氷雨:歓子ちゃん、本ありがとう!すっごい面白かった…♥
歓子:でしょでしょ!この「学園王子ラブ♥パッション」、すごい人気だよね!
最新刊、本屋さんで最後の一冊だったけど買えてよかった!
氷雨:特にラストの……先輩に壁に追い詰められるシーンが
歓子:追い詰められる?……あぁ、壁ドンか!
氷雨:かべどん?
歓子:そそ、壁に手をドン!って突いて
” ドン! ” ←氷雨に壁ドンしてみせる
歓子:「オレのそば、離れるなよ」
氷雨:ひゃ、ひゃぁぁっっ♥
歓子:こういうのを「壁ドン」って言うんだよ!……あはは、氷雨ちゃん、あたし相手にそんな真っ赤にならなくてもw
氷雨:だ、だって……あのマンガと同じシーンでドキドキしちゃった……いいなぁ、壁ドンか……
歓子:氷雨ちゃんは青木にやってもらえばいいじゃん。
氷雨:!!
歓子:好きな人に壁ドンしてもらえたら、すっごいときめいちゃうと思うよ~?♥
氷雨:青………ひろし さんに、壁ドンか………
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(数日後、週明けの昼休み。屋上の手前の階段の踊り場)
大空:昨日観た映画面白かったね~氷雨ちゃん!
氷雨:うん。あの、主人公がラスボスの城をパンチ一発で沈めるところとか……すごかったなぁ
大空:カッコよかったよなー!ゥォオラァァァァア!!! ドガァァァァン!!!! って、粉々にしちゃったもんな!
俺も、あんなマンガみたいなヒーロー、憧れるよ!
氷雨:(マンガ……)
大空:ヤァッ!ハァッ!! ウォリャァァ!! キーック!!! ってな!あはははは!
氷雨:あ、あの……青……ひろし さん
大空:ん?
氷雨:……壁ドン……してください
大空:え なに?かべ、どん??
(※説明しよう!大空は少女マンガには普通に疎かった!)
氷雨:あっあのっ…こないだ歓子ちゃんに借りて読んだマンガで壁ドンのシーンがあってすごいかっこよくて感動しちゃってそれを青っひろしさんにやってもらえたらうれしいなってあっその「学園王子ラブ♥パッション」っていう少女マンガなんだけど今女子の間ですごい人気の少女マンガで(超早口)
大空:んんんん???歓子ちゃん?少女マンガ??
氷雨:(あーっもう恥ずかしいっっ!)とにかく!私を壁に追い詰めて壁にドーンって拳をぶつけてください!!! それが壁ドンです!!!
大空:氷雨ちゃんを壁に追い詰めてドン?ってやればいいの?
氷雨:! そっ、そうですっ…!!(それに加えて愛の告白とか聞けたらなおいいけど……!)
大空:………! あっ、もしかして……わかった!やってみる!
氷雨:(わかってくれた…!)
大空:(……じりっ……)←氷雨を壁際に追い詰める
氷雨:ひゃっ……!(緊張する…!)
大空:(徐々に顔を近づける)
氷雨:(どきどきどきどきどきどきどき……♥)
大空:……………せーのっ
氷雨:せー…………のっ?
” ド――――――――――――ン!!!!!! ”
氷雨:………………は?
大空:うぎゃ――――――しまった!!! 力加減ミスったわ――――――!!!
氷雨:……えと、あの、なんで壁壊してるんですか?
大空:いや、あの、昨日観た映画のシーンの再現かなァ……なんて……ほら、パンチで城をブチ壊して…
氷雨:そんなシーン再現してどうするんですか――――――!!!!
っていうかここ何階だと思ってるんですか!こんな大穴開けて落ちたら死んじゃいますから!!!!
大空:うわわわわわゴメンて――――――!!!
眞妃:………青木さん、壁の修理代はお給料から天引きしておきますね(怖い笑顔)
大空:うわっ成沢部長どっから!? ってかごめんなさい――――――!!!!
氷雨:(しょんぼり)