(屋上公園)
早瀬:(……ふぅ……。なかなかいい風が入ってくるな。
たまには屋上公園に来てみるのも、いいもんだな。
?……おや、あれは……)
(とある男女を見つけて、なんとなく物陰に隠れて様子を見る早瀬)
明:……ここにいたんだ、眞妃ちゃん。
眞妃:ちょっと……風に当たろうと思って……(その風に煽られてふらつく)
明:ちょっ……大丈夫!?
眞妃:だ、大丈夫よ……少し休んだら職場に戻る…から
明:ちょっと風に吹かれたくらいでふらついてるのに、無理だよ!
だから今朝も言ったじゃない!お願いだから、病院に行ってよ!眞妃ちゃん!
眞妃:い、今は……駄目……
明:そんな状態で何言ってるの!お仕事ならタッちゃんや大空クンもいるんだし、
頼んでおけばいいじゃない!ボクが頼んであげるよ!
早瀬:(会話の様子からして……成沢部長、具合が悪いのか?)
眞妃:駄目……私にしか分からないこと、多いし……今月は特に忙しいから……
教えるよりも、私がやったほうが、早い……し
明:本当なら、入院して安静にしてないとダメって、センセイ言ってたんだよ!?
そりゃ、椅子に座ってるだけの仕事かもしれないけど…
頭は使うし、安静とは言えないでしょ!
早瀬:(こんなに必死な成沢を見るのは初めてだ…って、入院!? そこまで酷いのか!?)
眞妃:……とにかく、今月中は駄目……みんなに迷惑かけられない……
明:眞妃!
早瀬:(…っと、こっちに来た) ←やっぱりなんとなく隠れる
明:そんなに無理したら、命にだって関わるよ!
早瀬:(命………そこまで酷いのか………!)
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早瀬:(成沢部長が重い病気…夫婦の会話に割り込めずに戻ってきてしまったが…
これは、誰かに相談すべきか…?だが、部長は隠していたい様子だったな…)
(そして足は無意識に経理部へ)
橘:あ、こんにちは、奥田部長。どうしたんですか?
早瀬:(成沢部長はまだ戻ってきていないか……)
あ、あぁ。大島主任。ちょっと訊きたい事が。
橘:はい?なんでしょうか。
早瀬:(小声)……最近、成沢部長の様子がおかしいとか、体調悪そうとか、
辛そうとか、そういったことはないか?
橘:え……?別に、いつも通りだと思いましたけど……
早瀬:(小声)内面的な問題もなさそうか?
橘:無いと思いますよ。…そもそも成沢部長はガードが固すぎて読めません…。
心が乱れてるとかなら別ですけど。
早瀬:(読心能力者の大島主任にすら気づかせない精神力……さすがだ……)
眞妃:あら?奥田部長。こんにちは。お昼休みもそろそろ終わりますよ。
早瀬:な、成沢部長…(すごい、さっきの辛そうな顔が嘘のように、いつも通りだ…)
眞妃:どうしたんです?不思議そうな顔して。
早瀬:(これじゃ、経理部の他の者に説明しようと思っても、
納得がいかないくらいだな……だが、成沢もかなり心配していたし……
ここで誰かが止めなければ、成沢部長の命が……!!)
…………成沢部長!!!(眞妃の両肩を掴む)
眞妃:(一瞬だけふらつく)……な、なんですか?
早瀬:すいません、先ほど屋上公園での部長の様子、見てしまいました。
さすがに黙っていられません。成沢部長、今すぐ入院して下さい!!!!
橘:∑( ̄□ ̄;)入院!? 眞妃さんどうしちゃったんですか!?
眞妃:な、何を言ってるんです……?
早瀬:さっき、成沢…明さんが言ってたじゃないですか!命に関わる病気なんでしょう!?
眞妃:……何を言ってるのか分かりませんけど。
とにかく奥田部長!もうそれ以上何も言わないで下さい。
私はこの通り、何ともありませんから。
早瀬:駄目です!早く、病院に……
眞妃:お願いだから、それ以上言わないで……それ以上言うと……あま、甘え……
(眞妃、倒れる)
早瀬:成沢部長!!!
橘:眞妃さん――――!?
早瀬:……倒れた途端、すごい汗だ……どれだけ我慢していたんだ……?
とにかく、大島主任、救急車!私は成沢を呼んで、
あと成沢部長のご実家に電話しておく!
橘:は、はいっ!
(つづく)