[小説]愛と青春のボンソワール(6)

小説/本文

その夜、4人は雄三の家に一泊した。
(あれだけ屋敷のSPとやりあったのに…(笑))

そして、一夜が明けた。

「せりくおおおおおお!!!!!!日本がイヤになったら
いつでもお父さんの所においで!!!!!ねっ!?ねっっっ!?ねええええっっ!!!??」

雄三は、いつまでたっても芹子にしがみついたままだ。
「お…おとうさん…くるしいってば……」
雄三は、芹子と別れるのがよほど辛いのか、涙ボロボロ、
鼻水(鼻血とブレンド状態)ダラダラ、よだれドロドロで
大泣きじゃくりである。
「……芹子……文通くらいしてあげたら…?」
あまりにも悲しみ方が酷いので、眞妃が気遣う。
「おじさまっ!!あたしもおじさまと別れるのが悲しいっ!!!」
そう言って愛子も泣きながら雄三にしがみつく。
「…愛子…(汗)」

どうしようもない3人(正確には2人)を、気の済むまで
別れを名残惜しませたあと、一行はヘリで空港へと向かった。

空港に到着した4人。
「そういえば…みはると大島さんはどうしてるのかしら?」
眞妃があたりを見回す。
一応、昨日二手に分かれたときに
『明日の朝10時に空港の待合所で待ち合わせ』と
決めていたのだが、二人は見あたらない。
「そういえば…昨日あの二人、一晩一緒だったってことだよね?」
悟史は ニヤリ と笑う。
「まさか…『二人で夜明けのコーヒー』状態だったりしてっ!!!キャーッ!!!」
愛子は浮かれる。
「え、大島くんとみはる、一緒にドイツ来てたの!?」
芹子は驚く。
「いや…あいつ(橘)にんな度胸はねえだろ」
満が一言そういうと、一同は

『ごもっともです。』

と、静かに納得。

ズズゥゥゥゥゥーー…………ン

その時、何か、重たく大きいモノが落ちるような音がした。
「な……何の音……?」

ズズゥゥゥゥゥーー…………ン

音は、だんだんこちらへと近づいている。
「地震…にしてはちょっと変だな…」

ズズゥゥゥゥゥーー…………ン

    ” お~~い~~ みんな~~~ ”

『!?』
突然、辺りが暗くなる。
一同は、空を見上げる。
すると………

なんと、体長200mはあろうかという、
超巨大化した久我が現れた。
よく見ると、巨大久我の肩には、みはると橘が真っ青になって
しがみついている。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
しばしの沈黙。
そして・・・
『ぎょぉぉぉぉええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!』
全員の眼球と舌が2メートル飛び出てバチン!と戻った。
「なっ!なっ!!なっ!!!なぺぼらどっぷらゆゆっけほーい!!!」
「あ、あ、あはははははは・・・・うへほへひへへへへへへへへへ・・・」
「い、忙しいんだから、忙しいんだから・・・」
全員動揺している(笑)

バタバタバタバタ・・・・・
ドイツ空軍の新鋭攻撃ヘリが現れた。
しかしヘリには巨大な電光掲示板が取り付けられている。
そこにはドイツ語で、
『我々地球人は友好的であり、あなた方を歓迎する』
などとメッセージが表示されている。
それを見ると久我は嬉しそうに微笑み、口を開く。
『異星人ガ何カシャベルゾ!!』
ドイツ空軍のパイロットが叫ぶ。しかし久我は口から・・・
怪光線を吐いた。
『何ィィィッ!!!???』
「ぴかぁぁぁぁぁっ!!!」
変な掛け声と共に、光線がドイッチュランドの街並を薙いだ。
一瞬の後に地響きが起こり、光が走った地面から妖しい植物がニョキニョキと生えた。
「ぴっかぁぁぁぁぁっ!!!」
再び怪光線。
今度は社員達のいる、空港に向って発射された。
『ぎゃーーーーーっ!!!』
空港がたちまちジャングルと化す。
極彩色の鳥や蝶が飛び交い、不思議な花々が咲き乱れる。
「・・・終わった・・・もう、終わった・・・」
満がその場にへたり込む。
「ち、ちょっと!しっかりしてよ!きゃぁぁぁ!!」
満を叱咤する芹子の回りを紫色のウツボカズラが取り巻き、口から舌をチロチロさせる。
向こうではピンク色の三つ頭の熊と眞妃が格闘している。
さらに滑走路では愛子がチーターに追われている。
いや、追われているのではない。愛子がチーターを追い抜いたのだ。
「すごいっ!さすがはチーターねっ!でもまだまだ修行が足りないわよっ!」
散々ダッシュに付き合わされたチーターは疲れて座り込んでしまった。

一方こちらは久我の肩の上である。
「みっ、みっ、みはるちゃん・・・
・・・ぼ、僕が、かならず助けてあげげげげ!!!うぁぁぁっ!!!」

「ん?」
みはるが振り向いた時、すでに橘は落下していた。
「ぎゃぁぁぁ!落ちるっ!!落ちているっ!!
僕はっ!!今っ!まさにぃぃぃっ!!!落ちてっ!!」

どっぽぉぉぉぉん!!

この物語での橘の2度目の落下地点は、巨大ラフレシアの花の蜜のプールだった。
「・・・・・ぷへぇぇいっ!・・・・・う~甘い・・べとべと・・」
たちまち2メートルもある巨大ミツバチが、数百匹飛んで来た。
「もーいやぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」
悲鳴を上げてドイツの街を疾駆する橘。
この時のスピードが100メートル9秒を切っていたことを見抜いたのは、
遠く滑走路から見ていた愛子だけだった。
「やるわね大島さん!帰ったら全力疾走マラソン100本で勝負よっ!!」
日本に戻ったとしても、橘に安息の日々は訪れない。

……場所は変わって、日本。

何故か急に希望者のみの社員旅行が決行され、臨時休業となったN.H.K。
日本に残された社員達は、突然の休日を優雅に過ごしていた。

午後7時。
「……っはあぁぁぁああ……。ちょっと寝過ぎちまったな……」
そう言って、仙波継人は大あくびをする。
自室のベランダで外の空気を少し吸った後、
冷蔵庫から牛乳を取り出し、飲みながらTVの電源を入れた。
何かめぼしい番組がやっていないかと、いろんなチャンネルを回す。
「ちっ……ロクなのやってねえな………ん?」
一瞬、TVに見覚えのある顔が?
継人は、もう一度チャンネルを戻す。
アナウンサーが、緊張の面もちでニュースを読み上げている。

 ”…繰り返しお伝えいたします。今日、日本時間の午後6時頃、ドイツにおいて
謎の未確認生命体が現れ、ドイツ国内はパニックになり……         ”

「……ドイツ……?会社の旅行先じゃねえか。未確認生命体だと?」

 ”それでは、もう一度ドイツの放送局を呼んでみましょう。……”

TVカメラは、スタジオからドイツの生中継へと移る。
カメラには、いきなり久我のどアップが。

「ぶっっ!!!!!!!」
継人は、思わず鼻から牛乳を吹いた。
「くっ、久我!?」
忘れもしない、自分の所属する課の、あの変態上司の久我である。
久我の周辺の建物や、飛んでいる飛行機などが異常に小さいことから、
継人はすぐに久我が巨大化していることに気づく。
「…あんのやろ…っ!!この間、いつか試したいとか言ってた
『巨大化薬』を飲みやがったなぁっ!?」

 ”……あっ!!未確認生命体が何か言おうとしていますっ!! ”

現地のアナウンサーが、興奮気味に言う。

 ”『お~~い せんばく~~~ん!見ぃ~てるか~~~い?』”

「ぶへふっっっ!!!!!」
今度は、鼻と口から牛乳を吹いてしまう継人。
世界60カ国(予測)ネットで、未確認生命体から名前を呼ばれるなど、
どこを探しても継人しかいないだろう。

 ”センバ…センバとは一体なんでしょうかね?
しかも日本語らしき言葉ですが… ”

アナウンサーの問いに、宇宙の評論家らしき人物が答える。

 ”おそらく、この言語は間違いなく日本語で、この生命体は
体の大きさを変えることも可能で、仮の姿で日本に潜み、
日本で地球の言葉を学んだのでしょう。センバ…というのは、
おそらく仲間の名前ではないかと ”

 ”ほほう…センバと言う名の未確認生命体も存在する、と。”

このアナウンサーの発言で、明日から全世界の「センバ」と言う名の
人間は、学校・会社にて「宇宙人、宇宙人~」とバカにされることは
ほぼ間違いないだろう。
「………ヤロウ………(怒)」
自分のことを言われてるかと思うと、継人は耳まで真っ赤になり、
拳をふるふるさせる。
TVで見る限り、久我はものすごく楽しそうだ。
とてもじゃないが、元に戻る気などしばらくは起きないだろう。
「…っちっくしょう!!これ以上ハジかかされてたまるかっ!!!」

継人は、速攻で着替え、会社に行き、研究室から
久我の巨大化を元に戻す「あるアイテム」を持ち出し
貯金を全額下ろしてドイツへと向かった。

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