幹雄:どうしてこんな事に……
閣下:つべこべ言うな中原!
この我輩が、自ら出向いて料理してやろうというのだ、ありがたく思え!
幹雄:……えーそんなわけで……(カンペ見ながら)
本日はリーザ閣下が和食作りに挑戦されるということで…
僕、アシスタントのなかはr
閣下:馬鹿者―――!! まず主役の我輩を紹介せんか!!!
幹雄:ひぃぃぃ!? え、えとあの、主役というか偉い人は
最後に紹介するものなんですよ!(無理矢理こじつけ)
閣下:ふん……なら良いのだが。
幹雄:というわけで始めましょうか……
閣下:( ゚Д゚) おい!? 紹介は!??
・ ・ ・ ・ ・
幹雄:今日は、閣下には筑前煮を作っていただきます。
材料は全て用意されて、目の前に置かれてますが
何を何g使うとか、そういうことは一切考慮されずに置かれています。
そこは閣下の力量で何とかしていただく、そういうコーナーです。
閣下:ふん、我輩も見くびられたものだな。
分量など我輩の腕を持ってすれば恐れるに足りん。
幹雄:必要な調味料、調理器具も全て揃っていますので、
閣下の思うとおりに使ってください。
閣下:なるほど、了解した。好きなように使わせてもらおう。
……ところで中原、貴様は何の為にここに居るのだ?
貴様の手助けやアドバイスなど無用だぞ?
幹雄:ええ、はい。むしろ手助けやアドバイスはしていけないとの命令を受けてます…。
閣下:ならば何しにここに来ておるのだ!?
幹雄:手助けはしてはいけないけどツッコミは適度に入れろと言われました…。
閣下:(゚Д゚) なんだと
ツッコミなど入れる隙も無いほど完璧に調理してみせるわ!!!
貴様の無能っぷりを身に染みて感じ取るがいい!!!
・ ・ ・ ・ ・
幹雄:というわけですので、僕は見てるだけですので始めて下さい…お願いします…
閣下:五月蝿い奴だな、わかっておる!
(ホワイトボードに書かれた「『筑前煮』二人分」という文字に視線を向ける)
ふむ、今日はこれを作れば良いのだな。おい中原!!!
幹雄:(『お前なんて要らない』って言ったくせに早速呼んだ――――!?)
は、はい!なんですか!?
閣下:これは何と読むのだ!?
幹雄:∑( ̄□ ̄;) 酷すぎる出オチ―――!?
え、ええと、それは「ちくぜんに」って読むんですよ…。
ていうかさっき筑前煮作ってもらうって説明しましたよね !?
閣下:筑前煮…確か代表的な日本料理だと聞いたことがあるな。
幹雄:そ、そうですよ。では特別に完成品の写真をお見せしますね。
(※ 一例です)
閣下:そうそう、これだ。あの小僧がよく晩飯に出すものだ。
幹雄:(閣下のお家の食卓はパノスくんが守っているんだね……)
閣下:普段食しているものなら楽勝!よし調理するぞ!!
—————————————————
【調理台に適当に置かれているもの】
・鶏もも肉…2枚
・にんじん…2本
・れんこん…2本
・こんにゃく…2枚
・ごま油…300ミリリットル(瓶入り)
・だし汁…鍋にいっぱい
・砂糖…1kg(袋入り)
・みりん…1リットル(瓶入り)
・醤油…500ミリリットル(ペットボトル入り)
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【調理場のどこにも書かれていないが正しい分量】
(二人分)
・鶏もも肉…1枚
・にんじん…150g
・れんこん…150g
・こんにゃく…小1枚(150g)
・ごま油…大さじ1/2
・だし汁…カップ1/3
・砂糖…大さじ1/2
・みりん…大さじ1
・醤油…大さじ1
—————————————————
閣下:ハハハハハハ!!楽勝楽勝!我輩の包丁捌きを見るがいい!!!
幹雄:!!……す、すごい!普段料理しないとは思えないほど、
意外にも様になってる…!!
(しばらく閣下が包丁で具材を切り刻む音が響き渡る)
閣下:……ふぅ……良し、全て切り刻んだ!
幹雄:……あ、あの……閣下……
閣下:なんだ中原!!
幹雄:材料、ぜ~んぶ刻んじゃったんですか…?
閣下:(゚Д゚) それの何が悪い!?
幹雄:(´□`;)ひぃぃぃ!
だ、だって全部刻んだってことは全部使うってことですよね!?
閣下:当たり前だ!! この刻んだ具材どもをこうしてだな…(鍋に全て投げ込む)
幹雄:∑(;゚□゚)あぁぁぁぁぁ!!??
閣下:調味料をッ!! 加えるッッ!!!(瓶や袋の調味料を開けて全て投げ込む)
幹雄:∑(;゚□゚)溢れてますよぉ――――――!!??
閣下:………おかしいな………筑前煮というものはスープ料理か何かだったか……?
幹雄:なんで分量とか考えないで
ある物全部入れちゃうんですかー!?
閣下:五月蝿いぞ中原!貴様は何も言わずそこで立っているだけであったはずだろう!?
……ふん、まあいい。水分など煮込んでるうちにきっと蒸発してしまうだろう。
幹雄:それ蒸発するまでって……一体何日間煮込むつもりですか……
閣下:(睨む)
幹雄:あはい……僕黙ってます……
・ ・ ・ ・ ・
(何時間煮たのかはさておき完成。当然ながら水分はほとんど減っていない)
閣下:………(出来に納得いっておらず不満そうな顔)
幹雄:あの、完成……でいいんですよね?
閣下:(゚Д゚) これ以上待っていられるか
不愉快な!!!
さぁ、この我輩の特製筑前煮を、誰が評価するのだ !?
幹雄:それはもちろん……僕らの上司のこの方です。
夜半:何これ。スープ?
閣下:∑(゚Д゚;)ヒィィィィィ!? 貴様いつからそこに居た!?
夜半:煮込んでる間にこっそりと。
幹雄:え、えっとあの、部長、……これが、閣下が作った筑前煮…らしいです。
頑張って食べて、評価をしていただけませんか…。
閣下:(゚Д゚) さり気なく失礼な物言いだな中原!?
夜半:はぁ。まあこれも仕事みたいだし仕方ないよね。(面倒そうに一人分よそる)
閣下:……………(内心、くっそまずくて殺されたらどうしようとビクビクしてる)
夜半:(ひとくち食べる)
幹雄・閣下:(どきどき)
夜半:……お、結構美味しいじゃない。
閣下:!?
幹雄:(;゚□゚)えぇ――――――!!??
夜半:見た目はアレだけど…これ美味しいよ。今日の晩御飯にもらっていこうかな。
閣下:ふ……フハハハハハハ!見たか中原!これぞ我輩の力!!!!
バケモノ魔導師の舌さえも唸らせる我輩の腕!!!どうだまいったか!!!!
幹雄:………あ、、(この筑前煮……みりん1リットルと砂糖1kg入ってるから……
相当甘いはず。。
部長の味覚は若干おかしいところあるからなぁ………)
※というわけで、よいこのみなさんはマネしないように。