(大島家)
梧:ただいま
(し~~~ん…………)
梧:(って、ついクセで挨拶を……今日も誰もいないんだった。
父さんも母さんも橘兄さんもまだ仕事、ちょいちょい遊びに来る義姉さんも、身重になってからはあまり来なくなったし…)
ま、独りのが気楽でいいけどね。買ってきた弁当でも食べるかな……
トトトトトトトト………(足音)
ララ:にゃぅぉ~~ん
梧:……ああ、ララ。ただいま。
そうだよね、ララがいるんだった。なんで独りだなんて言っちゃったんだろう。ごめんね。
ララ:にゃぅぉ~~ん、ゴロゴロゴロゴロ……
梧:(ララを抱き上げて毛並みに顔をうずめる)
ララ、かわいい……ずっと前から一緒にいるのに、なんで独りだと思ったんだろ。
今、ご飯あげるからね。ちょっと待ってて。
ガサゴソ……パキッ ←猫缶開けてを皿に入れている
梧:人付き合い……人間て、ホントめんどくさい。
適当にかわしてるつもりだけど、なんだかんだ疲れるよ。
ララに癒されて、なんとか毎日やってる感じ。本当にララが居てくれてよかった。
ララ:はむはむくちゃくちゃ………にゃうん。
梧:誰もいないからいいけど、こうやって猫と話してるとこなんて見られたら、変に思われそう。
ま、いっか。ララ、いっぱい食べてね。まだまだ、猫缶あるからね。
(しばらく、互いに黙々と食べ続ける)
梧:はぁ。お腹いっぱいだ。
ララ:にゃぅ~ん。ゴロゴロゴロゴロ……(梧の足元にすり寄る)
梧:ララ……(ララを抱き上げる)君はホントに、かわいいなぁ。もっと食べるかい?
不思議な色の綺麗な瞳………いつまでも見ていて飽きないな…………あっ。
(凝視したら、僕の能力が……って、猫に効くわけないか。今まで何度も見て……
……見て、見たことあったっけ……?)
ララ:……にゃ、にゃぁぁああっっっ!!!(足で蹴って梧から離れる)
梧:あっララ!! ごめんね、無理やり抱っこし続けちゃったかな……
……って、え!?
ラシェル:………っく、ふえぇぇ………
梧:………は? ラ、ララ………?
ラシェル:(……ど、どうして……梧さんの目を見てたら、強制的に変化が解除された……!?)
梧:ララ……ララなの?その姿……
ラシェル:………
(ガチャッ ←玄関開ける音)
梧:兄さん……!帰ってきたんだ。とりあえずこれ羽織って僕の部屋に隠れて!
(会社から着てきたコートをかぶらせて自室に連れ込む)
兄さんおかえり!僕ちょっと頭痛がするから部屋で寝てるね!絶対起こさないでね!
橘:? う、うん? まあいいけど……
(つづく)