小説「素敵な恋の忘れ方」にてようやく付き合いだした桐島上総と蔵石沙織。
そんな二人がまだ付き合いだした直後くらいのお話。わりとラブラブなので注意。
(昼休み、屋上公園にて)
沙織:………むふふ♥
上総:……何ですか、その笑いは。
沙織:いや……あ、お弁当おいしかった!ありがとね!
上総:いえいえ、このくらいなら毎日でも作ってきますよ。
沙織:えっホント?ホントに?
上総:1つでも2つでもあまり手間は変わらないですし…何より沙織さんが望むなら。
沙織:やったー!これでお昼休みがさらに楽しみになっちゃうなぁ♥
上総:(沙織の笑顔が見られて満足そう)
沙織:………
上総:………
沙織:………むふふ♥
上総:だ…だから何なんですかその笑いは。。
沙織:なんだろうね。なんにもしてないのに、思わず笑っちゃうんだよね。
……自分の気持ちに素直になるのがこんなにも幸せなことだなんてね。
上総:沙織さん……
沙織:あ……そうだ、今日あたし言ったっけ?
上総:何をです?
沙織:好きだよ、桐島さん。
上総:(いきなりで吹き出す。顔真っ赤)な、何ですか突然!?
沙織:ふふふっ、今までさんざんあんたを困らせた分、意地張って言えなかった分、
いっぱい言いたいんだ、好きって。
上総:すごく…嬉しいけど、恥ずかしいですね…
沙織:……うーん……晴れて付き合うことになったわけだし、色々決めてみよっか!
上総:決める?
沙織:とりあえず……まず確実にひとぉーつ!あたしに敬語はやめて!
上総:!! ……敬語は沙織さんに限らずどうにも癖で……
沙織:彼女に敬語ってどー考えても変でしょ!?
奏子さん(上総の亡き妻)にも敬語使ってたわけ?そんなことないでしょ!?
他の人とあたしを一緒にしてるって言うならなおさら直せ直せ!
上総:は、はい……
沙織:返事は「はい」じゃなくて「うん」だぁ!
上総:その注意の仕方だと普通逆じゃないですか……
沙織:「です」「ます」禁止!!!(すぱーん!)
上総:痛い痛いっ!ちょ、ちょっと待って!………
(なんとか言葉を切り替えるために、深呼吸)
……敬語を使わないのがこんなに力がいるなんて、思わなかったな。
沙織:よしよし!それでいい!…後は、呼び方かなぁ?
さすがに「桐島さん」じゃ他人行儀すぎ?
上総:別に、なんて呼んでもいいで………いいよ。
沙織:ちなみに、奏子さんからはなんて呼ばれてたの?
上総:「上総」って呼ばれてまし………呼ばれてたよ。
沙織:かずさ……上総かあ……
あたし、どーしても年上呼び捨てるのが苦手なんだよなぁ~
上総:まぁ、奏子は僕より年上でし……だったし。
沙織:そういえば、奏子さんのことは呼び捨てだよね~。
あたしも「沙織」って呼んでもらおうかな?
上総:う、うーん……奏子は奏子だけど、
沙織さんはどうも「沙織さん」が定着しちゃって…
……………というか、沙織さん。
沙織:ん?
上総:そう何もかも、奏子と同じにしなくて……いいよ。
沙織:あ………
上総:君は君、奏子は奏子。君は君らしくそのままで居てくれれば、良いから。
まぁ…流石に、僕のほうの敬語は直しま……直すけど。
沙織:そう…そうだよね。ごめん、なんかつい意識しちゃってたかな……。
……そっか、あたしはあたしらしく、自然体でやりたいように、だよね!
上総:そうで……そうだね。
沙織:んー……そうとなると……
……あたし、桐島さんのこと、密かにこう呼んでみたいなぁって
思ってたのがあるんだけど。
上総:何?
沙織:カズくん。
上総:!? (びっくりして弁当箱を落としかける)
沙織:あ、カズくん。カズくんかぁ。実際声に出していうとすっごいしっくり来るな。
よし、カズくんで決定!!
上総:えぇー!?
沙織:なんだよ、やだ? なんて呼んでもいいって言ったじゃーん!
上総:いや…別にいいで……いいけど、何と言うか………
親戚の叔母さんに呼ばれてるような錯覚が………
沙織:あっはは!確かにカズサだと小さい頃はカズくんって呼ばれやすいかもねー!
ま、気に入ったからこれで決定ね!よろしく、カズくん♥
上総:よろしくお願いします、沙織さん。
沙織:「ます」禁止―――――!!!(すぱーんぱしーん!)
上総:ごめんなさいごめんなさいー!(は、早いところ慣れないと…;)