(土曜日。社員寮「わけぎ」205号室前)
初南賛:だから特に用事がなければ来ないでって言ってるでしょ!!
毎週毎週、正直鬱陶しいから!!(ドア閉める)
マイケル:ジョオオォォナサァァンン!!!!!
(1階に下りてくるマイケル)
マイケル:MOOOOO…ジョナサン…
英司:毎週毎週、懲りないねぇ。複雑な年頃なんだから放っておけばいいのに。
マイケル:ミ、ミスター英司!?
久我:そもそも君に何か問題があるからあんな小生意気でムカつく若造に
なったんじゃないのかね?
マイケル:ミ、ミスター久我!?
それとさり気なく人の可愛い息子のことムカつくとか言わないDE!!!
夜半:でも、西城寺君も嫌なら居留守でもなんでも使えばいいのに、
ちゃんと顔合わせるし、なんだかんだで仲いいといえばいいんじゃない。
マイケル:ミ、ミスター白鳥!!
英司:はーいというわけで毎週土曜日恒例のオヤジ軍会合、はっじまっるよー☆
集合は午後1時!昼食は各自済ましてくるか持参すること!
会場の夜っちゃん(=夜半)家はお菓子しか置いてないからね!
夜半:今までのあらすじ的な仕切りだねぇ。まあいいけど。
(社員寮「わけぎ」102号室、夜半の部屋)
英司:ところで、マイケル君。
……君の友人の一人として是非訊きたい事がある!(真剣)
マイケル:な、なんDAIミスター英司!そんな必死そうな顔しTE!!
英司:君が別れた元奥さんって誰なんだい? どんな人?
マイケル:!!!
夜半:あ、それ俺も知りたいなぁ。
英司:前々から、君に似ても似つかないあの子(=初南賛)の母親って
どんな人なんだろうなぁと気になってね。
だってあの君と違って冷静でしっかりしてるのは母親譲りだろう?たぶん。
マイケル:似てないとか言わないDE!!! しっかりしてなくて悪かったNE!!
英司:こっそり奈津恵ちゃんに訊いてみたけど教えてくれなくてねー。
かと言って西城寺君に訊いたら嫌われちゃいそうだし…。
マイケル:∑ ワタシには嫌われてもいいのKAI!?
マァそんなことで嫌ったりしないけどNE!!??
英司:というわけで、教えて!!
マイケル:ウ……UUUUUN……ワタシは別に話してもいいんだけど……
ジョナサンにも、ミセス瀬上にもCHO――ooo口止めされてるんだよNE…
英司:いいじゃんいいじゃん、黙ってるから言っちゃえ言っちゃえ!
久我:……是非私も知りたいところだ。君のような破天荒で風来坊で
至極落ち着きがない男と結婚し子供まで設けた、菩薩のような女性をね……
マイケル:∑ ミスター久我までヒドイ!!!!
そりゃ秋子は菩薩のようで女神のようなスバラシイ女性だけどNE!!??
英司・夜半・久我:秋子?
マイケル:∑( ̄□ ̄;)HaaaaaaaaイッチャッTA!!
エエイ、もういいYA!! Best Friendである君たちには教えちゃうYO!!!
英司:これは…女優の杜若亜紀(かきつばた・あき)の写真じゃないか。
これが何だっていうのかね?
夜半:有名な女優だよね。何というか話題になる映画やドラマには
必ずといっていいほど出てる気がする。
久我:まさか杜若亜紀が元妻だと言いたいのかね?
妄想も程々にしておいた方がいいと思うが。
マイケル:ミスター久我ヒドイ!!!!
妄想でもなんでもなく秋子…杜若亜紀がワタシの元ワイフだYO!!!
英司:…………
夜半:…………
久我:…………
マイケル:エェー(´□`;)ナニその反応ォォォー!!!!
ホントにそうなんだってBAAAAA!!!!!
杜若亜紀の本名は西城寺秋子っていうんだYOOOO!!!
英司:ふむ、じゃあ調べてみるか
(手持ちのノートブックでネットに接続して調べ始める)
マイケル:チョッ!? ワタシの発言は信用してくれないのKA――――I!!??
夜半:英ちゃん、ここネット環境ないんだけど。
英司:あ、こないだ久我ちゃんに無線LAN使えるようにしてもらったから大丈夫!
久我:(にやり)
夜半:人ん家勝手に改造しないでくれるかい…。
英司:うーん、杜若亜紀は過去に結婚歴はないみたいだけどねえ?
マイケル:そりゃ秋子は結婚してたことも、子供がいることもひた隠しにしてるからNE!!
もっと堂々としてくれてもいいのにNaaaa!!!
英司:そりゃあんな大女優とこんな濃ゆいDJが夫婦だなんて、
確かに言いづらいだろうしね。
夜半・久我:(黙ってうなずく)
マイケル:∑( ̄□ ̄;)みんなヒッドオオオイイYO!!!!
夜半:でもなんで別れちゃったの?こんな綺麗な奥さんなのに。
英司:そりゃ他にもっといい男がいたからだろうに。
こんな美人、他の男が放っておくわけないし。
マイケル:∑( ̄□ ̄;)そんな、秋子が浮気したの決め付けるような言い方
止めておくれYO!!悪いのはこのワタシだったんだかRA!!!!
英司:ほう、何したんだね?
マイケル:…SO…それは…家族放って全国走り回り飛び回り自由気ままに過ごしてたら…
秋子にもジョナサンにも愛想尽かされちゃったのSA………
英司:そりゃあ100%君が悪いねぇ。
久我:最低だね…こんな美人の妻を娶っておいて、子供にも恵まれておきながら放置とか…
リア充に慢心して油断したね……フフフフ……最低だよ君……
マイケル:UWAAAAAAAANN!!!! 反省してるってBAAAAA!!!!
そんなに畳み掛けるように責めないでくれYO!!!!
英司:だって…ねぇ?
マイケル:あとミスター久我、そのリア充氏ね目線ヤメテ!! コワイかRA!!
久我:……リア充氏ねリア充氏ねリア充氏ね……ブツブツブツブツブツ……
マイケル:うううコワイ……って、ミスター白鳥。君は無反応だNE!!
夜半:……いやぁ、君も当時は若かったんだろうし、やりたいこともあったんだろうから、
それについ夢中になっちゃっただけなんだろうかな、と思って。
マイケル:!!! ……ミ、ミスター白鳥……ッ……
夜半:まあそれにしたって家族放置は人間の男としては
最低だとは思うけどね。
マイケル:持ち上げておいて突き落とされ
TA――――――!!!!
・
・
・
マイケル:(部屋の隅で体育座りして泣いてる)
英司:あぁもう……マイケル君。悪かったよ。ちょっと苛めすぎたよ。
結局若気の至りってやつだったんだろう。それくらい分かるって。
マイケル:ウウウ……秋子も…初南賛も…愛するワタシのたった二人の家族だったから…
いつでも戻ってこれる、いつでも受け止めてくれる、そう信じ込んでいたんだ…
だから……安心しきって全国好きなように飛び回ってたんだ…でも…
それが過ちだってことに気づいたときには遅かったんだ…
秋子も……初南賛も……もう………う、う、ううう…UWAAAANNN!!!!
久我:フフフ……マイケル君は拗ねるとしつこいね…まぁ自業自得だろうが…フフフ…。
夜半:まぁまぁ。すごい反省してるみたいだし、それ以上は言わないでやったら?
失ってから大切さに気付けたなら、同じ過ちは繰り返さないでしょ。
マイケル:そうさ……だから、放っておいた分、これからは初南賛のこと
たっぷり愛してあげようと思って…
でも、もう遅い……全然構わせてくれないし、構ってももらえない…
…ウウウウ…
夜半:もう親に甘える歳でもないだろうしねぇ。
…………(玄関のほうに気配を感じ視線を向ける)
………でも、遅いということはないようだよ?
” ピンポーン ”
・
・
・
英司:ん?宅配かい?
夜半:西城寺君だったよ。いつも父がお邪魔してすみません、って。菓子折りもらった。
マイケル:!!!
夜半:父も気に入ってる、京都の老舗のどら焼きなので皆さんでどうぞ、だって。
……いい子じゃないか。差し入れが甘味なところが特に。
英司:重要なのそこじゃないだろう夜っちゃん!?
ハハハ……なかなか面と向かって話すのは難しそうだけど、
気持ちは伝わってるんじゃないかな?
久我:フ……面倒くさい性格のようだが……ねぇ。
マイケル:……う……ウウウウ……
英司:いつかきっと、笑顔で話し合える日がくるさぁ!マイケル君!
(マイケルの背中を叩く)
マイケル:……ジョ……ジョナサァァァアアン!!!!!
ダディは感動したYOOOO!!!!!
ジョオォ!!!ナァア!!!サァァアン!!!
(部屋を飛び出して初南賛に会いに行こうとする)
夜半:(マイケルの背中を掴んで止める)
感動したのはわかったから、まずはそのテンションを
もうちょっと下げる努力しようね。ウザがられるから。