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[小説]10月の奇跡(おまけ)

「それにしても…柊さん…全国ネットであんなもん流して…」珍しく、柊の部屋に遊びに来ている継人。「いいじゃないか~継人くん!どうしても弟の幸せを全国の皆さんにお伝えしたくてね~はっはっは」(ウソだ…絶対面白がってる…)継人はため息を付いた。「...
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[小説]10月の奇跡(終)

見送りの帰り道。社員一同はファミレスにて遅い昼食を取っていた。「はぁ~…行っちゃったね……大島さん。あさってから仕事、頑張らなきゃ…」愛子が寂しそうに言う。購買部唯一の相棒がいなくなった愛子には、月曜から地獄の仕事量が待っている。愛子は英司...
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[小説]10月の奇跡(4)

二人は、特に示し合わせたわけでもないのに、何故か足が会社の近所の公園へと向かっていた。公園へ向かうまでの間、お互い、一言も話さなかった。「……寒いね……」公園へ着くなり、橘がぽつりと呟く。まだ10月とはいえ、夜になるとさすがに冷える。みはる...
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[小説]10月の奇跡(3)

「た、橘!! お前仙台に転勤するって本当か!?」食堂の掲示板を見て、購買部のデスクに真っ先に駆けつけたのは満であった。「…ええ、そうですけど」橘の声は、心なしか、暗い。「じゃあ仙台行ったら笹かまぼこ送ってくれよ!!」…がくっ気の抜ける満のお...
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[小説]10月の奇跡(2)

2日後。「はぁ~~い♪毎度様々です~!ニコニコ生命でぇ~す!!!」いつものように、柊が定期訪問に来る。「キャー柊ちゃん!!」みはるは、条件反射のように叫ぶ。「みはるちゃん、ちょっとこちらに…いいですか?」柊は、総務部のデスクでやることをやり...
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[小説]10月の奇跡(1)

「おはよう、みはる」会社に着くと、いつものように眞妃が挨拶をしてくれる。「おはよう…眞妃ちゃん」眞妃は、すぐにみはるの様子がおかしいことに気付く。「どうしたの?また変な夢でも見た?」みはるが朝から元気がないということは、たいてい夢見が悪いせ...
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[小説]10月の奇跡(プロローグ)

「……今まで、ごめんね。みはるちゃん」天と地の区別も付かないほど、濃い霧に包まれた場所。「長い間、嫌な思い、させちゃったね……」心なしか、橘の声はかすれている。橘の言葉を、何も言わずに黙って聞いている、みはる。…いや、黙っているのではない。...
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[小説]継人でショート(第3話:大島家の人々)

天気の良い、日曜日の午前。継人は橘の家に来ていた。縁側で団扇を片手に、寝転がりボーッと空を眺めている、継人と橘。橘の家は、荘厳な植木が立ち並ぶ、日本庭園のある和風の家。都会のごみごみした住宅街の中で、まるでそこだけ京都の庭園を思わせるような...
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[小説]継人でショート(第2話:合コンでGo!)

昼休み。自分の席で居眠りをしていた継人の元に、システム設計部が誇る究極のナンパ男、東堂浪路が尋ねて来ていた。ちなみに浪路は見た目は男だが、本当は女。だが継人はまだその事実を知らない。「頼むよ、仙波ぁ~ どうしても頭数が足りなくってさ。可愛い...
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[小説]継人でショート(第1話:美女と和牛)

「ちっ……ついてねぇな…」日曜日、夕方。会社の近くのデパートに買い物に来ていた継人は、突然降り出した雨に舌打ちする。家を出たときには天気が良かったため、傘は持っていない。仕方がないので、近くにあった店の屋根の下で雨宿りをし、雨が止むのを待っ...