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[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様(1)

「別にいいんじゃないの?」やや深刻そうに相談に乗ってきた夜半に対し、なんてことないと言った感じで軽く返す奈津恵。「えらくあっさり返すねぇ。本当にいいの?」「だってなくした記憶が戻るわけでしょう?こんな良いことってないじゃない。何か不都合なこ...
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[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様(プロローグ)

毎年恒例、4月の大規模人事異動を終え。国際部では、産休に入る大島椎子の穴埋めとして、多彩な言語を使いこなせることから営業部のフレスリーザ・レオンハルト……通称リーザ(様)が異動、配属された。だが。「白鳥部長、今日はDVDの白菜がペットボトル...
小説/タイトル一覧

[小説]暴君フレスリーザ ~愛を忘れた王子様

記憶を失った状態でねぎ社に拾われたという過去を持つリーザ。相変わらず日本語は覚えられず、異動した先の国際部でもそれは変わらなかった。が、リーザの新たな上司となった白鳥夜半が、彼の様子を見ているうちに彼は何らかの魔導により過去の記憶を封印され...
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[小説]最期の恋(終)

雲一つなく、厳しい太陽の光が照らす、夏空の下。会社の屋上公園のフェンスの前に、汗一つかかず涼しげにたたずんでいるのは…「白鳥部長、ここにいらっしゃったんですね。……あつく、ないんですか?」社員食堂が、珍客……赤ん坊の雪彦を前に賑わっているな...
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[小説]最期の恋(5)

”グォアアアアアア…!! ”転ばされた『雪男』は、視線を夜半に向け、怒りを露わにした。まずはお前から食ってやると言わんばかりに、抱きかかえていた恵莉を手元から落とした。「ぅお…っ!」すかさず浪路が駆け寄り、抱えて木陰へと運び出す。「…う……...
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[小説]最期の恋(4)

「おはよう」三日間、突然の欠勤をしていた夜半が国際部に顔を出した。「あら部長♪三日も休んでどうしたんです?お布団から出れなくなったんですか?」休んでいた事を特に気にもせずに椎子が問う。「いやちょっと出かけててね。これお土産」そう言って夜半が...
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[小説]最期の恋(3)

それから、雪彦は丸一日、夜半の家で眠ったあと、だいぶ回復して自力で自宅へ戻っていった。雪彦が回復して、普通に話せるようになったところで夜半は、彼が見つけたという「死なずに済む方法」とやらを訊いてみたのだが途端に顔が真っ青になって、絶対に無理...
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[小説]最期の恋(2)

それから3ヶ月の時が過ぎた。雪彦と恵莉が付き合っている、という噂は瞬く間に広まり、気が付くと二人は既に公認のカップルになっていた。部署も違い、普段いるフロアも全く違う二人は、昼休みは屋上公園で一緒にお弁当を食べ、帰りはお互い残業がなければデ...
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[小説]最期の恋(1)

それから一ヶ月後。「……突然、呼び出したりしてしまって、すいません」「突然でもないだろう。1週間くらい前から約束してたんだから」午後7時。日は沈んだものの、西の空には赤紫色した夕焼けが、薄気味悪く残っていた。東の空には、そんな不気味さをかき...
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[小説]最期の恋(プロローグ)

「すいません……突然、呼び出したりして…」3月28日、快晴の昼下がり。会社の近くの公園の、満開の桜並木の下に。見なれない組み合わせの男女が一組、たたずんでいた。烏丸雪彦と……長谷川恵莉。「いいえ…そんなに、きにしないでください。」気まずそう...