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[小説]微笑の暗殺者2(3)

「あっ、島崎さんっ!来て来て!!目を覚ましたわよ!!」聞き覚えのある少女の声。重たい瞼を、ゆっくりと開けると…愛らしい少女が、自分の顔を覗き込んでいるのが見える。在素である。「大丈夫?ちゃんと起きてる?」少女の後ろには、シャンゼリゼ島崎。「...
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[小説]微笑の暗殺者2(2)

「桐島さんが『某ライバル会社』に脅迫されてる!?何それっ!?」島崎の話を聞いた沙織が驚愕する。「実はですね~、全くの偶然だったんですが、この間の日曜日に桐島さんが突然実家に帰るという話を耳にした恭一郎さんが、『桐島くんは絶対お見合いに行くの...
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[小説]微笑の暗殺者2(1)

4日後。終業時間もとうに過ぎた、午後7時。N.H.Kの研究室員たちは、既に帰宅している。ただ二人、久我恭一郎と上総を残して。「桐島くん…最近随分と研究熱心じゃないか。何かあったのかい…?フフ…」色とりどりの液体と、その液体から漏れる色とりど...
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[小説]微笑の暗殺者2(プロローグ)

日曜日。普段、一人暮らしをしている桐島上総は、千葉県にある実家に、久々に帰ることになった。いつもの休日なら、自らが尊敬している、開発研究室長・久我恭一郎と共に研究に没頭したり、自宅でお菓子作りなどをして過ごしているため両親に会うのは、実に久...
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[小説]Illusion Night(後編)

数日後、午後6時。終業時間を1時間ほど過ぎた頃である。そしてまた、いつもの威勢の良い声と共に開発研究室の別館に現れる沙織。「やっほー久我さんっ!こないだの資料返しに来たよーっ!」その威勢の良い声にびくつく様に、おどおどとした感じで上総が答え...
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[小説]Illusion Night(前編)

「こんちわーーっス!久我さんいる?」突如、威勢の良い声と共に開発研究室の別館に現れたのは。同じ会社の事業企画部の蔵石沙織であった。室内に飛び込んできた沙織の顔を見るなり、桐島上総は何かを思い出したかのように、ハッとする。「あ、あれ、蔵石さん...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(終)

ハリーと眞妃の入籍の経緯はこうだった。遡ること、数日前…二人が再会し、お互いの気持ちを確かめ合ったあの日。ハリーのマンションでそのまま一夜を明かした眞妃は、彼からある提案を告げられた。「…眞妃ちゃん、ものは相談なんだけど。」「『ちゃん』はい...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(4)

2日後……会社帰り。眞妃は再び、『主の居ないマンション』へ、足を運んでいた。だが…来たところで、自分を出迎えてくれる主人は、もういない。眞妃の心の内を表すかのように、今日はものすごい土砂降りであった。(……別れた日も、確かすごい雨だったわね...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(3)

数日後の週末には、ハリーの送別会が盛大に行われた。彼の人徳もあってか、社員のほとんどが出席する大送別会となった。だが…その中に、眞妃の姿は無かった。終業後に開催されていた送別会の最中、眞妃は、皆の誘いをさらりとかわし、早々と帰宅していた。(...
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[小説]そして二度目の梅雨が来る(2)

次の日。昨日とはうって変わって、いつも通り会社へやって来た、眞妃。始業時間よりもはるかに早く会社に来るのが、本来の彼女の日常なのである。何故か日の出と共に会社へ来る中原幹雄には劣るが…眞妃は、昨日からハリーに言われた言葉を、頭の中で何度も反...