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[小説]因縁 – Connection -(プロローグ)

とある年の、2月。東京都立英南台高等学校。今日は入学試験が執り行われており、たくさんの受験生達でごった返していた。そんな中…校門前に、目の下にクマを作った坊主頭の中学生が一人、不気味な笑みを浮かべて仁王立ちしている。「ふ……ふふふははは……...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(終)

犯人は無事、逮捕された。ニュースや新聞では、大きく報道されている。犯人が捕まったことも話題の一つなのだが、注目されたのは、犯人が警察署の前にダンボールに詰められて『置かれて』いたことだった。ダンボールを開けてみると、ズタボロになった犯人がそ...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(4)

週が明けても、やはり結佳は会社に姿を現さなかった。「関口サン、ドーシタんデスカね~。」「関口さんがいないと、寂しいね…」「奥田サン、何か聞いてマセンか?」結佳を心配する総務部の面々の視線は、早瀬に集中した。「あ…ああ、ちょっと体調を崩してい...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(3)

翌日。「関口さんが休みなんてめずらしいねえ。」総務部の席が一つだけ空いていることに違和感を感じたみはるが呟いた。「ここのトコロ気温が上がったり下がったり、晴れたり雨降ったりシテマスからネ、体調くずしたのカモしれまセンね。」何の気なしに話すみ...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(2)

結佳は、夢を見ていた。…「結佳ちゃん……お父さんとお母さんはね、亡くなられたのよ。」「なくなった?どこにいっちゃったの?」「遠い…お空に行ったのよ。うんと遠いところへ…」「なんで?どうして!結佳をおいてどこいっちゃったの?」「……………」「...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(1)

それから数日後。時計は5時。終業を知らせるチャイムが鳴り響く。それと同時に、関口結佳は席を立った。「すいません…それじゃ、お先に失礼致します。」素早く机上を片付けると、結佳はそそくさとその場を去った。「関口さん、ここのところ毎日定時で帰るね...
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[小説]正義が禁忌を犯す時(プロローグ)

ある日曜日の夜。 ドカッ!!「っだぁっ!!」TVを見ながら横になり、うたた寝していた柴田美彦の頭部に、妻・みゆきの蹴りが炸裂した。「起きろ、飯が出来た。」「な、何も蹴らなくても……」頭をさすりつつ、食卓に着く美彦。「休みだからって寝てばかり...
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[小説]歌う山 - The Singing Mountain -(終)

その後、帰京した社員達は。久我恭一郎は、山から帰ってくるなり、浪路を追い掛け回してばかりいた。ちなみに、子供化した身体は、未だそのままである。久我の頭脳をもってすれば、元の姿に戻るのは容易いはずだが…本人の趣味だろうか?「浪路く~ん…今日こ...
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[小説]歌う山 - The Singing Mountain -(9)

その後…周りの人間から、浪路に降りかかった災難と、彼女の蘇生までの経緯を聞いた久我と満、そして浪路本人は。「は…ははは……俺、死んでたのか……」浪路はさすがに動揺を隠せない。「でも、ピーターさんが生きかえらせてくれたんだよ!」浪路の腕にしが...
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[小説]歌う山 - The Singing Mountain -(8)

「私は、この星の時間で言う、400年程前…観光旅行の途中でこの星に不時着しました。不時着の原因は、宇宙船の燃料切れです。」「ふーん、そうなんだ。」「すぐにでも自らの星に帰りたいのは山々でしたが、燃料が溜まるまでには、とてつもなく長い月日が必...