(屋上公園)
歓子:う~~~~~~ん……どうしよ……
もう、そんなん無理!って開き直るか……
けど、それじゃ姉の威厳が……っ
ゆたか:お☆三輪さ~ん☆ こんなとこで一人でもにょもにょ
独り言いっててどーしたのー☆
歓子:うわっ …なんだ榊か
ゆたか:なんだとはなんだー><
歓子:あんたには関係ないわよっ!
ゆたか:そーんなつれないコト言わないでよ☆
オレと三輪さんの仲じゃん☆
歓子:あたしとの仲って、、別に同じ会社の同い年の社員ってだけじゃん!
ゆたか:まあまあまー☆
関係なくても、吐き出し口で受け止める皿くらいにはなれるよー☆
歓子:…………すぐ下の妹に、彼氏ができたのよ。
ゆたか:すぐ下の妹??……あー、えっと、慶子ちゃんだっけ☆(最下部の漫画参照)
歓子:確か名前しか教えてないのによく覚えてるわね!? そう、1つ年下の妹の慶子。
その、あいつの彼氏が、あたしに言わせればとんでもないダメ男で…
ゆたか:んー?例えばどんな具合にダメなの?
歓子:デートはほぼ妹からしか誘わないし、そのデートもすっぽかされるか大遅刻するかだし、
妹の誕生日は覚えてないし、何より着てるものとか髪型とか超ダサいし!!!
ゆたか:ふへ~~☆ 三輪さんの主観でしかわからないけど聞いた限りだと
時間にもファッションにもかなりルーズな男の子なのかな~?☆
歓子:で、慶子に「そんなつまんない男とは別れろ!」って言ったんだけど、
ケンカになっちゃってね…
ゆたか:そりゃ、慶子ちゃんがそれでもホントに彼のこと好きなら怒るだろうからね☆
歓子:あの子、そうじゃなくても他人よりちょっとおっとりのんびりしてて
穏やかな子だけど、変に思い込み激しかったり頑固だったりするから…心配なのよ。
ゆたか:お姉ちゃんとしては、もうちょっとしっかりした男の子と付き合ってほしいわけだ☆
歓子:そうよ!あたしはあの子のためを思って言ったのに…しまいにはあの子ったら、
「じゃあ、お姉ちゃんがお手本を見せてよ!お姉ちゃんのいう完ぺきな彼氏を見せてよ!」って。
ゆたか:ははは☆
歓子:「お姉ちゃんが彼氏いないしできないのは重々承知だから、
彼氏じゃなくてもいいよ。お姉ちゃんのいう条件に合った魅力的な男の子を私に見せて」
とか言ってくるし!! てか最初の1文は余計だっつの!!!!
ゆたか:あはははははははは☆
お姉ちゃんのことよくわかってる妹さんだねっ☆
歓子:あんだって?(ゆたかの胸倉つかむ)
ゆたか:まあまあまあまあ☆ あ、じゃあさー。
その「イイ男のお手本」の役、オレがやろっか☆
歓子:はぁ!?
ゆたか:彼氏じゃなくてもいいんでしょー?☆ オレが、三輪さんの理想の
立派で完ぺきな彼氏(のお手本)を演じてあげるっ☆
歓子:演じてあげる……って、その発想はなかったわ……。
ゆたか:だって、理想に完ぺきに一致する男の子を今から探すなんて不可能っしょ☆
オレならお客様のご要望にお応えした理想のプランをご提示させていただきますよー☆
歓子:何いきなり結婚式場のプランナーみたいなこと言ってんの。。
……でもまあ、悪くないわね。あんたは妹にはまだ会ったこともないし。
事前知識なく会わせることができるわ…。
ゆたか:よっしゃ決まりっ☆ じゃあ今度の休みにでも慶子ちゃんに会いにいこー☆
あ、バイト代は食堂のデラックスランチ(一日5食限定)でいいからねー☆
歓子:!? タダじゃないの!? ……仕方ないわねっ。。分かったわよ!
・
・
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(週末、某喫茶店)
慶子:お姉ちゃんの理想の彼氏、楽しみだな~。
歓子:……い、言っとくけど彼氏じゃなくて友達だから……でもすごいイイ奴だから!
慶子:彼氏じゃないのはわかってま~す!
歓子:くっ……むかつく……
ゆたか:ども、お待たせ!女の子二人に待たせちゃって、ごめんね!
歓子:大丈夫よ。まだ約束の時間の5分前だし。
慶子:ほんとだ、すご~い。まだ5分前だぁ。
彼はいつも30分以上遅れてくるのが普通だから~。
歓子:そーいうルーズなとこが許せないって言ってんのに!
ゆたか:まぁまぁ。時間に厳しい人もいれば、のんびり屋さんな人もいるし。
人それぞれだよ。彼にもどうしても遅れてきちゃう理由があるんじゃないかな?
慶子:………
ゆたか:あ、申し遅れました。「僕」は榊 ゆたか。
お姉さんと同い年で、同じ会社に勤めてます。よろしくね、慶子ちゃん。
慶子:よっ、よろしくお願いしますっ……
歓子:(さすが役者…いつもとキャラが違う…)やだ慶子ったら、緊張してるの?
慶子:あの……えと、彼は、ある国家試験の合格を目指してて……
歓子:!? いきなり何の話?
慶子:毎日、それの勉強で忙しいんです。夜寝る時間もあまり取れてないみたいで…
だから、いつも私との約束の時間を寝過ごしちゃうって…
ゆたか:そっか、それは大変だね。
慶子:私の誕生日も祝ってもらえなかったけど、それは彼が私の誕生日を覚え間違えてて。
私の誕生日、6月9日なんですけど、9月6日だと思ってたみたいで。
歓子:あんた、こないだはそんなこと言ってなかったじゃない!
慶子:だ、だって、彼国家試験何度も落ちてるから、あんまり人に知られたくないって…
だから、言い出しにくかったの。
ゆたか:事情を知らない人からは、ただのルーズな人に見えちゃうわけだね。
でも、話を聞いた限りだと、ちょっとおっちょこちょいだけどイイ人かな。
慶子:はい!とっても優しくて、いい人ですよ。
ゆたか:そうだよね。しっかり者の歓子ちゃんの妹なんだから、
見る目を間違えるはずがないよね(にっこり)
歓子:あ、え、えぇ?(いきなり笑顔を向けられて焦る)
慶子:…でも、お姉ちゃんにこんな素敵な彼…お友達がいたなんて。
榊さんがお姉ちゃんの彼氏じゃないのが残念だなぁ…。
歓子:ちょ、ちょっと慶子!榊はそんなんじゃないって
ゆたか:そうだね~。残念ながら彼氏じゃないね。今は。
慶子:(*´艸`*) きゃ 今はってことはもしかしてこれから…!?
ゆたか:どうだろう。可能性はゼロじゃないかも?
歓子:ふ、二人ともなに変な話で盛り上がってるのよ――――っ!!
・
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・
(喫茶店を出て、「これから彼氏と会う」という慶子と別れた後)
歓子:今日はありがと、榊。
ゆたか:ん~ん☆
慶子ちゃんの彼は案外変な人じゃなかったみたいだし。よかったじゃん☆
歓子:……そうね。もうちょっと話を聞いてあげてればよかった。
それにしても……慶子にありえないこと吹き込んで!誤解されたらどーするのよ!
ゆたか:ありえないこと?
歓子:あんたがあたしの……彼氏になるかもしれないとかどうとかっての!
ゆたか:あぁ☆ ありえないことでもないでしょ?
今後絶対の絶対の絶ぇぇぇぇ~~っ対に付き合わない!
0.000000000001%も可能性は全くない!!!!!!!って言い切れる?
歓子:……そーいうレベルの話だったの……
う……ん、、まぁ……ゼロではない……のかも?
ゆたか:でもま☆ オレと付き合ったってイイことなんて
な~~~んにもないけどね☆ オレ女の子いっぱい不幸にしてるし☆
歓子:えぇ!? どんな悪事働いてんのよあんた!
ゆたか:わかんない☆ 今まで色んな女の子に告白されて付き合ってるけど
しばらくしたら女の子のほうからオレを振ってくるもん☆
きっと知らないうちに不幸にしてるんじゃないかな☆
歓子:そ……そうなの……?
ゆたか:まぁ~、別れたいって言われて
それを無理に引き留めようとも思わないけどね☆
ま、そーいうこと☆ 慶子ちゃんには期待させちゃって悪かったけど☆
歓子:………それは………
今回の慶子の彼氏の場合と同じで、自分のことを心から理解してくれる
相手に出会えれば……不幸にするなんてこともないんじゃないかな?
あたしが言うのもなんなんだけど。
ゆたか:そうなのかもね。そんな人いるかどうかわからないけど。
……オレは、周りが思うよりも、結構めんどくさい性格してるから。
歓子:榊…?
ゆたか:家、ついたよ☆ じゃぁね~三輪さん!また会社で!
歓子:あ…うん!
(颯爽と走り去っていくゆたかの後姿を見ながら)
歓子:(好きとか付き合いたいとかそんなんじゃないけど、
誰にも理解されてないっぽい、榊の心の内、ってのを
ちょっと知ってみたくは………あるかな。)