(広報部、終業後)
英司:ゴールデンウィークに出展するフィギュアの制作作業にばかり時間を費やしてたら仕事が溜まりすぎてしまった…
今夜は会社に泊まり込みになりそうだ……ううう……自業自得だけど……
はぁ………落ち込んでても仕方ないし、TVでも見ながらだらだらと進めていくか……
(TVの電源を入れる)
TV:『恐怖!戦慄!!阿鼻叫喚!!! 本当にあった恐ろしい心霊現象』
「皆さんこんばんは。今夜も始まりました、恐ろしい心霊映像の数々をご紹介いたします」
英司:うっく……よりによってこーいう……チャンネル変えよう……
(リモコンのスイッチを押すが、チャンネルが変わらない)
英司:……えっ……!? な、なんで変わらないの!? ちょ、ちょっとこんな番組見たくないんだけどー!?
もう、電源切ってやれっ!!!
(電源ボタンを押すが、切れない)
英司:ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタガタガタ な、何なんだ――――!? いきなり番組の呪い!?
も……もう無視して仕事に集中する……か……
(座席のクッションを抱きかかえながら手を震わせながら仕事する)
※コンセントを抜いてしまえばいいだけのことに、英司は気づいていない。
TV:「では……次の映像をご覧いただきましょう。部屋の隅にある鏡……これを良く見てみると…?」
英司:(聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない……)
TV:「次の瞬間です……3……2……1………」
英司:(チラッ) ←つい見てしまう
ぎゃぁぁぁぁぁあああ~~~~~~~~~
TV:「おわかりいただけただろうか……鏡の中に、いるはずのない、青白い顔をした女性の姿が……」
英司:も、もっ、もう、やめてくれぇぇぇええ~~~!明日から鏡見るのが怖くな……
司:あーこれ、作りもんだなぁ
英司:!!?? 古屋くん!? どうしてっ…
司:あぁ?おれは会社が住まいだもんよ。居て当たり前だっつーの。
ってかオッサンこういうの嫌いなクセによく観るよなー
英司:だっだっだっだっだってしっしっ仕方ないじゃないか!
つけたら何故かチャンネルも変えられないし消せないし呪われてるんだよそのTVは!
司:あっははははは!ンなわけねーだろ!
このリモコン2、3日前から調子悪くてなー。替えを買いに行かなきゃなって言ってたとこなんだよ。あと冷静に考えれば本体側いじればチャンネルも電源もつけられるの知ってるだろ?
英司:そうだった……じゃあ消し
司:でも面白れーからこのまま観ようぜ~
英司:いやだああああああ!!!!!
TV:「では次の瞬間です……3……2……1……(チャ~~~ラ~~~!!!!)
おわかりいただけただろうか……真夜中の廃ビルの屋上に何人もの黒い影が……」
英司:ぎゃぁぁぁああ~~~!!! オバケの団体――――!!!!
司:あ、これもニセモノだな~。さっきの鏡の幽霊といい、ヤラセ番組だなこれ。
英司:なっ……なんでそんなことがわかるんだね!?
司:そんなん、おれが見りゃ本物かどうかなんてすぐ分かるに決まってんじゃん。
英司:そ……そうか……た、頼もしいな古屋くん……!!
司:ま、ヤラセじゃつまんねーしTV消すかー。んじゃ、おれも少しくらい手伝ってやるから仕事に集中しろよ。
英司:あ……ありがとう~~~!!!!(号泣)
(午前1時)
英司:お……終わった……朝までかかると思っていた仕事が思ったより早く終わった…!!!!
司:よかったな~。
英司:会社に泊まろうと思ったけど……ちょっとお金はかかるがタクシー頼んで帰るかな……
司:そうしろよ。
英司:今日は本当にありがとう古屋くん!! 古屋くんのおかげでオバケも怖くなかったよ!!
司:そっか。じゃあ一応おれが知る限りのことは教えておくけど、
英司:え?
司:これから駅のタクシー乗り場行くんだろ?
タクシー乗り場のベンチ、あそこよく「いる」から気ィつけてな。
英司:い、いる?
司:あと、この辺のタクシーな。
深夜になると後部座席にたまに雨でもないのにびしょ濡れのねーちゃんとか一緒に乗ってきたりするから
英司:!!!??
司:あぁあと、会社の近くの公園、入口から3本目の木に首吊りした幽霊が出…
英司:親切で教えてくれてるのかもしれないけど怖いだけだから止めてね!!???(ガタガタブルブル)
司:あとな……この会社に、若くして亡くなったサラリーマンの霊が出るんだ……
英司:えっ………
司:(英司の首に手をかけて)………おれなんだけどな………?
英司:うっぎゃぁぁわわwぽあklじゃw;ljks;あらあl;rかtp@おt-023^あtg@ps;あrd;lfkffれp;―――――― !!!!!!!
(光速で退社する)
司:ってか毎日顔合わせてんのになんで改めて怖がるんだか。変なオッサン。