[NEWS]仙波くんのお父さん・4

○刊ねぎ秘密結社ニュース

※前回はこちら

 

(翌日、土曜日夕方)


梧

え、あのマンガ返して欲しい?いいよ
でも今ちょっと手離せないから取りに来て


継人:(なんでオレがあおに貸したマンガ返してもらいに社員寮まで行かなきゃなんねぇんだ…面倒くせぇな。社員寮、なんつーかあんまり近づきたくねぇんだよな……
早くマンガ回収してさっさと帰らねぇと。
いつも前もって連絡はないらしいが、今夜あたり父さんが帰ってくるらしいから絶対に顔合わせてやらなきゃ…

 ゾワ…………

継人:!!!!……やっぱり、きた……)

 ゾク……ゾクゾクゥ……

継人:(コレなんだよ……初めて社員寮に訪ねた時から、感じる……この悪寒
どこかから殺気を感じるというか、なんというか、表現できねぇ、嫌な感じ……

 ゾクゾク……ゾワワワワワ………

継人:(だんだん、近づいてくる……!)

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(継人の10m斜め後ろくらいで)

 

オサム:あ!こんちゃっス~!お買い物っスか?

夜半:どうも。そう、これから友達?が来るからちょっとお茶菓子を。

オサム:友達?ってなんで疑問形なんスかw

夜半:いや一方的に慕われてるだけのような気もするから。

オサム:なにそれストーカー!? ストーカーを茶菓子用意して待つんスか!?

夜半:まあそれは口実で俺が食べたかっただけなんだけどね。

オサム:なんスかそれ~w ウケるっスね!

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継人:(周りに特におかしいヤツや怪しいヤツはいない……けど悪寒が止まらねぇ……!
これだから社員寮には来たくなかったんだ……絶対、なんか「いる」だろ社員寮……!!
誰も何も感じないのか!?)

 

 

 

 

(203号室、梧の部屋)

 

梧:はいマンガ。長々と借りててゴメンね。

継人:おう、じゃあ帰る。

梧:え、もう?少しくらいゆっくりしていったら?

継人:ここにはもう居たくねぇんだよ。

梧:えー?そんなに居心地悪いほど汚くしてるつもりないんだけどな。
…あ、よく見たらなんかすごい汗かいてるね。体調悪いの?

継人:部屋が不満とかじゃねぇし、体調もなんともないが……なあ、梧は……

梧:

継人:……やっぱ、ちょっと邪魔するわ。

梧:はいはい、どーぞ。

・ ・ ・ ・ ・

梧:そういえば、継人が社員寮に遊びにくるのって、珍しいかもねー。
いつもは昨日みたいに実家で会うことが多いし。

継人:まあ……近づかないようにしてるからな、社員寮には。

梧:うん。なんかそんな感じだよね。意図的に避けてるな~という感じは、前からしたよ。

継人:別に、お前の部屋に来たくないとかそういうんじゃねぇんだよ。
社員寮に来ると……いつも、嫌な予感がするんだ。正直……なにか、「いる」感じがしてな……

梧:「いる」?継人って、橘兄さんみたいに霊感強かったりしたっけ?

継人:いや、生まれてこの方幽霊なんざ全く見たことないが……(※おそらくふるやん以外を指す)
ここにいるとずっと、ゾワゾワとした悪寒が止まらねぇんだよな…。

梧:うーん…兄さんほどじゃないにしても……僕も霊感あるといえばあるけど、ここで幽霊を見たことは、ないなぁ。

継人:でも、ここ確実になんか「いる」だろ!幽霊じゃなくても……妖怪とか、悪魔とか……うーん、なんつったらいいのか!

梧:妖怪……ね。まあ、そういうジャンルに幅を広げるなら、「いる」って言っていいのかな。

継人:!!!! なんだと!なんか心当たりあるヤツがいるのか!?

 

▼梧の言うところの該当者

 

梧:うん、そうだねぇ。そういう部類で言うなら。
でも「彼ら」のせいだとして、それが継人に悪寒が起きる理由とも思えないけどな…。
悪い人たちではないはず、だし。

継人:でも他に何がげんいn………ッ!!!

梧:!!? どうしたの!?

継人:何か……また、何か近づいてる!こっちに!
さっきほどの悪寒はしないけど……確実に何かが……(ガクガクガクガク

梧:こ、怖いなぁ……継人がまるでイタコか何かになったみたいだ。。

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(同時刻、102号室。夜半の部屋)

 

渉:こんばんは~。お邪魔します。

夜半:どうも。

渉:突然押しかけちゃってすいません。でも、リモート通話だと御真ごしんs……白鳥さんが操作方法難しいかと思いまして。

夜半:気を遣ってもらって悪いね。全くその通りだよ。会話は実際に顔を合わせてするほうが、ずっといい。
ま、お茶菓子も買ってきたし。食べながら話そう。

渉:わあ!これ駅前の人気スイーツ店のケーキじゃないですか!

(箱に6個入っている)

夜半:何個食べる?

渉:何個って……ひ、ひとつでいいですけど。

夜半:じゃあ残りは全部俺がもらうね。

渉:あははは…(相変わらず甘いのお好きなんだなぁ)僕も、豆大福を持ってきたので一緒に食べましょう。

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3時間後、203号室)

 

梧:うーん、脂汗と震えが止まらないみたいだから、とりあえず布団で寝てもらったけど……どう?少しは落ち着いた?

継人:まあ……少しな……

梧:兄さんに連絡とって、車出して送ってもらおうか?

継人:いいよそこまで……歩いて帰る。

梧:別に無理しなくても、今夜はこのまま泊まってもいいけど?明日は日曜だし。

継人:今日…今夜ばかりはそういうわけには、いかねんだよ……(起き上がる)

梧:仕方ないなぁ。じゃあ送っていこうか。

継人:いい。一人で帰れる…。

継人:(悪寒は相変わらず消えないが……少し慣れてきたか……?悪寒に慣れる、ってのもおかしな話だが……それより早く帰らねぇと、父さんが……)

渉:それじゃ、お邪魔しました。ケーキ美味しかったです!
今度、仙波さんにも会ってあげてください。

夜半:そうだね。ちょっと興味あるかな、その仙波くんとやらに。

継人:オレ………? 誰だ、この声………)

渉:あれ、白鳥さん。一緒に外出るんですか?

夜半:うん。ちょっとコンビニにね。

継人:……あんたら……オレがなんだって?

渉:? あっ……

 

 

(つづく)

 

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