよ!
アラウネ:まぁぁあ!素晴らしいです!……そういえば廉太郎様は、当初はこの開発研究室所属ではなく、お手伝いみたいな立場でここにいらしたと、耳にしていましたが。
湧木:そういえばそーだったっスねぇ~。当初はなんの知識もなく、ただ人手が足りないから、って理由で放り込まれたんっスよ。
アラウネ:そんな、いわば素人のような身から、恭一郎様からの御教授を得て立派な研究員へとご成長なされて…ここまでの廉太郎様の並々ならぬ努力の成果か、もしくは元々ご天才であられたか…とにかく、素晴らしいのです♥
湧木:いやいやいや(大照れ)ねーさん褒めすぎですって!最初はなんかワケわかんなかったけど、お仕事手伝ってるうちにだんだん楽しくなってきちゃって。自分で勉強したりもして、結局腰掛け在籍から本所属できるようにお願いしちゃいましたしね~!
アラウネ:やはり、自ら努力を重ねていらしたのですね…!私も、廉太郎様を見習って、もっと恭一郎様のお力になれるような研究員を目指したいです!
…ところで、一体なにをお作りになられてるのですか?
湧木:あぁ、これは……
上総:(ぼそ)別に君がいなくとも、久我博士の助手は僕がいれば十分だったはずなんですけどね
湧木:(ぴくっ)おや、これはこれは桐島主任。ギリ僕の耳に入る小声での嫌味のご挨拶、どうも。
上総:ご苦労様です、湧木君。…別に、君の事を言ったとは、誰も言っていませんが?
湧木:えー?じゃあアラウネねーさんに対して言ったとか?今ここには僕ら3人しかいませんしね~?酷い主任ですよね~~~ねぇアラウネねーさん?
アラウネ:え、なんのことですか?廉太郎様(上総の嫌味は聞こえていない、たぶん)
上総:アラウネさんにそんな事を言うはずないでしょう。まあ、身に覚えがあるというのなら、僕は何も言いませんが
湧木:身に覚えがあろうとなかろうと、主任が僕に対して僕が喜ぶような事を言ったことなんてタダの一度もないですしねー?
上総:どうして僕が君が喜ぶような事を言わなければならないんですか
アラウネ:もぉぉ~!お二人とも!どうしてそう、いつもケンカ腰のお話しかできないんですかっ!
湧木:だって主任は僕のこと大嫌いですしねー?
上総:君が僕の事を大嫌い、の間違いじゃないですかね?
湧木:まっ、お世辞にも好きとは言えないかもしれないですけどねー
アラウネ:……………(ぽろぽろぽろぽろ) ←泣き出す
上総・湧木:!!!??
アラウネ:……もうっ、お二方とも……争いからは、何も生まないんです……これ以上の争いは、おやめくださいっ……!!!
上総:あ、アラウネさん…!そんな、泣く程のことでは……!
湧木:そ、そうっスよ…!こんなのただのちょっと毒の効いたジョークというかトークというかっ!
アラウネ:お二方がそうやって諍い合うのも、きっと私が至らぬところがあるせいなのかも…!!!
上総・湧木:いやいやいや、アラウネ[さん/ねーさん]関係ないし!!!!
アラウネ:(聞いてない)私が、この開発研究室の雰囲気を良くするための努力を、たゆまぬ努力をっ…!怠っていたせいでっ…!!!
……申し訳ありませんっ!私、少し外で頭を冷やしてきますっ……!!!(突然駆け出す)
(こける)
” ガシャ――――――ン!!! ”
湧木:あぁっ!僕の発明品が!
” びしゃっ!! ”
上総:っ、熱っ!!!!
湧木:うわっ、主任!(上総の顔に熱い薬液がかかったのを見て、さすがに焦る)
さすがに顔にヤケドはヤバい!すぐ冷やして……
上総:…………
湧木:はい冷却タオル!……いくら嫌いな人といえど、僕のせいでケガするのは気分よくないっスしね!
上総:………どうして、君は………
湧木:? さすがに危害加えて喜ぶほど人悪くないっスよ僕は
上総:………とても、優しい人なんだ?こんな意地悪い上司の僕に、そんな温かく手を差し伸べてくれるなんて……神か、いや菩薩か…
湧木:うぇ?桐島主任??
上総:この……心の奥からとめどなく溢れる熱い思い……ずっとずっと、きっと固く封じ込めて仕舞い込んでいた僕の思い……
もう我慢できないっ!! 湧木君!!! 好きだっ!!!!!(ぎゅううううう ←湧木を抱きしめる)
湧木:ぅっぎゃああああああ!!!?? きっっっっっしょ!!!!!
アラウネ:ま、まぁぁあああ♥♥♥ 上総様、一体どうなさったのですか!?(驚きつつもめっちゃ嬉しそう)
湧木:……あー、今主任が顔にかぶった薬、いわゆる惚れ薬だったからっスね……
上総:大好きだ…!大好きだよ湧木君!!!! もう絶対絶対離しませんからねっ!!!
湧木:はい、すいません。今回は僕の負けです。もう許して。もう離して。気持ち悪い~~~~!!!!!!
アラウネ:仲良しになれて、良かったですね♥
湧木:よくない~~~~~!!!!!



