(夜、湧木の親戚が経営する民宿の庭)
アラウネ:海、最高に楽しかったです♥
なんだか何人もの男の人にしつこく声かけられましたが…
適当に蹴散らしておきました♥
湧木:アラウネねーさんが男引き付けるのは想定内だけど、
どう蹴散らしたのか気になるけど気にしないでおくっスね…
初南賛:うう…全身ヒリヒリ痛い…日焼け止め足りなかったかな…
次郎:そういう時はキュウリを薄く輪切りにして貼るとイイらしいっス!!!
(キュウリを差し出す)
初南賛:あの、これから肝試しするのにキュウリ顔に貼りながら参加しろと…?
湧木:ってなワケでハイ!これから
第1回わけぎ親睦旅行肝試したいかーい!
2人1組ずつペアになって、決められたルートを歩いてもらいまーす!
クリス:湧木サン、そういえばここの近所に心霊スポットがあるとか?
湧木:そーそー!近所に洞窟があって、そこをくぐっていった先に折り返しチェックポイントがあるんで、そこに置いてあるアイテムをひとつ取ってここに帰ってくればOK!
杏寿:……洞窟……それって、「ただの」洞窟なんですよね……?
湧木:表向きはね!でも戦時中の防空壕跡って話で、そこに戦死した兵士の霊が出るとか。
あとは昔そこで心中した男女がいるとかなんとかいうウワサも…
杏寿:(((((((( ;゚Д゚))))))))
リーザ:大丈夫です!何があっても僕が杏寿さんを守りますんで^^
湧木:リーザ様、杏寿ちゃんと組む気満々で申し訳ないっスがペアはくじ引きで決めるっスよ。
リーザ:ガ━━━(;゚Д゚)━━━ン!!
湧木:とゆーわけで!このくじを一人一本ずつ引いて―。同じ色のくじ同士がペアね!
んじゃー、並んで並んで!あ、その前に…全員いるのかな?点呼しよう!
適当に番号言うんで続いて言って!「1」!
アラウネ:えっと、「2」!
クリス:「3」!
次郎:「4」ッス!!!!
幹雄:「5」
杏寿:ろ、「6」
リーザ:「7」
初南賛:「8」…
氷雨:……………「9」、、って、あの、
点呼中申し訳ないのですがっっ……
湧木:どしたん?氷雨ちゃん。
氷雨:しん…………白鳥さんが、いないです。昼間から。
湧木:あっれ~?そういやそうだなぁ。夕飯ときもそういえば居なかった。
初南賛:僕もその時点では気づいてたけど、白鳥部長はバーベキューとか元々食べないのかなって…あまり気にしてませんでした…
幹雄:白鳥部長のことですから、部屋で寝ているのかも。
まぁ、気にしなくてもいいんじゃないでしょうか。あの人無敵ですし。
初南賛:(さすが直属の部下……慣れてる……)
アラウネ:そうですよ♥ 夜半様はたとえ天地がひっくり返るような大惨事が起きても生き残れるお方ですから♥
湧木:楽しい旅行中にそういうことは起きてほしくないかなー!?
んじゃ、9人か~。人数半端になっちゃうな。僕は慣れてるし残るかな?
氷雨:あ、私はひとりでいいです。というか、ひとりがいいです。
湧木:∑(゚Д゚)えっ!慣れない土地で暗くて怖い道のりをひとりでとか大丈夫なの!?
氷雨:ちゃんと道は教えてくださるんですよね?暗い場所なら、私は夜目が利くので平気ですし
私は強い雪女族です。多少のアクシデントには対処できますから!
湧木:う~~~ん……でも女の子をひとりで歩かせるのもなぁ……
初南賛:朝霧さんのことだから、男の人と二人きりでペアになったりしたら嫌なんじゃないですか。好きにさせていいと思いますよ。
氷雨:西城寺くんは話が早くて助かります。
湧木:ん~、そこまで言うなら…。何かあったら、すぐ僕の携帯に連絡くださいっスね?
じゃ、残りの人たちはくじ引いて~。
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【くじ結果】
湧木:人数の都合上、男男ペアが1組できちゃうのは仕方ないにしても…
見事うまい具合に男女ペアができたっスね~!
白鳥ぶちょーがいれば氷雨ちゃんにも入ってもらってもう一組できたけど…
もしくは僕抜けてクリスちゃんと組む?氷雨ちゃ
氷雨:だから私のことは気にしなくて大丈夫ですってば!
なんならトップバッターでスタートしますけど?(睨む)
湧木:うわんそんな怒んないで~(;ω;)
出発順もくじ引きで決めるよぉ。
【出発順】
桃 → 緑 → 黄 → 赤 → 青
氷雨:結局私が最初でしたね。目的地までの簡単な地図はもらいましたし…
それじゃ、行ってきます。(速足でスタートする)
(氷雨がいなくなってから)
湧木:なんだかんだ、ほぼ駆け足で行ったとこを見るとやっぱ怖かったのかな?
ホントに大丈夫なんだろうか…。
初南賛:いや…あれはそういうのじゃないとは思いますけどね…。
朝霧さん、元々は山奥に住む妖怪なわけですし。この程度、遊びにもならないんじゃないですかね。
湧木:ならいいんだけど…
ま、何事もなければ一周20分程度の距離だから、10分経ったら次のチーム出発して~!
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氷雨:………ふぅ………。やっと、ひとりになれた。
こんな浜辺の小さな町、雪女族の村に比べたら都会な方だし……何が怖いのか。
それにしても……真祖、どこに行っちゃったんだろう…。
???:………………
氷雨:……そっか、私、ひとりじゃなかったですよね。
………さんが、ここにいるんですから。
じゃあ、さっさと目的地に行きますか、………さん。
(つづく)