(夜の開発研究室)
夜半:…どうも。あれ、在素ちゃん。こんな時間まで研究かい、熱心だね。
在素:あらこんばんは、夜半さん。もう片付けてるところだけどね。
あ、お父さんにご用?
夜半:うん、そうなんだけど。
在素:お父さんなら…いるけど、今日はちょっと虫の居所が悪いかも……。
久我:ええい誰かと思えば白鳥君じゃないかっ!何の用だね!?
夜半:ほんとだ、機嫌悪いね。どうしたの?
久我:君は先日私のクガリックパークを壊したことをもう忘れたのかねっ!?
夜半:忘れてないよ。そのクガリックパークを壊すのに
久々に魔力を大量に消耗したからお腹が空いて
今ここに血をもらいに来たわけだからね。
久我:確かに忘れてはいないようだが反省の色が全く見当たらないぞ!
夜半:久我ちゃんこそ社員を実験台にして、
一歩間違えれば大惨事になりかねなかったんじゃないの?
その辺は反省した方がいいと思うんだけど。
久我:むぅ……そ、そうなんだが……
(あの後、南十字照美と瀬上奈津恵にこってりと怒られたため反論できない)
それにしても…我が社の女性社員はなんでああも怖いのが揃いまくっているのだ…
もうちょっとこう……癒し系というか包容力のある……あ……ああああ!!!!
在素:なっ、なに!?
久我:私は今、大っっ変なことに気づいたぞ!!!
在素:何よ?
久我:我が開発研究室には女性社員が
一人もいないではないかっ!!!
しかもよくよく考えてみたら我が部署 の み だと!!
夜半:在素ちゃんがいるじゃない。
久我:在素は社員じゃないし娘はノーカウントだっ!
在素:まぁ私を社員にカウントされても困るけど…
仕事手伝ったりしてるけど基本学生だし好き勝手やってるしね。
久我:ええい白鳥君、今回のことはお互い様ってことで白紙にしようではないか、ただし!
クガリックパークを壊された損失は果てしなく大きい!
再興のためには更に人員が必要だ!
夜半:はぁ……。
久我:全て弁償しろとは言わない、クガリックパーク再興のための人員募集(特に女性)を
人事の瀬上君に交渉してくれたまえ!君なら瀬上君と仲良いみたいだし
何とか説得できるだろう!?
夜半:重要なのはどう見ても経験でも技術でも人柄でもなく性別のようだね。
久我:否定はしない!
夜半:…………
久我:だが!ただ女性であるだけでは駄目だ!
優しく美しく心が広く、それでいて見ていて飽きない女性!それがまさに理想!!
夜半:君、そんなこと言ってるからモテないんだよ。
久我:(゚Д゚)
在素:……(笑いをこらえている)
夜半:でも…まぁ、クガリックパークのお詫びをするという気は全くないけど、
一人、君には勿体無いくらいの女性に心当たりはあるから、
その子でよかったら紹介しようか。
久我:なん……だと……
夜半:美人かどうかはそれぞれの判断によるだろうけど…
まあそれなりだとは思うし、真面目だし頑張り屋だし
君の言うところの研究対象としてなら、
かなり「見ていて飽きない」タイプだと思うんだよね。
在素:あら、良かったじゃないお父さん。あとはやる気さえあれば即採用じゃない?
久我:そ……そんなウマい話があっていいのか……
君が紹介するそんな女性なんて、まず人間じゃなかったりとかするんじゃないのかね?
夜半:人間なわけないだろう。
久我:(゚Д゚)
夜半:生物学的に普通の人間の女の子で満足するような性質じゃないでしょ、君。
久我:人を変な性癖の持ち主みたいな
言い方しないでくれたまえっ!!
夜半:ま…人間だろうがなかろうがこの会社的にはあんまり関係ないでしょ。
とりあえず、彼女も職欲しがってたし、すぐ連絡しておくよ。
奈津恵ちゃんにも言っとく。
久我:だ、大体そんな得体の知れない女性の入社を、まず瀬上君が認めると思うのかねっ!?
夜半:人格だけで言うならウチにいる椎子ちゃんよりもよっぽど真面目でまともだけどなぁ。
在素:夜半さんがそんなに薦める女性なんて、私、見てみたいわね。
久我:あ、在素!?
夜半:そうかい?じゃあ家に帰って早速連絡してみるかな。
30年くらい連絡とってないけど、連絡先変わってないといいなぁ。
久我:30年!? 白鳥君、その人は何歳なんだねっ!?
あっこら無視して帰るんじゃな――――――いっ!!