[NEWS]カー●おじさん、来日

○刊ねぎ秘密結社ニュース

(都内某空港)

 

???:フッ……ここが日本ですか。
経済大国らしく華やかで近代的な建造物……悪くありませんね。

(多くの周りの人間が「彼」を見てざわついている)

???:……?何か視線を集めてしまっているようですが……。
フッ……やはり私の高貴さと溢れる知性が隠しきれていないようですね……。
全く……何処に行っても注目を集めてしまって困りますね。

閣下:……カール、貴様……まさか国からここまでその格好で来たのか……?

カール:!! やあ、リーザ君!………
(恭しく90度のお辞儀をしながら)
……失礼、王国の太陽・フレスリーザ王太子殿下。本日もご機嫌麗しゅう……

閣下:何を今さら。従兄弟同士に仰々しい挨拶なんぞ要らぬわ。

カール:……いやぁ、変わりないようで何よりです。
来日が決まってから、猛勉強して日本語も完璧に覚えてきましたよ。
この服も…久しぶりにリーザ君に会うから、もちろん正装でなくてはと思いましてね。

閣下:礼儀正しいのは良いが、その格好は日本では間違いなく浮くぞと、
あれほど言ったのにも関わらず……周りの者が好奇の目で見ているではないか。

カール:フフッ、やはり高貴な者だと一目でわかりますからね。

パノス:おっちゃん、その「こーき」は「そっちの意味」じゃないと思うんだぜ!

カール:! おっ、おっちゃ………この子は、まさか。

閣下:前もって話していただろう。……息子だ。

カール:ああ……君がパノス君。はじめまして。私はカール・メイフィールド。
君のお父上の母君の兄弟の子……従兄弟ということになります。
私は王族ではないですが、君とは血の繋がった親族です。

パノス:へぇ~~え!おっちゃん、父ちゃんの身内なんだ!

カール:………パノス君、いくら身内とはいえ初対面の年上の男性にいきなり「おっちゃん」はいささか失礼かもしれませんよ?

パノス:え~、だっておっちゃんどう見ても父ちゃんより年上だろ~?

カール:(ぐさっ)どう、見ても……ですか……2つしか違わないのに……

パノス:えーっと、じゃあ……カールおじさんって呼べばいい?

カール:カールおじさん……

閣下:カールおじさん……

 

 

カール:日本のことはよくわかりませんが
私の勘が「それは駄目」と言っているので
できれば別の呼び方でお願いします。

 


 

 

(空港から移動し、社員寮前)

 

カール:!!!!! なんということでしょう……ッ、
麗しの王国の太陽・フレスリーザ王太子殿下がこのような小ぢんまりとしたアパートメントにお住まいとは……!

リーザ:仕方ありませんよ。異国の地で貴族のような贅沢三昧はできませんから。

パノス:あっ、父ちゃん代わってる。

リーザ:閣下は、空港までの出迎えが済んだからもう用はない、と、お休みになられました。

カール:おぉ……!もしや、貴方が話にきいていた、リーザ君の「もうひとり」の…?

リーザ:えぇ。「はじめまして」。従兄のカールさん。
閣下からお話はきいています。大変、優秀で頼りになるお方で、小さなころからお世話になったとか。

カール:大変優秀……ッ!!!……リーザ君、普段そんなこと言ってくれないんですが……!
そうです、私が祖国・ヴェルテウス王国の未来を照らす知性の月と謡われた王国自慢の大魔導研究家、カール・メイフィールドです。

リーザ:知性の月……素敵な二つ名をお持ちなのですね。
こちらこそ、よろしくお願いします。

カール:フッ……(褒められてすごく嬉しい)

リーザ:ふふふっ(つられて笑う)

パノス:(怖い父ちゃんと違ってこっちの父ちゃんは気が合いそうだな~)

リーザ:同じ祖国出身のカールさんが近くにいると、とても心強いです。
…そういえば、社員寮には住まないのですか?

カール:いえ、私はここの社員ではありませんから。
リーザ君がお世話になっている組織ですからね、必要とあらば助力はいたしますが。
この近くのマンションに居を構えることにいたしました。

リーザ:そうなんですか。もし、何か困ったことがありましたら、遠慮なくこちらにご連絡くださいね。

カール:ありがとうございます。それでは、引っ越し作業もあることですし、今日はこの辺で失礼いたします。ごきげんよう。

 


 

 

(会社の近くの某マンション)

 

あこ:今日は日曜日だし……買い物済ませたら猫たちとたっぷり遊ぼう
(玄関を開けて外に出る)

カール:

あこ:!(お隣さん…?)

カール:おお……なんということでしょう。隣家にこのような可憐なマドモアゼルがいらしたとは。

あこ:……!?

カール:(恭しく90度のお辞儀をしながら)
はじめまして、マドモアゼル。私は先日、ここに越してきました、
祖国・ヴェルテウス王国の未来を照らす知性の月と謡われた王国自慢の大魔導研究家、カール・メイフィールドです。以後お見知りおきを…

あこ:???……え、えと……ち、千歳です……よろしくお願いします。

カール:お出かけのところ呼び止めてしまい、失礼いたしました。では。

(バタン)

あこ:……隣に変な人来ちゃった…

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