(終業後、購買部)
氷雨:はぁ……ようやく終業ですね。お疲れ様です。
愛子:今週は忙しかったねーっ!でも頑張って納期に間に合わせたし、今日は定時で帰れる!
氷雨:そうですね!あっ、愛子おねえさま♥ もしこの後お暇でしたら一緒にお買い物でも…
愛子:無理!
氷雨:(ガ――――――ン!!)
紅葉:断るにしても言い方…
愛子:あ、いやいやいや、ゴメンね!? この後ふつーに用事あって!ゴメンね!
氷雨:そ、そうだったんですか……なら仕方ないですね。
じゃ、じゃあ駅まではご一緒してもいいですか?私も駅前に買い物に行きたいので…
愛子:いいよー!あっ、着替えちょっと時間かかるかもだけど、いいかな?
氷雨:? いいですよ。
(着替えて更衣室から出て、待つ氷雨。何故か紅葉も待つ)
氷雨:(確かに、ずいぶん時間がかかってますね……何をしているんだろう?)
紅葉:百武さん遅いねー。なんだろ。パパ活の身支度?
氷雨:ぱぱかつ?なんですかそれ。
紅葉:朝霧さんが知ったらぶっ倒れるようなコト。
氷雨:どういう意味ですか。そういう含みを持たせた言い方、嫌いです。
紅葉:あっそう~。
氷雨:(むぅ……この人、女の子みたいな顔してるから話しやすいかと思ってたけど、やっぱり男だからむかつく…)
” ガチャ ”
愛子:おっまたせ~…(照れ照れ)
氷雨:わ、わぁ……愛子おねえさま、綺麗です……!!!
紅葉:パパ活にしちゃちょっとフォーマルなような?
愛子:(ズビシ!! ← 紅葉にチョップ食らわす)誰がパパ活じゃ!
氷雨ちゃんの前でそういうコト言わない!!
紅葉:いってぇ……この人筋力あるから普通に痛ってぇ……
氷雨:これから何かあるんですか?とっても素敵なドレス…!お化粧もばっちりですね!
愛子:あー、これからちょっと結婚式に呼ばれててね~。
紅葉:結婚式……こんな夕方から?二次会とか?
愛子:んや、ごくごく身内だけのホームパーティーみたいなもんだから、いちおう一次会ってことになるんかな?
紅葉:ふーん。ごくごく身内ねぇ。兄弟とか?
愛子:いや父親。
紅葉:ふーんちちおy……ちちおやぁ!?
氷雨:お、お父様ですか………って確か愛子おねえさま、ご両親と同居されてませんでしたっけ……?
愛子:あーうん一応血の繋がった両親とは同じ家に住んではいるよー。
紅葉:住んで「は」いる、とはまた珍妙な言い方だなぁ。
愛子:でもあたしの両親はとっくの昔に離婚してんだ。だからウチのパパとママは同居人ってことになるんかな?
紅葉:すごい家族構成だなぁ。なんで同居するのに離婚してんの?母子家庭手当でも不正受給してんの?
愛子:(ズビシ!! ← 紅葉にチョップ食らわす)そんな狡いマネするかっての!
単純に、パパの女癖悪すぎて色々めんどくさくなってママが籍抜いただけだって!
紅葉:(頭さすりながら)へ、へぇ……元夫をATMと割り切ったのか。なかなか面白いなぁ。
で、めでたく再婚してパパは家出て新婚生活はじめるのかな?
愛子:んや?同居のままだよー。
紅葉:意味わかんねえ
愛子:ママと別れてからパパが再婚するの、これで6回目だしねー。
紅葉:(絶句)
愛子:もう、家を二世帯住宅にしてパパ夫婦と、ウチら百武家で同居すれば色々面倒なことなくていんじゃね?ってことになって。
二階部分でパパは奥さんとっかえひっかえしてるよー。ウケるよね。
紅葉:なるほどね…………(超小声)百武さんのビッチは父親譲りってわけか
じゃあ、もしかすると百武さんには腹違いのきょうだいがいっぱいいるとか?
愛子:いないよー。同じママから生まれたお兄ちゃんひとりしか。
紅葉:やっべ。結婚6回もしててなんだその徹底された避妊。逆に怖いわ。
愛子:パパが、「自分の子は2人以外は要らない」って、手術して子供作れないようにしちゃったからね。だからヤリたい放題だよ。あはは!
紅葉:うわ……ウチも大概だけど百武さん家もかなり異じょ……変わってるね。
………あれ、そういえば朝霧さんは?なんか静かだけど。
氷雨:
紅葉:思考停止してら。さすがについてけなかったか。