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※奈津恵さんキャラ崩壊警報。
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夜半:急に飲みたいから付き合ってくれとか、何かあったのかい?(デザートのプリンすすりながら)
(夜半が改めて問う前に既にビール大ジョッキを2杯飲み干してる奈津恵)
奈津恵:ああ~~もう!あったまきたわあの男ー!!!
夜半:はや、もうすっかり出来上がってるよこの子は。
奈津恵:飲まなきゃやってらんないっつーのー!おじさん、ビールもう1杯と玉子とチクワと厚揚げ頂戴!
おじさん:へいまいど!
夜半:その様子だとまた夫婦喧嘩かい?…そういや、瀬上君(奈津恵の旦那)とはしばらく会ってないな。
君ら普段仲いいくせにたまーーーーにすごい喧嘩するよね。
奈津恵:そうでもないわよ。ムカつくことならしょっちゅうあるわよ!
でも……今回のは……(涙ぐむ)
夜半:…うわ、君が泣くなんて相当酷いことされたのかい?
奈津恵:わ、私だって泣くときくらいあるわよっ!!!
あの人、仕事仲間だとか言って若くてきれいでかわいい女の子3人も家に連れ込んで、
いちゃいちゃと飲み放題食べ放題…私にはずっとお手伝いみたいに「酒持って来い!」だし…
夜半:瀬上君、芸人でしょ?女の子の後輩たちに良いところでも見せたかったんじゃないのかね。
男って時々見栄張りたくなる時があるからね。
奈津恵:私以外の女に良いところ見せるって、何、浮気!? 尚更許せないわよ!!!
…それに…私だって、毎日仕事と子育て頑張ってるのに、あの人はいつもヘラヘラして
女侍らせて…なんなのよっ、もう!!
夜半:浮気だったら家にまで連れてこないでもっとコソコソやるでしょ。
それに芸人は人を笑わせるのが仕事なんだから、ヘラヘラしてて当然だよ。
妻である君にすらそう見えるって事は、君にもみんなにも平等に笑顔振りまいてくれてるんでしょ。
芸人として素晴らしい事じゃないか。
奈津恵:そんなの、私も他の人も全部同じってことじゃない!私も所詮どうでもいい存在ってこと!?
夜半:ああ、もう落ち着いてってば。冷静になりなよ。
笑顔はみんなに平等に見せるけど、つらい時の顔は君にしか見せないはずだよ?
奈津恵:なっ……
夜半:彼とは大学時代からの付き合いだけど、彼が怒ったり泣いたりしてるところは、見たことないよ。
君はあるだろう?
奈津恵:まぁ…付き合い始めた時から数えれば、結構長いし……ね……
夜半:これから彼がどれだけ笑って女の子侍らせてようとも、彼の全ての顔を知るのは君だけ。
自分の喜怒哀楽をさらけ出せる相手こそ、伴侶というものなんじゃないのかね。
奈津恵:…………
おじさん:へい、玉子とチクワと厚揚げお待ち!…さっきから話聞いてるけど、お兄さんいいこと言うねぇ!
夜半:でしょ。あぁおじさん、プリン3つちょうだい。
おじさん:へい、ってお兄さんさっきもプリン頼んでなかった!? オレのおでん嫌いかい!?
奈津恵:ごめんねおじさん、この人甘い物で動いてるようなもんだから気にしないで。
夜半:やっと落ち着いたか。
奈津恵:はぁ……なんか気が抜けちゃった。なんか、やっぱりムカつくんだけど……
でも、貴方の言うことも否定できないから、怒鳴る気が失せちゃったというか…
夜半:むしろ君の方が気をつけた方がいいんじゃないの。会社じゃ鉄壁の女って感じだけど
今のガードがら空きの君だと、ある程度の男は放っておかないと思うよ?
奈津恵:し、失礼ね!私はそんな簡単に騙されないし尻が軽くもないわよ!
夜半:ま、そうだよね。
奈津恵:な、何よ?
夜半:や、自分でこう言っておいて、奈津恵ちゃんの喜怒哀楽見せてもらいまくってる
自分がなんか瀬上君に申し訳なくてねぇ。
奈津恵:なっ…!わ、わかってるでしょ!? 貴方は大学時代からの、旦那と共通の友達だし、
昔から…旦那とまだ結婚してない頃からの相談相手だったし、変な感情はないわよ!?
夜半:そうだねぇ。もう15年くらいになるかな。大学時代の奈津恵ちゃんかわいかったな~。
奈津恵:ふん、今じゃもうすっかりオバサンだけどね。
それと貴方に結構何でも話せるようになったのは、貴方にもちゃんと相手がいるってわかってからよ。
夜半:…あぁ、よく覚えてるねぇ。確か何かの勢いで一度しか話してなかったのに。
というか、「琴」はそういう相手じゃなかったんだけどな。好きではあったけど。
奈津恵:言わせてもらうけどね、貴方に女の子の友達が結構多いのは知ってるけど、絶対呼び捨てないでしょ。
私が知る限りじゃ呼び捨ててる女性ってその琴さんだけよね。
夜半:そりゃ、琴は恋人じゃないけど特別中の特別だからね。
俺の人生…いや人じゃないから吸血鬼生っていうの?よくわかんないけどそれを180度変えてくれた人だからね。
奈津恵:えー、でも40年くらい一緒に暮らしてたんでしょ?二人きりで。
それで恋人じゃなかったって…
夜半:…うーん、何だろうな、不思議と手を出す気にはなれなかった…いや、出さなかったというべきか。
琴は俺にとって聖域みたいな感じだったんだよね。決してその一線は越えてはいけないみたいな。
その暗黙の誓いを守ることによって、現状に満足していたというか……
奈津恵:でも……琴さんは貴方のこと好きだったんじゃないの?
夜半:たぶん…両思いだっただろうねぇ。
奈津恵:じゃあ、一線は越えてもよかったんじゃないの?
夜半:………ああもう、君は何言わせたいの。そりゃぶっちゃけ手出しときゃ良かったって思ってるよ。
奈津恵:あっはっはっはっは!本音出たわね♥
夜半:この酔っぱらいっ子は……人が一番後悔してることを……
奈津恵:まあ恋人だろうとそうじゃなかろうと、琴さんが一番大事な人には変わりないでしょ?
だから安心して話せるしさらけ出せるってものよ。
夜半:それはどうかな。
奈津恵:何よ?
夜半:琴は確かに大事な人だよ。でも大事な人ってのは一人じゃないといけないなんて決まりはないよ?
二股三股はよろしくないけどね、俺はこの先一生、琴の十字架背負って生きるつもりなんてないからね。
奈津恵:あら、そんなあっさり言っちゃっていいの?
夜半:死者に縛られて生きていくのは、琴も望まないからね。彼女はそういう人だった。だから……
奈津恵:だから?
夜半:奈津恵ちゃんもある意味俺にとっては特別だから奈津恵って呼ばせてもらっていいかな(超笑顔)
奈津恵:な……なに笑ってるのよーー!!!(スッパーン!!!!)
ガッターン!! (椅子から落ちる夜半)
おじさん:お、おいお兄さん大丈夫かい!? お姉さんスゴイもん持ち歩いてるなぁ~
夜半:あ痛たたたた……ほんと、いつもどこに隠し持ってるのそれ……
奈津恵:あのね、白鳥君、貴方のその極まれに見せる笑顔は女のひとりやふたりを
コロッと逝かせるような魔性の力を持ってるから気をつけた方がいいわよ!
夜半:酷いなぁ。それじゃ笑うなって言ってるようなもんじゃないか。
それに気をつけるも何も、わかっててやってるからね。女の子騙すのは吸血鬼の常套手段だよ。
奈津恵:あと呼び捨ては却下よ、却下!
夜半:はいはい。でも特別なのは本当だよ。
奈津恵:私の何が特別なのよ?
夜半:そりゃ特別だよ。一応俺、昔は命狙われたりして大変な目に遭ったりしてるからね。
常に身を守る心がけはしてるつもりなんだけど、それらを完全に無視して
そのハリセンでひっぱたける唯一の人だからね。
奈津恵:特別ってそういうことかいっ!まぁ別の意味で特別扱いされても困るけども。
というか、貴方ほどの人がなんでこんなハリセンを嫌がるの?
夜半:そのハリセンはね、魔法防御力を無視して叩ける効果と、
あと叩いた相手の魔力を吸収して跳ね返す効果があるんだよ。
つまり、何の力もない人を叩いてもただ痛いだけだけど、俺クラスの魔導師を叩くと
魔力が強い分、普通の人よりも痛みが何倍にもなって与えられるわけ。
奈津恵:そんな力が…だってこれ、森川さんやクリスさんから昇進お祝いにもらったタダのハリセンよ?
夜半:うーん、手渡したのは彼女らなんだろうけど、何か裏は絶対あるね。
一度預かって色々調べてみたいけど…
奈津恵:調べるのは構わないけど、私それがないと一日調子狂うのよね…
夜半:サディスト怖い。
奈津恵:むう
夜半:はいはい殴らない殴らない。まあちょっと見せてみてそれ。
奈津恵:どうぞ。
夜半:(ハリセンを5秒くらい握って眺めるが、すぐ返す)はい。
奈津恵:あらもういいの?
夜半:無理、それ。ものすごいよ、ほら。
(ハリセンを握っていた右手の平が火傷状態)
奈津恵:ちょっ……!! 何これ!?
夜半:恐らくそのハリセンは、破邪…邪悪なものを払いのける効果があるんだろうね。
俺なんかは邪悪もいいところだから触れただけでもダメージがでかいってわけだ。
というわけだからあんまりそのハリセンで俺を叩かないでね。
奈津恵:でも叩いても死にはしないでしょ?
夜半:……お願いだから一回くらい「叩きません」って言って……
奈津恵:ふう……
夜半:ん、もう結構いい時間かな。
奈津恵:おじさん、熱燗頂戴。
おじさん:へいまいど!
夜半:まだ飲むの?
奈津恵:だって~、やっと怒りが収まって落ち着いて、それで
貴方の珍しい恋バナ聞けたりして、気分良くなってきたんだもの♪
夜半:俺は都合のいい酒の肴かい。
…まぁ話戻すけど、瀬上君に浮気の心配なんてないだろうけど、君が傷ついたのも事実だから
家に仕事関係の女の子連れ込むのは控えるように、俺から注意しておくよ。
奈津恵:ん、もう気にしないからいいわよ。貴方の言うとおりコソコソやられても困るからね!
夜半:えー…随分あっさりと開き直ったね。。
奈津恵:割り切らないと芸人の嫁なんてやってらんないわよ!
夜半:さっきまでのヒステリックが嘘のようだ。
おじさん:へい熱燗お待ち!
奈津恵:ありがとぉー!
夜半:ご機嫌だなぁ。じゃあ俺も何か頼むかな。おじさん、プリン3つ。
おじさん:Σお兄さんたまには違うもの頼んでよ!
奈津恵:さー!夜はまだまだこれから!じゃんじゃん飲むわよぉー♪
夜半:程々にしておきなよ。
奈津恵:白鳥君もプリンばっかり食べてると脳みそがプリンになっちゃうわよーあっはっはっは!!!
(夜半の背中をばんばんと叩く)
夜半:(はぁ…これはまた酔いつぶれた彼女を家まで担いで送るパターンかな…)
(そして週末の夜は過ぎていく……)
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夜半:ところでこれ、番外編その1ってことは、その2もあるのかね…。