紅葉:(は~せっかくいい天気でいい気分の日曜なのに、パチで給料全部スッちゃって萎えるわ~
パパ[ヤクザの組長]におねだりすればいくらでもくれるけど、ウザ絡みされるのもダルいしな~)
女の子:…ごめんなさい。人と待ち合わせしてるので…
チンピラ男A:そんなのどーでもいいじゃ~ん。オレらがもっと楽しいトコ連れてってやるよ!
チンピラ男B:ツレも女の子かな?2対2でちょうどいいじゃん!
女の子:あの…困ります…!
紅葉:(お。いいカモはっけ~ん)
お兄さんたち、お姉さん困ってるよ?やめてあげたら?
チンピラ男B:あぁ?なんだテメ……(お、ちょっとかわいい)
紅葉:ボクちょうどヒマしてるんだ~♪ 良かったらそのお姉さんの代わりに一緒に遊んでくれないかなぁ?
チンピラ男B:え、ど、どうする?(Aを見る)
チンピラ男A:いいんじゃね?(小声)おっぱいちっちゃいのが残念だが
紅葉:(聞こえてるよバーカ 男なんだからおっぱいなんてあるわけねぇだろ)
チンピラ男B:オレぶっちゃけこの子のが好み!いいぜいいぜ遊ぼ!
紅葉:わぁいやったぁ♥(とびっきりの笑顔)
チンピラ男A:(まぁ悪くねぇ…か?)よし、じゃあお兄さんたちと行こうか!
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(どこぞの人気のない裏路地。横たわるチンピラ2人)
紅葉:……チッ、しけてんなー。3万しか持ってねーのかよ。
後は全部クレカとキャッシュレスかよ。こーいうのは使うと足がつくしなー。
ま、今日はこんなもんでいっか。
真凛:(パチパチパチパチ)いやー、この袋小路に男をおびき寄せた後の叩きのめしっぷりは目を見張るものがあったねー。
紅葉:? ……あれ、確かあんたは……総務部にいたような?名前忘れたけど。(同じフロアなのでうっすらとは覚えている)
真凛:天道院真凛!覚えておきたまえ、購買部の宮川紅葉くん!
紅葉:っていうかいつから見てたの?そんな高い塀の上に仁王立ちとか、ちょっと、いやかなり頭おか……怪しいんですけど。
真凛:いつからもなにも、キミがあのチンピラ君どもに声かけてたあたりから、ずっと着いてきてたよ!
紅葉:へぇ……(全然気づかなかったな…一応周りの人の気配には気を配ってたつもりだけど)
で、何?僕のやってることにクチ出ししようってわけですか?
真凛:クチ出し?そいつら気を失わせてサイフからお金抜き取ってることにかな?
紅葉:こいつら勝手に僕を女だと思ってたみたいだし?僕ひとことも女ですーなんて言ってないし。ちょっと人気のないとこに向かってったら脚とか手とか触ってきたから危険を感じて正当防衛しちゃっただけだし。で、お金はセクハラに対する慰謝料と、そもそもゴハンおごってくれるって言ってたからそのお金だし。
真凛:あっははははは、やり口がヤクザのソレそのものだわぁ!オモシロ!
紅葉:まぁヤクザ育ちだし。
真凛:別にカツアゲとか窃盗とかを通報しようとか、全然そんな気ないんだなぁ私は!
忍の道でも、時と場合によってはそういうスキルも必要だしね!
紅葉:シノビ??
真凛:ねー宮川くん。単刀直入に言うね!忍者になる気ない?
紅葉:は?ニンジャ?何ヘンなこといってんですか。
真凛:ヘンじゃないって!私ん家、忍者の家系なんだけどね。
紅葉:ニンジャだかサムライだか知らないけど、令和のこの世にそんな時代錯誤なモノ、あるわけないじゃん。
真凛:お?言い切ったね? じゃあ、試しに私に襲いかかってみなさい。忍者の実力見せてあげる!
紅葉:え……何の理由もなしに女殴るような真似したくないんだけど。訴えられたらヤダし。
真凛:ほう、私に有効なダメージを与えられる自信があるの??
紅葉:(カチン)
真凛:言っとくけど私、そこらの男より強いよ?まぁ勝てる自信ないなら無理にとは言わないけどー
紅葉:(無言で殴りかかる)
真凛:おっとぉ~(颯爽と避ける)
紅葉:!
真凛:やる気無さそうに見せかけて不意打ちするのも、君のやり口かな?
紅葉:……別に、正々堂々とやったって、普通に勝てるけど?
なんかムカつくから、手出してみただけ(再度、無言で拳を振るう)
真凛:ひょいっと!
紅葉:!(速い…この女)
真凛:本気で来なよ。
紅葉:………誘ったのはそっちってことで。
” シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ! ”
紅葉:(クソッ……全然当たらない)
真凛:……おっと!(避けた際に少しバランスを崩す)
紅葉:(隙あり!)
真凛:!! 危ねっ!(シュパァッ!!)
” ビリィッ!! ” ← 紅葉のTシャツが裂かれる
紅葉:げ!何すんだよ!!
真凛:あーゴメンゴメン!! 武器出すつもりなかったんだけどついとっさに!
紅葉:あ――――――も――――――!! このTシャツ気に入ってたのに!!
真凛:……………(Tシャツの前面が派手に真っ二つになり、露わになった紅葉の上裸に視線が行く)
紅葉:ケンカすんのに服汚すのとかは日常茶飯事だけどさぁ、破れるのとかは気を付けてるのに!どうしてくれr……………なんだよ、人のことジロジロ見て。
真凛:………宮川くん、すっげイイ筋肉してるね。
紅葉:あ?
真凛:決めた。私、君を絶対忍者にする。
紅葉:ハイ???
真凛:私、身体能力高い婿候補を捜してるんだよね。最初は奥田部長にロックオンしてたんだけどさー、どうやら無理そうだから、最近新しい候補を探してたんだよね~。
紅葉:ムコ候補…?
真凛:言ったでしょ。ウチは忍者の家系で。私は家を継いで、忍者の家系を途絶えさせたくないんだ!
紅葉:ふーん……
真凛:キミのその身体能力の高さは魅力だし、何よりその筋肉!うん惚れた!故郷に連れ帰って私の婿にして、身体能力の高い子孫をいっぱい残させてもらうよ~うふふふふふふ♥♥♥(暗黒微笑)
紅葉:子孫を残す?つまり僕があんたと結婚するってこと?
真凛:そうだよ!もう離さないからね!
紅葉:……ぶっちゃけ、あんた僕の好みじゃ、全っ然ねーし。
真凛:私も、身体能力と筋肉以外は特別、好みじゃないなー。女顔だし背もちっちゃいし。
紅葉:言ったな。僕もあんたみたいなアタオカ女、お断りだよ。
でもいいよ、結婚しようか。
真凛:ファ!?
紅葉:なに驚いてんの。そのつもりなんでしょ。結婚してやるよ。そっちに婿入りすればいいんでしょ。僕、六男だし婿入りにはうってつけだよ?
真凛:ろくなん!? そんなに兄弟いんの!?
紅葉:でも色々事情あって、ヤクザの実家の跡取りの第一候補にされててさー、跡取るのだけは絶っっっっっ対に嫌だから、婿入りするのは願ったりなんだよねー。
真凛:ひゃぁ…
紅葉:だからなに驚いてんの。故郷に連れ帰るとか子孫残させるとかアブねーこと言ってたわりに、びびってんじゃん。
真凛:い、いや…だって、こんなにトントン拍子に条件飲んでくれる男がスポーンと現れるなんて初めてで…
紅葉:あーでも最初はフツーに交際ってことにしとく?会社もまだ入ったばっかだし。
真凛:あ、そ、そうデスネ…
紅葉:ま、契約みたいなもんだし、お互い好きに過ごそーね。あんたも好きに何人でも彼氏作っていーよ。僕も女何人でも作るし。
真凛:ひゃぁあ――――――い!? 何ッッじゃいそれぇ!?
紅葉:言ったでしょ僕あんたのこと好みじゃねーし。これは利害一致の契約ってことで。あんたは身体能力高い婿が欲しい。僕は実家継がないために婿入り先が欲しい。win-winじゃん。
真凛:それはそうだけどぉぉっ……
紅葉:さーてさっき回収した金でパチってこよ。じゃーねー婚約者さん。
真凛:ひ、ひぇぇっぇぇええええ!! なんかスゴいコトになってんですがああああ~~!!?? 奥田部長が手ごわかった分、展開早すぎて逆についてけないぃぃ~……