(関東に台風接近中、桐島家)
上総:う~ん……これは……今まで見たこともないような嵐だな……
沙織:すっごいよね~。今さら台風来たところで何もいいことないんだけどさ~
学生のころだと「やった!学校休める!」ってちょっとワクワクしなかった?
上総:学校が休みになるだけで済めば……まぁ。
沙織:もー、カズくんは真面目だなー!
上総:けど……この酷い嵐、状況によっては避難も考えた方がいいかもね。
沙織:えーそっかな~?大丈夫なんじゃね?
(とか言っていたら停電になる)
沙織:うぉぉっ!? 停電―――――!?
(しかし1分ほどで復旧)
上総:戻った……けど、この状況だとまた停電になってもおかしくないね……。
一応、避難の準備をしておこうか。避難用具は普段から用意はしてあるし。
沙織:避難……避難か……つまりだよ、必要最低限のものだけを持って、その他は全て捨てる覚悟で命を守るために行動すること、だよね。
上総:そうだね。全くもってその通りだよ。
沙織:じゃあ、カズくんは生活必需品と、奏(娘)のことお願いね。
上総:? うん…。
沙織:……よし!(押入れからタンスからありとあらゆる箱を取り出す。すぐに部屋の足の踏み場がなくなる)
上総:!?
沙織:う~~~~~~ん………全部持ち切れるかな………
上総:いや、無理でしょ……
沙織:だよね……くっ……この中から厳選して持ち出すしかないなんて……(泣いてる)
上総:さすがに……オタグッズ関連は諦めた方がいいんじゃ……
沙織:無・理!!!!!!!!!!!
これらを全部捨てるなんて、カズくん鬼だよ鬼!!!!!!!!!!!
推しのグッズは、髪の毛一本だって国宝級のお宝なんだよ!!!!!!!!!
上総:(沙織の圧のすごさに何も言えない)
沙織:(以下、上総のリアクションは全く気にせず黙々と考え始める)
う~~~~ん、やっぱり全部持っていくのは不可能か………だとしたら、持っていくという発想は止めて、どんな天変地異が起きようともお宝を傷つけず無事に守り抜くかを考えるか……
火災が起きても燃えない頑丈な金庫にでも入れておくか……いやそれも入りきらないか……
上総:も、もしもーし? 沙織さーん??
沙織:となると……地下室……シェルター?とか作ればいいのか……
上総:(なんだか避難準備だけのはずがどんどん変な方向に行ってる……)
沙織:(少し考えこんだあと、無言で電卓を叩き始める)
上総:・・・・・・・えーと、何の計算をしているのかな?
沙織:オタグッズしまうシェルターを作る費用の計算。
上総:それ、この非常時にやることじゃないよね―――――!?
台風はもうすぐそこまで来てるんだから、無理無理!!!!
沙織:いや冷静に考えればわかるんだけどさー、つい、予算どのくらいあれば出来るのかな~?と……
上総:とにかく、今すぐこのオタグッズの山を守りたいのであれば、その行動は完全に無駄です。意味がありません。(きっぱり)
沙織:……もうっ、わかってるよぉ。そんなにハッキリ言わなくてもさぁー(´・ω・`)
上総:そんなことより、もっと現実的に考えましょう。今からシェルター作るのは100%不可能だけど……
沙織:だけど……?
上総:久我博士なら、台風を打ち消す大発明を持っているかもしれません。今すぐ久我博士に連絡取りましょう。
沙織:そっちの発想ッッッ!!???
上総:消えるのは沙織さんのオタグッズではなく台風の方だと、久我博士なら言い切りますよ。
……そう考えたら、何だか僕も楽しくなってきましたね。ふふ、ふふふふふふ………
沙織:あっ、なんか変なスイッチ入れちゃったな。まぁいいか。このお宝が守られるならなんでも!