(数日後、国際部)
リーザ:おはようございます!
幹雄:(愛想の良さからすぐにリーザ様の方と判断)おはようございます、リーザさん。
椎子:おっはよ~♥リーザ様ん♥
(少し遅れて『閣下』が入ってくる)
閣下:…………
幹雄:あ、閣下もおはようご……ってええええぇぇぇ!!!??
ちょっ……ちょま、ええ、ええ !? こっちにリーザさんがいるのに閣下 !?
椎子:あらまぁ♥とうとう二人に分かれちゃったのねっ♥
幹雄:え、えと…まあ、一つの身体に二つの人格があるのがそもそもアレなわけですから
これが自然というか当然というかなわけですけど…いきなりこんな!?
一体どうしたっていうんですかぁぁ!!??
リーザ:あははは、閣下が頑張って下さったお陰で、こういうことになったんです。
幹雄:∑( ̄□ ̄;)ざっくりしすぎた説明でよくわからないです!
閣下:いちいち五月蝿い、中原。分身など貴様なら既に見慣れているだろう。
幹雄:え、見慣れ……?
閣下:あの化け物魔導師が常日頃やっておることと同じことだ。
我輩がその気になれば、この程度のこと我輩にだって……
リーザ:やり方わからないから珍しく素直に部長に教わりに行ったんですよね~。
閣下:(;゚Д゚) だ、黙れ!!!
幹雄:な、なるほど……アナちゃんの閣下版……。
閣下:……では、後は勝手にやるがいい。
リーザ:えぇ!閣下帰っちゃうんですか?
閣下:会社に二人も我輩は要るまい。ただ後々面倒なことにならんよう
前もって説明に来ただけだ。我輩自身は、元々こんな会社に用など無い。
リーザ:そんなぁ…。
閣下:折角、我輩が与えてやった貴様のための身体だ。貴様の好きなように動けば良い。
…我輩にはその魅力が到底理解の出来ない、あの地味女に
声を掛けようが掛けまいが、我輩は知らん。
リーザ:!
幹雄:地味女……?
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(昼休み、食堂)
浪路:(食券売機の前に立つ杏寿の後ろで)
杏寿~、一体どれにすんだよ。早くしないと後ろが詰まってんぞ~。
杏寿:あ、は、はい!すいません…ええとどれにしよう…。
リーザ:あぁ、やっぱりここにいらっしゃいましたか、杏寿さん。
杏寿:!? れ、レオンハルトさん… !? こ、こんにち……
リーザ:お昼決めかねておられるのですか?
それでしたら今日は僕とお外に食べに行きませんか?
浪路:!!
杏寿:!? え、えぇっ……で、でも今日は浪路さんとおひ…もぐぉっ
(浪路に口を塞がれる)
浪路:なぁんだ二人ともそのつもりだったんなら早く言ってくれよ!俺テキトーに食うし!
(小声)杏寿これはチャンスだぞ!リーザ様なんかその気満々ぽいし!行け!
杏寿:(小声)で、でも今日は浪路さんと元々お約束が……
浪路:(小声)別に昼なんて二人じゃなきゃ食えねーってもんじゃないし
俺となんていつでも食えるだろ!
リーザ:あ、お二方で先約があるのでしたらまた……
浪路:いやいやいやいや!俺は……そうそう、
ゆたか:蔦子ちゃーん☆ スペシャルツタコカレーAugust2013大盛りで1つー☆
福神漬け抜きで☆(たまたま杏寿の並ぶちょっと先にいた、ゆたか)
浪路:(ゆたかの後ろ首根っこつかみ)こいつと一緒に食う約束してたし!な!
ゆたか:∑ ふひえぇぇえっ !?☆☆ 浪っち先輩いきなりなんなのー☆☆
リーザ:そうだったのですか!では杏寿さん行きましょうか(にっこりと杏寿の手を引く)
杏寿:ええええぇぇぇっ!!??
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(会社のすぐ近くにあるイタリアンレストラン)
リーザ:…何だか、半ば強引に連れて来てしまいましたね…。すいません。
杏寿:い、いえ…!(ま、まさかまたお食事に誘われるなんて……一体なぜ……)
リーザ:別にここまで急がずとも…いつでも、お会いできるのですけどね…同じ会社ですし。
けど……閣下が、頑張って僕に与えてくださった機会なので……。
杏寿:……『閣下』?
リーザ:…僕は別に、閣下と一緒の生活が嫌だなんて、
これっぽっちも思っていないのですが…閣下は自分がいることで、
僕が杏寿さんに素直な気持ちを伝えられないのでは、と思い込んで…
杏寿:私に……気持ち……?
リーザ:杏寿さん、時間もないので……率直に言わせて頂きます!
杏寿:はっ、はい!
リーザ:僕……先日、初めてお会いした時から……
杏寿:は……はい……?
リーザ:貴女のこと
(突然消えるリーザ)
杏寿:!!!????
店内の客1:なんだ、あそこの客いきなり消えたぞ!?
店内の客2:えー? 見間違いじゃないの? トイレ行ったとか。
店内の客1:見間違いじゃねーよ!オレ見てたもん!! 金髪の男が確かに消え……
閣下:ず……随分とやかましい店内だな……何が、消えただと……?
杏寿:!! ……レオンハルトさん !?
(さっきと服装が違う……髪型も……でも、レオンハルトさん、よね……?)
閣下:て、手洗いに行って…着替えただけだが…?何か不都合でも、あるのか……?
店内の客2:ほーらやっぱり、戻ってきたじゃん!
店内の客1:え、ええー…? 消えたと思ったんだけどな…
閣下:……やはり、そんなには持たないか……
杏寿:レオンハルトさん、すごい汗……だ、大丈夫、ですか……?
閣下:……くっ、精神力消耗しすぎて交代すら、出来ぬか……(ふらついて倒れそうになる)
杏寿:危ないっ!(とっさに抱えようとする)
閣下:て、手助けなど要らぬ…! いいか地味女………貴様にだけは教えておく。
さっきまでの………「あいつ」と、我輩は………別人だ。
杏寿:えっ……?
閣下:あいつは……どうやらお前の事が、気に入っているようでな……
また会うこともあるだろうから………その時は、相手にしてやるが良い………
杏寿:あ、あの……あなた、は……?
閣下:……ふん……我輩は、貴様のような地味な女には……興味ないし、どうでも良い……
どうせ……貴様に限らず、人の良い「あいつ」の方が、都合は良いであろうし、な…
(ふらふらになりながらイタリアンレストランを出る)
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浪路:ま、本気なら応援するけど、リーザ様はちぃーーっとばっかし、クセがあるぜえ?
………いやーそういうことじゃなくてなー?
リーザ様は、二重人格なんだよ。人の良い方と、偉そうな俺様なのと、2人いるんだ。
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杏寿:……もしかして、あの方が………『閣下』?
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(国際部)
幹雄:∑( ̄□ ̄;) ぶっ部長ぅ――――――!!
閣下がなんかすごい汗かいて倒れてますよ!? また何かしたんですかー!?
夜半:人聞きの悪い。それじゃ俺がいつもリーザ君を苛めてるみたいじゃないか。
閣下:……五月蝿いぞ中原……少し、暑さにやられただけ、だ……
夜半:半日しか持たなかったなぁ。やっぱりしばらくはきついかな?
それにしても、あっちのリーザ君の行動、ずっと見張ってたの? 心配性だなぁ。
閣下:う、ううう五月蝿い!
我輩は貴様みたいに、分身出してもケロッとしていられる化け物では、無いのだ!
案の定、人前で堂々と消えたから…我輩が行ってなかったらどうなっていたことか…
幹雄:分身出すのって、そんな大変なんですか……?
夜半:うーん、そうだねぇ。俺は慣れちゃってるからなんとも言えないけど……。
例えるなら右手でピアノ弾いて左手でギター弾くみたいな?
幹雄:∑( ̄□ ̄;) それは大変ですよ!!
なんで、そんな無理をしてまで、リーザさんと閣下が分かれなきゃならないんですか!?
閣下:黙れ中原……あいつの恋路に、我輩が居たら邪魔だろうが……
幹雄:(なんで…閣下は自分が愛されない、っていう前提で物事を考えるのかなぁ…)