沙織:湧木。ちょっと。
湧木:あっれ沙織ねぇさん!僕が今業務推進部のお手伝いしてるのよく知ってたね。
こんな高い階(業務推進部は7F)まで会いに来てくれるなんて、ボクのこと……
沙織:ええいちょっと静かにしろーい!別に変な意味は全くもって無いっ!
湧木:(´;ω;`)ブワッ
沙織:そんなことよりも、ホレ。これあげる。
湧木:うぇ?……これは……クッキー?
沙織:今日ホワイトデーでしょ。逆ホワイトデーってことであげる。
湧木:∑( ̄□ ̄;)逆ホワイトデーって何!?
そーいえば沙織ねぇさん、バレンタインに何もくれなかったよね!?
僕期待してたのに!
沙織:バレンタインに女からチョコあげたら意味深になっちゃうだろ!
そんな、あいつをちょっとでも裏切る行為はしたくないっつの!
湧木:そんな あんな腹黒主任のことなんて 気にしなくてもいいのに…
というか、そんなに気にするなら別に気を遣ってくれなくてもよかったッスよ?
沙織:いやー…なんというかさ、あんたには去年色々迷惑かけた…しさ。
何かしら、あげたかったんだ。
湧木:(´・ω・`)沙織ねぇさん……。
沙織:まぁ、こんなもんじゃホントお詫びにすらならないけど、さ…。ん?なに?
湧木:(´・ω・`)このクッキー、桐島主任に見せびらかしてきてもいい?
沙織:∑( ̄□ ̄;)ダメ――――――!!
ホントにもう!深い意味はま―――――ったく無いんだからな!!
湧木:ないなら別に見せてもいいんじゃないの?沙織ねぇさんが、
心のこもったクッキーのプレゼントを僕だけにくれました、って言えば。
沙織:嘘は言ってないけど意味ありげな言い方すんな!
そんなことするなら返せ!返せ――――――!!
湧木:や~だよ~。もうコレは僕のものだも~ん♥ (逃げる)
(湯沸室。上総が社員に配るホワイトデー用のクッキーをたくさん焼いている)
上総:……そろそろ焼けたかな……うん、いい焼き具合かな。
湧木:桐島主任~お疲れ様です。
上総:ああ湧木君。お疲れ様です。業務推進部
の仕事は慣れましたか?
(邪魔な湧木が開発研究室から異動になってせいせいしたので笑顔)
湧木:えぇおかげさまで。
桐島主任は開発の人員減ったのに仕事放ってお菓子作りッスか?
上総:今は閑散期ですし久我博士からも許可は取っていますよ^^
湧木:そうなんですか^^
上総:ホワイトデーに振る舞うお菓子を作るのは毎年恒例で……ん?
湧木君も、誰かにクッキーをあげるんですか?(湧木の手にあるクッキーに視線)
湧木:あぁ、これですか。あげるんじゃないですよ。貰ったんです。
上総:誰から?
湧木:さぁ。誰でしょうねぇ?
上総:(イラッ)
湧木:まぁ。事業企画部所属の20代後半の髪の長い女性から
貰ったとでも言っておきますかね。
上総:…………………それって一人しかいないじゃないですか……?
湧木:ありゃ酷いですねぇ桐島主任。明らかに照美部長のこと忘れてませんか?
上総:それが南十字部長からのだったら、
わざわざ意味ありげに僕に見せたりしないでしょう?
湧木:まぁ……そんなに怒らなくてもいいじゃないッスか。ホワイトデーなんだし。
……あの人も、健気ッスよねぇ。
彼氏を傷つけることはちょっとでもしたくないから、って
バレンタインに義理チョコ、とかじゃなくて
わざわざホワイトデーにくれるなんて、ね。
そんなことも教えてくれるなんて、優しいんだか、残酷なんだか。
上総:……………
湧木:こんなに思ってくれてる彼女のこと、裏切ったりしたら僕が本気で殺しますからね?
……まぁ、あんたならそんなことない、とは思ってるけども。
上総:……………言われなくとも。
湧木:……………
上総:……………
湧木:………まぁ、取り合えず、
あんたからもお詫びされてもいいような気がしてきたので、
上総:?
湧木:この焼きたてクッキーは僕が全部もーらったっ!!
上総:∑( ̄□ ̄;)ちょっ……!!?
せっかく綺麗に盛り付けたのに!根こそぎ持って行く気ですかっ!?
湧木:(ボリボリボリボリ) あ~~も~~、腹立つけど美味いなー!
桐島主任、会社辞めてそっちの方向目指した方がいいんじゃないッスかぁ?
上総:黙れっ!! ああああああもう!一瞬にして全部食べちゃうなんて……
また焼き直さなきゃいけないじゃないですか!
湧木:あははははは、頑張ってくださいッス~