[NEWS]夏のわけぎ親睦旅行・15 最終日

○刊ねぎ秘密結社ニュース

(――――― そんなわけで旅行最終日、午後)

 

湧木:さてー、み~んな揃ってるかなぁ~?

一同:は―――――い

湧木:・・・・・・・・

 

 

湧木:なんか…………多くね? 増えてね????

司:そーかー?最初からこの人数だったろ?

大空:そーだよー!俺も最初っからいたし!

湧木:幽霊のふるやんはともかく青木っちゃんは最初居なかった!絶対!!

大空:いやー居たんだな~それが!な!氷雨ちゃん!

氷雨:あ、は、はい。居ました。実は青木さんは……

大空: ちっちっちっ、違うよ?氷雨ちゃん?

氷雨:!! あ、あお……じゃなかった…………ひろしさんは最初から実は居たんです。
本当は旅行に参加したかったんですけど、メンテと重なってしまって行けなくなったと決まった時、
久我室長に私のこの腕時計とひろしさんの頭脳とつないでもらって、私の見てる景色と音声を共有できるように…

湧木:まさかのオンライン参加!? ってかさっきから氷雨ちゃんもにょもにょと何言ってるかわかんないんだけど

大空:あはは~、俺がついこないだの誕生日(7月27日)、誕生日プレゼント何がいい?ってきかれたから
「これからは名前で呼んでほしい!」って頼んだのを頑張って実行してもらってるからな!

氷雨:は、恥ずかしくて……まともに呼べてなくてすいません……ひろしさん

湧木:ああそう……(ただのノロケだったわ…)

アラウネ:そういえば、夜半様はやっぱり無事だったのですね~
うっかり亡くなってしまわれてたかと思いましたが、やはりそんなことはなかったですね

閣下:このバケモノ魔導師がうっかりで死ぬわけがなかろう。そもそも不死身のはずだが。

アラウネ:え~でも、閣下様と肝試し中に、夜半様の幽霊を見た気がしたので、私すっっっっっごくビックリしたのですよ~

閣下:……………あぁ、もしやあの時の異様な表情はそのせいであったのか。
死神でも見間違いすることなどあるのだな。

夜半:……………

奈津恵:(本人だったでしょうね………)

湧木:で。結局白鳥ぶちょーは丸一日以上もどこ行ってたんスか?

夜半:……………

奈津恵:(言いにくいでしょうね……)

夜半:………洞窟が、涼しかったから………

奈津恵:??

夜半:暑い真っ昼間に砂浜にいるのもしんどくて、涼を求めて散歩してたら涼し気な洞窟を見つけたから、寝てたんだよ。

湧木:あははは、やっぱ予想してた通りか~w

夜半:そしたら寝てる間に海が満潮を迎えて洞窟が水没して、気づいたら溺れ死んでた。

湧木:えwwwwwww

夜半:元に戻るのに時間かかっちゃって。心配かけてごめんね。

閣下:アホか!! 何をほざくかと思えば……
世界最強級の魔導師がそんな下らんことで死ぬわけがなかろう!!!
もう少しリアリティのある嘘をつけ!

幹雄:そうですよ~。部長がまさか溺れて死ぬなんて、ありえないでしょう。

大空:えー?でもあれって……

氷雨:えっ……でも真祖……白鳥部長……?

夜半:(二人に向けて無言で口に人差し指で「しーっ」の仕草)

氷雨:……!(なるほど、人魚の存在を知らしめて人間たちを混乱させないための嘘なのですね。
真祖にも手に負えない…かもしれない妖が、人間たちにどうこうできるわけもないですしね…さすがです)

夜半:俺はただボケ―っと生きてる年寄りだからね。そういうこともあるよ。

湧木:まー、丸一日以上寝てても帰りの車には間に合ったし、いいんじゃないかな~?
とりま、全員無事にそろったし、車乗って帰ろ~!

初南賛:はぁ……また運転か……泉さん、よろしくお願いいたします。

次郎:家に着くまでが旅行ッスからね!気を抜かず運転するッスよ!

司:あ、レイレイどうしよ?なんか粘ってあの洞窟に居座ってるみたいだけど。

閣下:なんだその洞窟は。吸血鬼にとってそれほどにまで居心地が良いのか。
まあ、魔導の使える吸血鬼なのだろう?放っておいても自分で帰るのではないか?

初南賛:あっ……あのっ!

湧木:なに?西城寺くん。

初南賛:言いにくいんですけど……レンタカーは10人乗りなので……全員は乗れないんですけど……

湧木:あっ、そうか!まー青木っちゃんは荷台でいいとしてー…

大空:荷台かよぉ!

奈津恵:あ、私は結構です。後から飛び入りしたし、自分で電車で帰るので。

夜半:じゃあ俺も奈津恵ちゃんと帰るよ。それなら車も全員乗れるでしょ。青木くんも座席に座れるし。

大空:えっいいの!

夜半:女の子をひとりで電車で帰らせるのも心配だしね。

 

 

 

 

 

 

(団体と別れて、帰りの電車の中 ※夜半のおごりでグリーン席

 

奈津恵:ねえ、みんなに説明した、一日行方をくらました理由……

夜半:うん?

奈津恵:あれ全部真実でしょう?

夜半:そうだよ。みんな勝手に嘘にしてくれたけど。

奈津恵:じゃあ、人魚なんていなかったのね。
海から引き揚げたときにそう言えばよかったのに。

夜半:だって、身体バラバラになってたのがいきなりキュッと再生させられて、
すぐ思考がはっきりするわけないでしょ。さすがにしんどかったんだよ。

奈津恵:ふ~ん。そういうものなのね。
でも、みんな信じてなかったし一部は人魚のせいとか思ってるわよ?

夜半:まあ思わせておけばいいよ。
人魚のせいと思ってる子たちも、俺が敵わなかったかもしれない相手に何かしようとは思わないだろうし。

奈津恵:何かしようと思ってる人、いるじゃないどうするのよあれ・・は。

夜半:………放っておけばいいんじゃない?
しばらく周りうろつかれなくなるだろうから、こっちとしては都合がいいくらいだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(旅行が終わって数か月………夜半が溺れた洞窟にて)

 

レイン:くぅ………っ……人魚め……いつになったら姿を現すのだ……!!!
さすがにちょっとしんどいのだが……!?

 

夏のわけぎ親睦旅行

~ 完 ~

 

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