「それにしても…柊さん…全国ネットであんなもん流して…」
珍しく、柊の部屋に遊びに来ている継人。
「いいじゃないか~継人くん!どうしても弟の幸せを
全国の皆さんにお伝えしたくてね~はっはっは」
(ウソだ…絶対面白がってる…)
継人はため息を付いた。
「…にしてもよ~、森川みはるにプロポーズするフリなんてして…
本当は告るフリだけでよかったんだろ?」
「まぁ、プロポーズの方が真剣味があっていいでしょう~?
みはるちゃんもめちゃくちゃ悩んでましたからね~はっはっはっは。
ま、ちょーーーっとばっかし苛めすぎましたかね~?
でも、僕の可愛い弟を一度フッた罰ですよ~~?はっはっはっは」
プロポーズはどうやらリベンジの意味合いもあったらしい。
気の毒なみはるである。
「でも、万が一OKされたらどうするつもりだったんだよ?」
「チッチッチッチ、甘いな~継人くん。僕はいつだって本気だよ?
OKもらったら、もちろん結婚するに決まってるじゃないか~」
「はぁ!?」
「いや~見事な作戦だったなぁ~
OKされれば僕に可愛いお嫁さんが、NOでも
可愛い妹ができるんだもんね~~まさに、一石二鳥大作戦!!!
はっはっはっはっは…………」
実は、橘の転勤の取りやめの原因となった
柴田美彦の妻・みゆきに
『旦那さんにウソでもいいから「別れる」って言ってみなさい』
と口添えしたのは、実はこの柊だったのだ。
本当は社長と英司に転勤を取りやめるよう頼んだのだが、
断られたので裏に手を回したのだ。
柊がみはるにプロポーズしたときに、
橘が公園につけて来ることも、
みはるが自分のプロポーズを断ることも、
みはるが橘に告白することも、
橘の転勤が取りやめになることも、
すべて柊の計算通りだったのだ。
「本当、みんな面白いくらい僕の思うままに行動してくれましたね~」
(こ………この男………)
一番敵に回すべきではないのは、この男だと、
継人は改めてそう思った。
END