(とある日、鳥居家主催のパーティーにて)
※千雪とかれんの関係についてはこちら
かれん:ねーねー、ちーちゃん、今週発売されたコンビニのどっぷり生クリームロールケーキでっかいイチゴのせ、食べた~?
千雪:な、なんですのそれ……私はコンビニなんて、低俗なお店のものなんて食べませんわよ。
かれん:ちっちっちっちっ、わかってないなぁ~ちーちゃん。いま、コンビニスイーツはうかつにバカにできないほど、めっちゃおいしいんだよ~?
千雪:そうなんですの? どうでもいいですけど。
かれん:どーでもよくないよぉ!ホントなんだって!TVでも一流パティシエが合格点出すくらい、めちゃうまなんだってば~!ほらほら!(有名シェフがSNSでコンビニスイーツを推している様子をスマホで見せる)
千雪:……ほ、本当ですわ……この方、確か世界的にも有名なパティシエ……うちにも何度かお招きして作っていただいたりもしたわ。
かれん:でしょでしょでしょー?すごいんだって!コンビニだからって、スルーしてたらもったいないよぉ!今度食べてみて!あっ、そうそう、今ならね~
千雪:今なら?
かれん:スイーツ2個買うごとに、いま人気のアニメ「名探偵ナン子」のクリアファイルが1枚もらえるんだって~
千雪:!!!! ……へ、へぇ、そうなんですの。別に、興味ないですけど。
かれん:えー。
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(深夜11時、某コンビニ)
千雪:(……べっ、別に、スイーツが気になるからとか、ナン子さんのクリアファイルが気になるとか、そういうんじゃないんですからねっ……
た、ただっ、社会勉強として、コンビニでもお買い物の仕方くらいは、学ばないとと思って………)
(両腕でスイーツを6つ抱える)
千雪:(う……油断すると落としてしまう……)
店員:お客様?
千雪:きゃぁぁあっ!な、なんですの!わたくしはただ……っ
店員:よろしければ……カゴをお使いいただければと(買い物カゴを差し出す)
千雪:あ、ありがとう……気が利きますわね。
店員:いえいえ~
千雪:(それにしても……本当に美味しそう……さすがパティシエが認めた逸品ね。
それと、クリアファイルは全部で4種……あと2つ購入すれば、全種類コンプリートできるのね……
ならば、あとはこれと、これかしら。………よし。
………………
これを、どうすればいいのかしら?)
店員:あっ、お客様お会計ですか?(千雪がレジ前で立ち尽くしていたので察した)
千雪:えっアッはいっ
店員:ではカゴをこちらへ~
千雪:こ、ここに置けばいいんですの?(どさっ)
店員:ピッ、ピッ、ピッ……(黙々と商品をスキャン)2278円です。
千雪:あ、あらそう。(優雅にプラチナカードを店員に差しだす)
店員:あ、そちらのカードはご利用になれません…申し訳ありません。
支払いはセルフになりますので、そちらの投入口にお金をお入れください。
千雪:せるふ?
店員:タッチ決済をご利用の場合は電子マネーの種類を言っていただければ
千雪:タッチけっさい……でんしマネー……ええと
(どうしましょう…支払いはいつもカードか、執事が財布から出していたからわからないわ…
……んもう、現金が一番わかりやすいですわね!)
(ごそごそごそごそ……)← 財布の中身をあさりだす
”バラバラバラバラッ チャリンチャリンチャリ―――――ン!!!” ←財布の中身を盛大に落とす
千雪:キャ――――――!!(やっやだ私ったらああもう慣れないことはするものじゃないわ!!!)
??:あらあらたいへ~ん!拾うの手伝いましょうか?
千雪:あっ、ありが………!!?
明:あっれぇ?千雪ちゃんだぁ~♥ こんなとこでこんな時間に会うなんてビックリねン♥
千雪:げっ……何故私が鳥居千雪だとわかって……!? なるべく目立たないように変装もしたというのに…!
明:あはは、変装?超目立ってるよw っていうかボクのこと誰かわかる~?
千雪:た、確か貴方は……成沢さんのご主人……
明:あったり~♥ そういえばこう面と向かって話すのははじめてだったりするかもねン♪
千雪:(なッ……なんてこと……!!! 知り合いに会わないように、家の使用人たちにも会わないように、家から遠くのコンビニを選んだのが、仇になってしまうなんて…ッッ)
明:ウチすぐそこなんだよね~♪千雪ちゃん、おウチこのへんだったっけ?こんな時間にお買い物ォ?
千雪:い、いいえ……家はこの辺りではありませんが……ちょっと、お出かけついでに立ち寄っただけですのよっ……
店員:あ、あのお客様……お支払いは……(おどおど)
千雪:あ、ああぁっごめんなさいね。まずはお金を拾っ……(あせあせ)
明:支払いはこのカード一括でお願いしますン♪
千雪:!!??
店員:かしこまりました~
明:(ピピッ)
店員:ありがとうございました~
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千雪:慣れない買い物で取り乱してしまって…助かりました。ありがとうございます。
今のお買い物、お代はいまお返ししますわね。
明:いーよいーよ♪ 気にしないで~♥ボクのおごり♥♥
千雪:えぇ…!? 何故私が貴方におごってもらわなければならないんですの…!?
明:ん-特に理由はないけどン? そーねぇあえて理由をつけるなら~
……意外な場所で意外な時間に千雪ちゃんに出会えた偶然に感謝したいからかなン?
千雪:い、意味わかりませんわねッ
明:あとォ………それ♥(指さす)
千雪:!?
明:名探偵ナン子、面白いよねン♪ボクも大好きで観てるわン♥
千雪ちゃんもナン子好きだったんだね~♪
千雪:いいいいいいえそんな!こんな深夜アニメなんて私別に観ていなっ、、
明:あはははは、その割に「深夜アニメ」って知ってるんだぁ~?w
千雪:(ぎくぅっ)
明:別に好きなものを好きって言うのは悪いことじゃないと思うわン♪
コンビニスイーツが好きな千雪ちゃんも、アニメが好きな千雪ちゃんも素敵よン♥
千雪:は、はぁ……
明:じゃぁね~ン♥♥♥ 帰り道気を付けてねン♪
千雪:(ポカーン……)へ、変な人………