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[小説]因縁 – Connection -(2)

それから二年後の、10月。美彦達は三年生になった。不幸なのか幸いなのか。毎年クラス替えがあったのにも関わらず、美彦もみゆきも、ずっと同じクラスであった。相変わらずみゆきを追いかける美彦。相変わらず美彦を相手にしないみゆき。そんな様子を傍から...
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[小説]因縁 – Connection -(1)

4月。「体育館前の掲示板に、クラス分けが貼り出してあるので各自確認のうえ、それぞれの教室へ行くように。」入学式を終え、学年主任がそう指示すると、新入生達は一斉に体育館前の掲示板へと向かって行った。ここは、私立春雨高等学校。都立の名門校である...
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[小説]因縁 – Connection -(プロローグ)

とある年の、2月。東京都立英南台高等学校。今日は入学試験が執り行われており、たくさんの受験生達でごった返していた。そんな中…校門前に、目の下にクマを作った坊主頭の中学生が一人、不気味な笑みを浮かべて仁王立ちしている。「ふ……ふふふははは……...
小説/タイトル一覧

[小説]因縁 – Connection –

時は十数年前――――名門私立高校を受験に来た美彦は、消しゴムを忘れてきてしまい、試験会場で大騒ぎする。そこで、未来の妻であるみゆきと初めて出会うのだが…。これは、柴田美彦・みゆき夫妻がまだ交際していない頃の過去の物語です。【登場人物】(過去...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(終)

犯人は無事、逮捕された。ニュースや新聞では、大きく報道されている。犯人が捕まったことも話題の一つなのだが、注目されたのは、犯人が警察署の前にダンボールに詰められて『置かれて』いたことだった。ダンボールを開けてみると、ズタボロになった犯人がそ...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(4)

週が明けても、やはり結佳は会社に姿を現さなかった。「関口サン、ドーシタんデスカね~。」「関口さんがいないと、寂しいね…」「奥田サン、何か聞いてマセンか?」結佳を心配する総務部の面々の視線は、早瀬に集中した。「あ…ああ、ちょっと体調を崩してい...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(3)

翌日。「関口さんが休みなんてめずらしいねえ。」総務部の席が一つだけ空いていることに違和感を感じたみはるが呟いた。「ここのトコロ気温が上がったり下がったり、晴れたり雨降ったりシテマスからネ、体調くずしたのカモしれまセンね。」何の気なしに話すみ...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(2)

結佳は、夢を見ていた。…「結佳ちゃん……お父さんとお母さんはね、亡くなられたのよ。」「なくなった?どこにいっちゃったの?」「遠い…お空に行ったのよ。うんと遠いところへ…」「なんで?どうして!結佳をおいてどこいっちゃったの?」「……………」「...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(1)

それから数日後。時計は5時。終業を知らせるチャイムが鳴り響く。それと同時に、関口結佳は席を立った。「すいません…それじゃ、お先に失礼致します。」素早く机上を片付けると、結佳はそそくさとその場を去った。「関口さん、ここのところ毎日定時で帰るね...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(プロローグ)

ある日曜日の夜。 ドカッ!!「っだぁっ!!」TVを見ながら横になり、うたた寝していた柴田美彦の頭部に、妻・みゆきの蹴りが炸裂した。「起きろ、飯が出来た。」「な、何も蹴らなくても……」頭をさすりつつ、食卓に着く美彦。「休みだからって寝てばかり...