浪路:うあ~~残業で遅くなっちまった……相当待たせちゃったな……
(コンコン!)失礼しまーす……
久我:やあ、浪ちゃん。早かったね。
浪路:いや早くねーだろ21時まわってんぞ!?……って突っ込んでる場合じゃなかった。こんな夜遅くなってゴメン久我さん!
久我:構わんよ。どうせ私はいつも寝るのはまだまだ先だし……
浪路:………いつも何時に寝てんだ?
久我:29時くらいかな……フフフ……
浪路:朝じゃねーか!さすがにもうちょっと寝ろよ!
久我:フフ……フフフ……楽しい研究が続くとどうしても睡眠に時間を割くのが惜しくてね……
浪路:そ、そんな貴重な時間を使わせてまでアレを作ってもらうのは……なんか申し訳ないな……
久我:これも研究の一環だし、全く問題ないよ。
浪路:こないだの花火イベントでうっかり焦がしちゃったからなー…しかも結構派手に。
ネタとしては面白かったけどさすがにダメージでかかったからな。
久我:フフフフフ……アイドルは大変だねぇ……
浪路:いっそバッサリ切ってもいいんだが、それだとただの「俺」だからな……
久我:それはそれで世間と「向こう」がどういう反応するかが、楽しみだがね……フフフ……
浪路:さすがに「こっち」では普通の日常生活送りてーからな……それは避けたいところだ。
さて、久我さん。早速お願いしていいか?
久我:フフフフ……こちらは既に準備万端だよ。さあ、これを飲んでくれたまえ。
(原色バリバリ派手な謎の液体を差し出す)
浪路:うっ……これか……エグい見た目の割に中毒性のある美味しさで油断すると飲みすぎる魔性の薬……
久我:被検体にも気軽に楽しく服用してもらえるように、味にも気を遣っているのさ……フフフ……
浪路:中毒性あるほどにしなくてもいいと思うけどな?
(ごくごくごくごく……)
浪路:はぁ…はぁ…美味しい…も、もっと…いや、ダメだ…これ以上は…我慢我慢……
……うっ!効いてきた……効いてきたぁ……!!!
”ゾワ……ゾゾゾワ……ズズズズズズ……”
-数分後-
浪路:うわ……なんかちょっと飲みすぎたか……? すごい長さ……地毛でななみウィッグ作るためとはいえ、キッツいな……まるで妖怪じゃん。
久我:ガッツリ伸ばした方が、良いウィッグが作れるのではないかね?
浪路:まぁそうだけども……
”ピリリリリリリリッ” ←久我の携帯
久我:もしもし……私だ。………何っ!? それは本当かね!? ちょっと待ってくれたまえ、資料を確認して……(どこかへ走り去ってしまう)
浪路:えっちょっ、久我さん!? 俺この状態で放っておかれても困るんだけど!?
久我:すまない緊急!超緊急の要件なのだ!そこでしばらく待っていてくれたまえ――――――!!
浪路:久我さ――――――ん!?
・
・
・
浪路:あれから何分経った…?全っ然戻ってこねーんだけど久我さん…。
………………トイレ行きてぇ………………
早いトコ刈り取ってもらわねーと身動きとれねーんだが……?
(さらに数十分後)
浪路:……無理、無理無理……もう無理……膀胱炎になるわ……
ここでお漏らしして恥もかきたくねぇ……待ってられるか!!! トイレ行く!!!
・
・
・
英司:は~~~疲れたっ!次のイベントに出すフィギュア造ってたら遅くなっちゃったぞっと!
取引先から超高級で超美味しい干し芋もらったし、恭ちゃんと食べよう!
ってかこの時間に会社にいるの恭ちゃんくらいしかいないしな!いるかなー恭ちゃん!研究室にいなかったからきっと別館かな!
” ……あ――――― ”
英司:!? な……何いまの……声?
” ……あ――――― ”
英司:ま、また……別館の方から?恭ちゃん?……でもちょっと違うような……
(その頃の浪路さん)
浪路:あ―――――もう、何にも見えねぇ……髪踏みまくって歩きにくいし…
あ―――――また踏んだ……トイレどこだよぉぉ……手探りで探すしかねぇ……
英司:まさか幽霊……いやいやいやいや、そんなのうちの古屋くんだけで十分だし……そんな……ねぇ……
浪路:あ――――(また踏んだ……)
英司:!!??
英司:んぎああぁぁああああああ――――!!!
お化けぇぇぇぇぇええええ――――――!!
浪路:!? その声は沢井さ
英司:(金切り声をあげながら一目散に逃げていく)
浪路:そんな逃げないで俺をトイレに誘導してくれー!!