小説/本文 [小説]そして二度目の梅雨が来る(1) そんな桜の季節から、数週間が過ぎ…。6月に入ったばかりの、雨の日の朝。社内では、ハリーが会社を辞める、という噂が少なからず飛び交っていた。だがハリーは否定も肯定もせず、いつものように明るく振る舞う。そんなハリーを見るたびに、唯一事情を知って... 1992.03.23 小説/本文
小説/本文 [小説]そして二度目の梅雨が来る(プロローグ) それは、桜が満開な季節の、良い天気の午後のことだった。「…ああもう…社長も人使いが荒いなぁ……」大島 橘は、先般社長に依頼されていた書類を両腕に山ほど抱え、社長室へと向かっていた。橘は4月から、購買部の主任へと昇進したばかり。だが、昇進と言... 1992.03.22 小説/本文
小説/本文 [小説]遠い日の慟哭(終) それから…真砂の通夜、葬式を終え。すっかり小さな箱に収まってしまった真砂の前で、東堂家の親戚一同が、集まっていた。「…それにしても…『とんでもないこと』になったわね」親戚の一人が呟く。とんでもないこと。浪路はその言葉に、真砂が襲われたときに... 1992.03.20 小説/本文
小説/本文 [小説]遠い日の慟哭(2) 午後10時。「遅ぇな……真砂のヤツ……どこまで探しに行ってんだか…ったく」学校からなかなか戻らない真砂を、浪路はイライラしながら待っていた。もっとも、真砂は友人が多いので、学校帰りに友人の家によって朝帰りなんてこともざらなので、親は特に心配... 1992.03.19 小説/本文
小説/本文 [小説]遠い日の慟哭(1) 「ふーーっ!ギリギリセーフ!!!」始業のチャイムと共に、教室に飛び込む浪路。「おう浪路。今日はセーフだな!」隣の席の男子が、失笑しつつ祝福の言葉(?)を浪路に贈る。どうやら浪路は遅刻常習犯らしい。ここは、街の郊外にある、男子高校。真砂と浪路... 1992.03.18 小説/本文
小説/本文 [小説]遠い日の慟哭(プロローグ) 枯れ葉の舞う、秋の夕暮れ時。鮮やかな夕焼けが、辺り一面を。…血のように真っ赤に染めている。…ザザー……ン…波の音だけが、静かに響きわたる。誰もいない、海辺の墓地に。一人の男が、花と線香、バケツを持って墓地内をゆっくりと徘徊していた。「夕暮れ... 1992.03.17 小説/本文
小説/本文 [小説]中原幹雄誘拐事件(終) そして、数週間後。いつもの平和な日々の戻った、N.H.K。午後の中休み。システム設計部のデスクにて、幹雄が大量の便せんを読みながら、微笑んでいる。「あれー?中原さん、その大量のお手紙、何?」通りがかった愛子が、不思議そうに尋ねる。ふと、机の... 1992.03.15 小説/本文
小説/本文 [小説]中原幹雄誘拐事件(4) 山梨から車を走らせ、会社に着くとちょうど昼休みの時間だった。「あっ、中原さん!!」留守番をしていたみはるが、幹雄救出に向かった社員達が幹雄を連れて戻るのを見ると、笑顔で迎えてくれる。「よかった!無事でっ!!……あっ……でも……お花のビビアン... 1992.03.14 小説/本文
小説/本文 [小説]中原幹雄誘拐事件(3) 翌朝。結局一睡もできなかった幹雄は。布団の上であぐらをかき、ぐったりとしていた。「……やっと……朝かぁ……」寝不足でボーっとしていると、ドアをノックする音が。「…中原殿。社長がお呼びです。ご案内しますのでドアを開けさせて貰います」(社長…?... 1992.03.13 小説/本文
小説/本文 [小説]中原幹雄誘拐事件(2) 「うっ……ううっ……うっうっ……」午後7時。会社の食堂にて、女の子が一人、泣いている。みはるである。彼女も、終業時間と同時に帰ったはずなのだが、会社に人が残っていないかと、再度会社を訪れたのである。だが…カギは開いていたものの、人の気配がな... 1992.03.12 小説/本文