(緑チームが出発してしばらくした後、追って出発した黄チームの二人)
初南賛:あ、よろしくお願いします。
杏寿:こっ、こちらこそよろしくお願いします…
初南賛:じゃあ、行きましょうか。
杏寿:は、はい。
初南賛:…………
杏寿:…………
(しばらくお互い無言で歩く)
初南賛:…………
杏寿:(……困ったわ……同じ寮に住んでるとはいえ、この人と話したこと、ないのよね…)
初南賛:……足元
杏寿:はっ、ひゃい!?
初南賛:砂利道ですし、下駄だとつまづきやすいと思うので気を付けてください。
杏寿:はい……(びっくりして変な声出しちゃった……)
……きゃっ!?
(言われたそばからコケる杏寿。尻もちをついてしまう)
杏寿:い……痛たたた……
初南賛:だ、大丈夫ですか?
杏寿:あ……はい、ちょっと、よろけただけなので怪我とかはしてないです……
(慌てて立ち上がり、浴衣についた砂をはたいて落とす)
初南賛:仕方ないですね。街灯もなくて足元おぼつかないですし、手、どうぞ。(手を差し出す)
杏寿:………?(なんで?という顔)
初南賛:まだスタートして数メートルなのに、その調子じゃこの道を安全に完走できると思えませんし、僕が手を引きますんで。
杏寿:え、えぇぇっ!? そ、そんな、いいですよ!! こんなことくらいで……
初南賛:転んでからじゃ遅いですし、仮に転んで歩けなくなったとしても、僕腕力ないんで抱えて歩くのも厳しいので、僕を助けるためと思って、繋いでもらえますか。あと変な下心とかも一切ないので。
杏寿:(そう淡々と言われると本当に下心なんてないんだなって、わかるけど……なんか……)
は、はい……わかりました。お願いします。
(しばらく無言で歩き続ける二人)
杏寿:(……にしても、会話、ない、なあ……気まずい……早く宿に戻りたい……)
初南賛:すいません、僕なんかと一緒で。早く帰りたいですよね。
杏寿:あひぇっ!?(そんな気まずそうな顔してた…!?)
そんなこと!こちらこそこんなどんくさくて面白くない女が相手で……
初南賛:少なくとも僕よりは面白くない、なんてことはないですよ。
声かけるたびに変な声出すの、ちょっと可愛くて面白いですよね。
杏寿:ぴゃぁっ!?(←これのこと)
だっ、だってなんかビックリするとついなんというか変な音というか声というかっ
初南賛:特別、海が好きってわけでもないし、梧さんや宮川さんみたいに欠席しようかとも思ったんですけどね…
お盆時期は、ちょっと実家には帰りたくないというか、帰りにくくて。
杏寿:帰りにくい、ですか……どうして、……なんて、訊いちゃだめですよね……
初南賛:いや別に。単に、母が再婚したばかりで新婚なので、居づらいだけですよ。
相手の方と年甲斐もなく、ものすごく仲が良いので。
杏寿:あ、あはは……なるほど。そうだったんですね。
初南賛:かと言って、京都の実家に帰ると……いえ、そっちのことはいいか……
杏寿:ご実家……京都なんですか?
初南賛:はい。小学生のとき一時だけ上京してたことはありましたけど、
生まれてから高校卒業までずっと京都住まいでしたよ。
杏寿:わぁ…京都、いいですね。私、和風のもの大好きなので憧れます。
初南賛:そういえば、今日に限らず、よくお休みの日に和服着ていますよね。
着付けもしっかりできて、よくお似合いです。
杏寿:ぅひぇっ、そ、そんなこと……で、でも、ありがとうございます……
初南賛:あ、洞窟、見えてきましたね。この先にチェックポイントがあるはず…
(洞窟を通過)
初南賛:薄暗くてジメっとしてたけど、特に何もなかったな…
杏寿:洞窟の中だけひんやりとしていて、ちょっと気味が悪かった……かな
初南賛:洞窟の中でだけ、手を握る力が強かったですよね。やっぱり怖かったですか。
杏寿:ひょあ!? すいませんっっ!……でも、一緒だったから怖くなかった…です
初南賛:洞窟の先は断崖絶壁みたいですね。海が月に照らされて、すごく綺麗。
杏寿:本当だ……洞窟の中とはうって変わって気持ちいい風……(崖淵に歩み寄ろうとする)あっ、
初南賛:危ない!
(崖淵の小石に躓きよろけそうになった杏寿の腕を強く引っ張る)
初南賛:……はぁ、はぁ……あそこで派手に転んで転落でもしたら、ここの幽霊の仲間入りですよ……
杏寿:ご、ごめんなさい……海の綺麗さに目が行ってしまい、つい足元おろそかに……
初南賛:あんまり遅くなるとみんなに心配かけますし、先に進みましょう。
しっかり、捕まっててくださいね。
杏寿:は、はい…
(すごい力……私より確かずっと年下なのに、たくましい腕……何か、ドキドキする……)
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アラウネ:あっ、黄色チームさん達が帰ってきました♥おかえりなさ~い♥
リーザ:あっ、杏寿さん…………んんん!!??
(手を繋いでいる初南賛と杏寿を見て、顔面蒼白)
初南賛:(何かを察して杏寿から手を離す)あ、これは真北さんが下駄で砂利道を歩くのが危なかったので、転倒防止のために繋いでいただけです。
お疲れさまでした、真北さん。退屈させてしまってすいませんでした。
杏寿:いえ……とても、頼もしかったです。西城寺さん。ありがとうございました……(顔真っ赤)
リーザ:(な、なななななんだか、いい雰囲気……ですね!!???)
杏寿:また、今度は京都のお話とか、聞かせてください。
初南賛:まあ…地元の他愛ない話とかで良ければ、いつでも。
杏寿:はい……(真っ赤)
リーザ:(杏寿さん―――――― !!??)
………………………
閣下:はっ!?
なんだ!? 何なのだ!? 奴め、勝手に入れ替わってなんだかイジけておるぞ!?
おい!貴様!! 吾輩は今回は関与せぬと言ったであろうが!!
アラウネ:あら♥ リーザ様はお休みになられてしまったのですね♥
閣下:ぐぬぬぬぬ……この旅行は地味女と仲を深めたいから参加させてくれと言ってきたのは奴の方なのに……
…そもそも地味女!貴様があいつの相手をしないからこのようなことにだな!!!
杏寿:ぴぇぁ!? 何故私が!?
初南賛:なんとなく言いたいことはわかりますが、くじ引きなんですから仕方ないじゃないですか……
(あと、もっと言えばレオンハルトさんと真北さんは付き合ってもないし……言ったら怒りそうだから言わないけど。。)