(昼休み、屋上公園)
氷雨:私のお部屋のエアコン設定温度は21度なのです。これ以上は認められないですよ。
大空:(うんうん)
・ ・ ・ ・ ・
氷雨:そういえばうちの冷蔵庫の調子がちょっと悪いのです…。
まだ買ったばかりなのですが…買い換えないとだめですかね。
大空:(うんうん)
・ ・ ・ ・ ・
氷雨:今日の晩ごはんは白くまアイスとフローズンフルーチェですよ。
もちろん温かいものも食べれますけど、夏は冷たいものに限るのです。
大空:(うんうん)
氷雨:…………あの、青木さん?
大空:(うんうん)
氷雨:………青木さん。
大空:(うんうん)
氷雨:………ゴスッ(どこからか取り出した氷の塊で大空の顔を殴る)
大空:∑ぁだっ!!??
氷雨:調子悪いのですか?さっきから色々と話題を振ってるのに上の空ですよ。
大空:痛たたた……ご……ごめん……
氷雨:またいつものオーバーヒートですか?冷やしてあげましょうか?
(すごく心配そうに大空の顔を覗き込む)
大空:ち、違うよ……大丈夫だから……
氷雨:じゃあ、どうしたんですか?
大空:……………
氷雨:?
大空:(にこにこと話す氷雨ちゃんがかわいくて
見とれてたなんて言えない…!!!
で、でも…吹雪おねーさんとの約束を守るなら、
正直に言ったほうがいいのか…!?)
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(数日前)
大空:ふぃ~、残業長引いちゃったなぁ。もう日付変わっちゃう!
とっとと帰ってゲームでもしよ!………あれ………?
なんか、もうすぐ夏だってのに、寒くなってきた……?
(目の前にものすごい冷気をまとった雪女・烏丸吹雪が現れる)
吹雪:……こんばんは、初めまして。貴方が、青木大空君ね。
大空:ぉおお? はい!いかにも俺が青木大空君です!
(俺のこと知ってるみたいだけど、誰だこのきれいなおねーさん??)
吹雪:私は烏丸吹雪。貴方も知ってる、朝霧氷雨の……そう、上司みたいなものよ。
大空:あ!あああぁ!知ってる!氷雨ちゃんから聞いたことあるよ!
すげー尊敬してる同族の人で、すげー美人ですげーおっぱいでかいっていう
あの吹雪おねーさんっすね!
吹雪:(どういう説明の仕方してるのあの娘は…!!)ま……まぁ、そうよ。
そんなことより、貴方に私からお願いがあるのよ。
大空:はい!なんでしょうっ!
吹雪:あの娘……氷雨を、真っ当な女にしてやってほしいの。
大空:∑(///▽///;) おおおおお女にする !?
そ、それって一体どういう意味なんでしょうっ!?
吹雪:あの娘が大の男嫌いなのは知ってるわよね?
大空:は、はい……普通の男なら大抵、まともに口すら利いてくれないっすねぇ……
吹雪:…あの娘は昔、人間の男に…あまり詳しくはいえないけど、
ひどい目に遭わされたのよ。
そのショックから、人間の男全てを憎むようになってしまった。
けどどういうわけか、貴方には普通に接しているようなのよね。
大空:!……そ、それは……
吹雪:同期入社で何か心を許せるものでもあるのかしら…まあ、理由なんてどうでもいいわ。
どうにかして、あの娘に男の免疫をつけさせてちょうだい。
……人間の男を喰らう雪女が、男嫌いなんて正直みっともなくて
山神様に申し訳が立たないわ……
大空:め、免疫って……具体的にど、どうすれば……?
吹雪:とりあえずあの娘にもっと取り入って、付き合ってみるのはどうかしら。
私が認めるわ。
大空:∑( ̄□ ̄;) 付き合うっ!?
吹雪:貴方達をずっと観察してたけど、
貴方だって、氷雨のことまんざらでもないんでしょう?
雪女の目は誤魔化せなくってよ。私が認めるから、あの娘を好きにしていいわよ。
大空:∑( ̄□ ̄;) 好きにしていいっ!?
吹雪:ただし、暴力や無理やりはだめよ。ちゃんとあの娘をその気にさせてね。
それじゃ、頼んだわよ。結果を楽しみにしてるわ。(スッと消える)
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(そして現在)
大空:(けど……吹雪おねーさんは知らないんだ…
…氷雨ちゃんが俺と仲良くしてくれてるのは……)
氷雨:………(無言で大空の額に手を当てて冷やし始める)
大空:!?
氷雨:やっぱり少しオーバーヒートしてるんじゃないですか?
青木さんはロボなんですから、ショートしないようにお熱には
気をつけたほうがいいですよ?
大空:(…ロボ…そう、そうなんだよ……氷雨ちゃんは俺のこと、男じゃなくて…
ロボットというかメカというか、下手したらしゃべる家電くらいにしか
思ってないんだ……)
氷雨:??
大空:(氷雨に背を向けてどぼどぼと涙を流す)
氷雨:!? ど、どーしたんですか青木さん!?目からアルコールか何かが流れてますよ!?
大空:(なんで涙だって思わないのこれが… !?
もう悔しいから、正直に気持ちを言おう……!!!)ひ、氷雨ちゃん!!!
氷雨:はい?(笑顔で、きょとんとしている)
大空:お……俺は……ね…………
氷雨:?
大空:………(俺はロボじゃない、普通の男なんだ!って言ったら……)
氷雨:どうしたんですか?真剣な顔して……。
大空:………(言ったら、この笑顔も、見れなくなっちゃうのかなぁ……
で、でも、言う!言ってやる!)
俺の様子がおかしいのは、氷雨ちゃんが……か、かわ……
ゆたか:あー、いたいた青木く――――――ん☆☆
お昼ごはんの業務用アルコールのストローないって
朝騒いでたっしょー☆
コンビニでもらったからあげるよー☆☆
大空:ゆたか!?
氷雨:………
ゆたか:あっるぇー☆朝霧さんも一緒だったんだー☆君ら仲いいねっ☆
オレもまぜてまぜてー☆☆
氷雨:………私は青木さんとお昼に来たんです。貴方なんかに用はありません。
邪魔なのでどこかに行ってくれませんか?(ものすごく冷たい目つきで)
大空:(さっきの笑顔はどこへやら…こ、怖いっっ…)
ゆたか:(´▽`;)うわーん嫌われちゃったぁ☆じゃあオレはどこかに行っちゃうよー☆
(あっさりとあきらめて立ち去る)
大空:…………
氷雨:…………ふぅ。会話の途中にとんだ邪魔が入りましたね。
大空:い、いや……
氷雨:で。私が、かわ……?なんとか、って言いかけてませんでした?
大空:あ、あぁ……
氷雨ちゃんが、かわ………で洗濯とかするのかなあとか………
氷雨:!? ………あははは、青木さん面白いこといいますね。
ちゃんと洗濯機使うに決まってるじゃないですかぁ(笑顔)
大空:(だ、だめだ…
この笑顔をなくすことが…
俺にはできないっ… !!!)
氷雨:!? きゃぁ! 青木さん、また目からアルコールか何かが出てますよー!?