(経理部)
眞妃:はい、三田村さん。この書類お願いね。
ラシェル:ハイ!わかるました!
大空:ラシェルさん、わか「り」ましただよ~
ラシェル:オット、そうですたね。
大空:うーん今のも惜しい!そうで「し」たね、かな!
でも、最初のころより、変ななまりがだいぶ減ったよね~ラシェルさん!
眞妃:そうね。日本語は世界中の言語の中でも難しいほうとは聞くけど、
三田村さんの上達の速さはすごいと思うわ。
ラシェル:エヘヘ……うれしいです。ありがとうございます!
大空:う~~~~んッ♥今の言葉と笑顔がめっちゃナイスちょーキュート!
その笑顔で俺の頬をぶち叩いてくれたらもっと最高かな!
眞妃:そういうわけのわからない性癖を三田村さんに押し付けないの
(ゴスッ ←分厚いバインダーの角で殴る)
大空:ヴッ!…そうっスよね!
こういう心に響くキツいツッコミは成沢部長に勝るものはないっスもんね!
眞妃:そういう意味で言ってるんじゃないっ(二発目を振りかざす)
橘:眞妃さんそのくらいで
眞妃:っと……私もこの暴力癖を直さないと、三田村さんにパワハラだと思われるものね…(※前科あり)
ラシェル:………ンンンン~~……これは……
眞妃:どうしたの?三田村さん。
ラシェル:この書類なんでますが……先月の繰り越しの金額が……
眞妃:ああ、それはね……あらいけない、まだこれはデータ化していなかったわ。
原本が資料室の経理部の棚にあったはず……大島さん。
橘:はっ、はい。
眞妃:悪いけど、三田村さんを資料室に案内してあげてくれませんか。
彼女、まだ行ったことなかったと思いますし。
橘:……………。
眞妃:? どうしました?何か都合が悪いことでも?
橘:いっいえ!行きます!三田村さん、僕についてきてください。
ラシェル:はい!
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(長い廊下を歩く二人。橘の2メートルくらい後ろをラシェルがついて歩く)
ラシェル:(大島主任……優しくて、素敵だけど……静かな方です)
橘:………(無言で廊下を歩く)
ラシェル:(なぜ……特に、私に対して、何か、おびえてるような、そんな感じがします)
橘:………
ラシェル:(それにしても、会話がないと………って、あッ……!! あれは……!!!)
橘:(自分の後姿を凝視するラシェルに気付いているらしく、震えが止まらない)
ラシェル:(あッ……あんな、あんなモノ……ちょっ、ちょっと、ダメ…!!
何か、会話をして気を紛らわせなければ…!!!)
資料室とは、けっこう遠いのでますね~
橘:そ、そうですね…
ラシェル:(大島主任、声が震えてる…)
大島主任って、あまりお話しないのですね~
橘:そうかな?そうかも…ハハハ
ラシェル:(もしかして…気づいてる?)……私が、コワイのですか?
大島主任、最近私のこと怖がってですよね?
(……ダメ、もう、ガマンが……)
橘:そ、そんなこと……ないですよ
ラシェル:(身体がブルブルと震えだす)
……もしかして、大島主任は、見てしまったのますか…?
橘:! 見てしまった、って……?
ラシェル:だから、私のこと、逃げるですか…?(もう、ダメ………!!!!)
(ラシェルの姿が一気に薄れていく)
橘:三田村さん!ごめん!僕………
……み、三田村さん!!?? そ、その姿は………っ!!!
ラシェル:フギャァァ――――――ッ!!
(素早く橘の背後にまわってお尻に飛びかかる)
橘:!? なっ、なに!?うわっ!!
ラシェル:フニャッ、フギャッ、ニャー!!!
橘:一体なんでこんな興奮して……あ!も、もしかして……キーホルダー!?
みはるちゃんとみひろちゃんが家族旅行に行ったときに
それぞれお土産に買ってきてくれた、ピンクのファーのキーホルダー………
ラシェル:ニャ―――――― !!
橘:確かに猫が大好きそうな造形ではあるけどこれは大事な…うわっ!
(ラシェルが興奮しながらキーホルダーに爪を立てる)
痛い痛い痛い痛いって!やめてー!!
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大空:大島しゅにーん!成沢部長が早く帰って来いってイライラしてましたよ~
……って、こんなとこに猫ぉ!? どっから入ったんだー?
ラシェル:!!!!(びっくりして一瞬にして逃げる)
大空:こらー!待て待てー!! どこ行くんだー!?(猫を追いかけていく)
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(資料室にひとり取り残される橘)
橘:三田村さん………