(昼休み、自販機前)
クリス:fu~、今日は割とヒマデスね~。原稿を描くにはモッテコイの日デス。
…とはイエ、ネタが全く思い浮かばないのデスよ。
ナニかイイネタ転がってナイデスかね~。
閣下:………ほほぅ。
クリス:!?(誰もいないと思いこんでいたため、声が聞こえて驚く)
………ア、レオンハルトサン。コンニチハですよ。
閣下:…………(クリスの顔をまじまじと見ている)
クリス:??
閣下:(クリスのあごを指で軽く持ち上げる)
前に見かけてから気になってはいたが……この下らん会社に置いておくには
勿体無いくらいの、なかなかにいい女ではないか。
クリス:ア、アリガトウゴザイマス……
閣下:この会社に名を知らぬ者はいないとは思うが…
我輩はフレスリーザ・レオンハルト。気軽にリーザ閣下とでも呼ぶが良い。
クリス:(あんまり気軽じゃない呼び方デス)アア、アナタがおウワサの。
閣下:貴様、名を名乗れ。
クリス:ハイ、ワタシはクリスティーン・フォックスと申しマス。
営業部に所属していマスデスよ。国際部のリーザ閣下サンとは、
残念ながらあまり顔を合わせる機会はナイかもデスね。
閣下:クリスティーン…クリスか。我輩ほどとは言えないものの…
我輩好みの美しい金色の髪を持つ女に久々に出会ったな。
気に入ったぞクリスとやら。
クリス:え?金髪だけでデスか。
閣下:女などまず見た目でナンボという奴であろう。
見た目で我輩の目に適う者などそうそういないのだ。光栄に思うがいい。
クリス:ワ~、今の発言、ファン減らしマスよ。
閣下:∑( ̄□ ̄;)なんだと!? …ふ、ふふふ…
その小生意気な発言もなかなか気に入ったぞ…
我輩に意見できる勇気のある女でないと、我輩の花嫁になる資格もないからな。
クリス:ハナヨメ?
閣下:ふふふ…クリスよ。我輩の女になる気はないか? いいや、なるが良い。
我輩の花嫁の、今のところの最有力候補に加えてやっても良いぞ。
クリス:OKデスよ。(即答)
閣下:∑……(少しはうろたえられると思っていたため、即答されてこっちがうろたえる)
……ふ、ふふふ……フハハハ、その決断力、ますます気に入ったぞ!
さすが我輩が選んだ女である。
クリス:じゃあ、リーザ閣下サン。花嫁最有力候補からお願いがアリマス。
閣下:なんだ、言ってみるがいい。聞いてやらんでもないぞ。
クリス:ワタシのお仕事は実在のステキな人物をモデルにした物語を創作シテ、
本を作って売るコトなのデス。リーザ閣下サンみたいなステキな男性を、
ぜひモデルにして本を作らせてクダサイ。
閣下:ほほぉ~う、それは興味深い。我輩がモデルならば、
きっと素晴らしい本になるに違いない。良かろう、思う存分モデルにするが良い。
クリス:じゃあ今日の終業後に、お付き合い頂けマスか。
色々ポーズなどをスケッチさせてクダサイ。
閣下:良いぞ。………なんなら一晩かけてデッサンをしたためても良いがな。ふふふふ。
(国際部)
閣下:ふふ…(ご機嫌そう)
幹雄:……あれ、閣下。今日は随分とご機嫌そうですね。
閣下:ふふ…そう見えるか?
幹雄:見えますよ。ねぇビビアン?
閣下:中原…貴様もそんな花にばかりかまけてないで女の一人や二人作ったらどうだ。
幹雄:いや僕結婚してますし。。それにしても、何かあったんですか?
閣下:ふふふ……前に話しただろう。あの美しい金色の髪をした女が、
我輩の女になるというのだ。
我輩の魅力がわかっておるのだろう、二つ返事で了承をしたわ。
幹雄:金色の…ああ、営業部のクリスさん。前から気になってるとは言っていましたね。
……って、ええ!? 女って……
閣下:我輩の女になった記念として、我輩をモデルにした物語を書いて
本を出版するというのだ。なかなかに楽しみである……ふふふふ……
幹雄:∑( ̄□ ̄;)……………!!!!!!!
閣下:………? なんだ、その驚きようは。……ははん、さては羨ましいのだな?
夜半:………く………(机に顔を伏せて震えて笑いをこらえている)
閣下:(夜半を指差して)な、なんだ貴様!何がそんなにおかしい!?
というか珍しく笑うとはどういうことだ!?
我輩をモチーフにした本だぞ!素晴らしいに決まっているではないか!!
夜半:………っ………(笑いが止まらないらしい。何も答えない)
幹雄:え、ええと閣下……その本は
夜半:(幹雄が説明しようとするのを遮るように発言)
…い、いいじゃない。本出してもらえるなら……
俺も見せてもらおうかな……うん、すごい楽しみだ。
幹雄:ちょ、部長!? 明らかに止めた方がいいんじゃないですか!?
見たら、閣下たぶん卒倒しますよ!?
夜半:……あぁ、素晴らしすぎて倒れちゃうかも、ねぇ(また笑いをこらえてる)
閣下:な、何なのだ貴様ら!?
――後日、クリスが自費出版した薄い本を見た閣下が阿鼻叫喚したのは言うまでもない――
(たぶん交際はご破談)