とあるところで開催されている、夏祭りにやって来ている西城寺初南賛と榊 ゆたか。
ゆたか:お祭りなんて来たの、子供の時以来かな~☆ あ~、りんごアメうまー☆☆
初南賛:……………
ゆたか:あと、チョコバナナとわたアメとあんずアメ食べたいな~☆
初南賛:甘い物ばっかり…。
ゆたか:甘いモノばっかりだとバランス悪いからお好み焼きも食べるっ☆
初南賛:……そこでバランス取る必要とかあるの……?
ゆたか:初南賛も、せっかく来たんだから何か食べればいいのに☆
初南賛:……………
ゆたか:そういえば、こんな楽しい場所なのに、今日の初南賛はいつにも増して無口だね☆
初南賛:……………
ゆたか:せっかくなんだから、もっと楽しもうよ☆
初南賛:……だって……気味悪いじゃないか……
ゆたか:え?なんでなんで?なんでお祭りが気味悪くなっちゃうの☆
初南賛:ゆたかこそ、気付いてないの?
ゆたか:えー?☆
初南賛:お祭りって、普通さ…人がいっぱいいて、賑わってて、騒がしいものでしょ。
ゆたか:そーだねー☆
初南賛:周り見てごらんよ!このお祭り、出店の人以外、
僕らしかいないんだよ!?
…… しーん ……
ゆたか:……そういえば☆ なんか空いてて、歩きやすいな~って
くらいしか思ってなかったけど☆
初南賛:その程度なの!?
ゆたか:あ!もしかして、オレたちのためにお祭り開いてくれてるとか☆
初南賛:どんなVIPなの僕達!! ……でも……まさか……そのまさか……?
ゆたか:うんー☆ だってこのお祭りって……
初南賛:……うん、お互い、久我室長からの招待状を受け取って、
来たんだもん…ね……差出人見た時点で
全くもって嫌な予感しかしなかったけど、来ないと会社クビとか、
すごいこと書いてあったし……。
ゆたか:きっと、せっかくお祭りやるのに、
行かないとか言われたら台無しになっちゃうから、
そーいうこと書いたのかな☆ けど久我室長イイ人だしすごい人だなー☆
お祭り開いてくれるほど、オレたちのこと気に入ってくれてるんだね☆
初南賛:………ゆたかって、ほんっっっっっと前向きだよね。
ゆたか:初南賛は後ろ向きすぎー☆
初南賛:……ゆたかは違うのかもしれないけど、僕は久我室長には……
悪いけど、嫌なイメージしかないんだよね……特に、あれ以来……
ゆたか:あれ以来?
射的屋悟史:やぁやぁ、お兄ちゃん達。射的やらないかい?
ゆたか:! あっれー☆ 吉村部長だー☆ なんでこんなとこで出店やってんですかー☆
射的屋悟史:ん~?誰のこと言ってるのかな~?俺はただの射的屋だよ~
初南賛:……ゆたか、よく見て。この人……沢井部長が作ったフィギュアだよ。
たぶん、久我室長がフィギュアに手を加えて作ったロボットだと思う。
ゆたか:えええー☆ まーじでー☆☆
初南賛:今までりんごアメとか買った出店の人みんな、
たぶんフィギュアだったと思うよ。
社員の顔全部覚えてないからあれだけど……
なんか、見覚えのある人ばっかりだったし。
射的屋悟史:やぁやぁ、お兄ちゃん達。射的やらないかい?
初南賛:……台詞、リピートしてる……。
ゆたか:まーまー☆ 吉村部長も勧めてることだし、射的やろうよ初南賛!
初南賛:人の話聞いてた!?
ゆたか:……う~ん☆ 全然当たらないなぁ~~☆ もう10回もやってるのにー☆
初南賛:ちゃんと狙ってるの?……なんか、勢いに任せてる感じ。
ゆたか:ちぇ~☆ なんだよぉ!だったら初南賛やってみろよー☆
初南賛:えぇ!? じゃあ……まぁ、1回だけ……。当たらなくても笑わないでよね……。
パシッ…… カツン!
初南賛:あ……当たった。
ゆたか:おおおお~~~☆☆ 初南賛すっげー!!☆
射的屋悟史:おお~やるねえくせっ毛のお兄ちゃん!
初南賛:(なんか嫌な呼ばれ方。。)
射的屋悟史:え~と、これの賞品は、っと~
ゆたか:え☆ 倒した賞品そのものがもらえるわけじゃないんだ☆
射的屋悟史:うん~、ウチのは特別でね、
倒したモノのウラに書かれてるものがもらえるんだ~
初南賛:へぇ…
射的屋悟史:どれどれ~……おめでとう!君の賞品は……人さらいだよ~!
初南賛:………………は?
(ガサッ!ガサガサガサッ!
↑突如、謎の黒ずくめの人達が大勢現れ、初南賛を羽交い絞めする)
初南賛:ちょっ………何す………!!
射的屋悟史:は~い人さらいおめでとう~
ゆたか:……えぇぇ!? これどういうことなんですか吉村部長!
(まだフィギュアだということを忘れている)
射的屋悟史:やぁやぁ、お兄ちゃん達。射的やらないかい?
(そしてまた台詞リピート)
初南賛:この……離せぇ……っ!! ……う、うわぁっ……
(逃れられないまま、初南賛はあっという間にその場からいなくなってしまう)
ゆたか:初南賛――――――!!
(つづく)