(朝、社員寮『わけぎ』前)
在素:はぁ…作文考えて書くのが面倒くさくて、
大学時代(※在素は7歳ですが大学出てます)に出した論文を
そのまま提出したら先生に頭抱えられちゃったし。
7歳らしい文章書くほうがよっぽども難しいんだけど…
ま、今日の休み時間にでも適当に考えて再提出するしかないわね。
パノス:よお!
在素:あぁそういえば今日から給食当番だったわ…これも面倒だわね。
昼食なんて学校内に食堂作って食券で食べられるようになればいいのに。
パノス:よーお!!
在素:あと、父の日の似顔絵提出まで一週間だったわね…。
母の日もお父さんの絵描いたから免除してくれてもいいのに。
全く、効率悪いったらないわ。
パノス:よーーーーおおおおいいい!!!!!
在素:………?
パノス:そうそう、お前だお前!
在素:(何この失礼なガキ。……確か、社員寮の住人だったかしら?)
パノス:小学校の先輩様が声かけてきたんだから、あいさつくらいしろよなっ!
在素:私は「お前」なんて名前じゃないし挨拶なんてしてやらないわよ。
パノス:ヽ(`Д´)ノムキー!なんだこのクソ生意気なガキ!
在素:ガキはお互い様でしょ。私、あなたと話したことないもの。どなたかしら?
パノス:お前、最近401号室に引っ越してきたやつだろ?
オレは202号室に住むパノス・ローヴァ様だ!覚えとけっ!
在素:(自分に『様』って付ける奴にろくな奴はいないのよね…)
…202号室といえば、フレスリーザさんのお部屋よね。
パノス:そうとも !! オレの父ちゃんはそのフレスリーザ様だ!!!
お前もねぎ秘密結社の社員の子なんだろ? お前も親と住んでるのかっ!?
在素:というかこの社員寮は独身専用でしょ。親とは住めないわよ。
あなたが特例なんじゃないの?
パノス:(゚Д゚)お前みたいなちっさいガキがひとりでここ住んでんのかっ!?
在素:ガキガキうるさいわね…。
パノス:(≧▽≦)いいなーオレもひとりで住んでみてぇ!
そしたらゲームし放題だしお菓子食い放題だしゴロゴロし放題!
宿題しなくても怖いとーちゃんに怒られたりしない!
在素:発想がガキよね…。
パノス:くぅ~っ!お前ホント生意気だなっ!いい加減名前名乗れよ!
在素:……久我在素。小学一年生だけど普通じゃない自覚はあるから
余りガキ扱いしないでよね。一応、ねぎ秘密結社の久我恭一郎の娘よ。
パノス:くがきょーいちろー…あぁ、毎週土曜日になると白鳥のおっちゃん家に来る
あの、いつもフフフフフフって笑っててちょっと薄気味悪いおっちゃんか!
在素:……(間違ってはいないと思うが他人に言われるとカチンと来る)
薄気味悪くて悪かったわね。あれでも世界で通用する天才科学者なのよ。
人智を超える発明を次から次へと出しているし、
会社の中枢にいる最重要人物と言っても過言じゃないわ。
あなたのお父様こそ、なにか取り得があって?
パノス:(なんかむずかしーこと言う奴だなぁコイツ…)取り得……
あぁ、いいところってことだよな!?
あるあるあるぞありまくりだぞ!ちょ―――――っイケメンだし!!!!
在素:イケメン。まぁそれは認めるわ。それ以外には?
パノス:イケメンだし!それと……えーと、優し……
で、でも怖いほうのとーちゃんのことを考えると…
そーとは言い切れ……あ、あとは……う、うーん
在素:あら、他にはないの?(若干嘲笑うように)
パノス:く、くぅーーっ……クソむかつくガキだなあぁっ……
と、父ちゃんは、母ちゃん亡くしたオレをひとりで働いて、
養ってくれてるんだぞぉっ!
在素:!
パノス:け、決してイケメンだけが取り得じゃないんだからぁーっ!ヽ(`Д´)ノ
在素:……そう、あなたも、お母さんがいないのね。
パノス:あなた「も」」って……お前も母ちゃんがいないのか?
在素:いないわ。
パノス:し、死んじゃったのか?
在素:死んではいない。最初からいないだけよ。
パノス:!? 最初から、って、そんなのありえねーだろ!誰がお前産んだんだよ!
在素:……あなたは、いいわね。
亡くなっていても、ちゃんとお母さんがいるんだもの。
パノス:……なんか、お前の言ってること、よくわかんねー。
在素:わからなくていいわよ、ずっと。
……あらいけない。こんなところで道草食ってたせいで遅刻しちゃうじゃないの。
パノス:うぉおおっと、マジだ!やっべー!
(ふたりで走り出す)
パノス:(なーんか、生意気だけどほっとけない空気持ってるなー、コイツ。)