(アラウネ&リーザ様のペアだったが、直前にリーザ様がチェンジして閣下になった青チーム)
閣下:……ふん、下らんな。何を好き好んで人気の無い深夜の田舎を歩くのか…
アラウネ:あらあら、いつの間にフレスリーザ様から閣下様にお代わりになられたのですか?
閣下:知るか。あいつが勝手に凹んで引っ込んだだけだ。戦いもせずに泣き寝入るとは情けない。
アラウネ:まあ~、どうなされたのですかね、フレスリーザ様♥
閣下:………
アラウネ:それじゃ行きましょうか♥
(しばらく歩く)
閣下:肝試しというのは、心霊現象などが起こりそうな鬱々とした場所を歩き回って恐怖に耐えるという下らない遊びなのだろう?
……貴様は死神だったな。霊を取り扱う貴様にとってはそれこそ馬鹿馬鹿しいことではないか?
アラウネ:そうですね♥ 私は、心霊スポットなどに赴かなくても、日常生活でどんな霊でも視認できます♥ なので、何が目の前に現れようと驚くことはありません♥
閣下:歩いているうちに、その心霊スポットと言われている洞窟前まで来たが、何か居るのか?
アラウネ:そうですね~~~…… 特にこれといった……
閣下:何も居ないのか。
アラウネ:いえ、居ますけど♥
閣下:居るんかい!
アラウネ:私にとって、霊は常にそこかしこに見えてしまうものなので……特別恐怖も感じることはできないのですよね~♥
閣下:まあそうであろうな。ならばなぜこのような下らない遊びに付き合っておるのだ?
アラウネ:そんな、「私は霊は怖くないので参加しません」なんて、空気の読めないことを言って場の雰囲気を壊したくはありませんし♥
閣下:ふん、まあいい。
アラウネ:フレスリーザ閣下様は、怖くないのですか?
閣下:怖いわけがなかろう。吾輩にとっては心霊なんぞよりも、生きている人間の方が余程恐ろしいがな。
生まれてから今まで、吾輩の持つ王位継承権を狙う輩に何度命を狙われたことか。
アラウネ:そうだったのですね~
とりあえず、「色んな方々」がここにはいらっしゃいますけど、危害を加えてくるような恐ろしい方は居ませんので……
(一瞬だけ、ある方向を見て硬直するアラウネ。表情が凍っている)
アラウネ:……先に進みましょうか♥
閣下:…………
アラウネ:私たちが最後のペアですし、早く帰って皆さんと合流しましょう♥
閣下:…………貴様、今、何を見た?
アラウネ:え、なんでしょう?
閣下:吾輩が見逃すとでも思ったか。常に胡散臭い営業みたいな笑みを絶やさぬ貴様から、一瞬だけ笑みが消え、この世の最後でも見たかのような顔つきになっておったぞ。
アラウネ:そんな~、気のせいですよ♥ 私に、怖い幽霊なんていませんから♥
閣下:……そうか、怖い幽霊を見たのだな。
アラウネ:??
閣下:吾輩は「何を」見た?としか訊いていない。それは霊かもしれないし、謎の天体現象かもしれないし、夜行性の動物などかもしれない。
それをわざわざ「幽霊」と言い切るとは……死神の貴様でも驚愕するような悪霊がここにいるということではないか?
アラウネ:悪霊だなんて! 仮にそんなものが居たらちゃんと教えますし♥
閣下:喋りたくないのであれば、それでも良い。………ならば力ずくで口を割らせるのみ。
貴様は死神でもかなりの実力者だとあの男から聞いたことがある。一度手合わせしてみたいと思っておったのだ。
アラウネ:か、閣下様~??
べ、別にここに何が居ようと、そこまで特に気にすることでもないのでは…?
閣下:そう、何が居ようと吾輩には関係のないこと……だが……手合わせしてみたかったのは本当だが、それとは別に以前から考えていた。
吾輩は死神である貴様にはどうしても訊きたいことがある。しかしそれは恐らく生きた人間には伝えてはならない情報……
アラウネ:…………?
閣下:吾輩が貴様に勝ったら、それを教えてもらおう!さあ覚悟しろ!(魔導波を撃つ)
アラウネ:えぇぇ~~!? なんで戦わなければならないのですか~!? もぉ~~~~っ><
”ドドォ――――――ン !!”
(宿で待機する社員寮メンバーたち)
初南賛:なんか……洞窟のある方向から花火みたいな音がするんですけど……
次郎:花火でもやってるんじゃないッスかねえ?
(再び洞窟前)
アラウネ:気が済みましたか?閣下様♥
閣下:……お、おのれ……やはり話に聞いていた通り一筋縄では行かないようだ…な……(ボロボロ)
アラウネ:というか、質問がなんなのかも教えてくれないまま襲ってくるなんて、紳士的ではありませんね♥
もしかしたら簡単にお教えできることかもしれないじゃないですか♥
閣下:……だ、だが……特定の人間が生きているか死んでいるかを無闇に教えるものではないのではないか…?
アラウネ:私のわかる範囲であればお教えできますけど?
閣下:な……んだと……
アラウネ:お教えできないのは、その人の正確な残りの寿命や、お亡くなりになる時期、場所など。人間の力では知りえない情報です。
単に人の生死だけであれば、死神に聞かずとも、人間界の調査機関などに依頼すればわかる情報ですし、支障はございません♥
閣下:そうか……そうなのか……。
アラウネ:どなたかの生死を確認したいのですか?
閣下:…………吾輩の…………
アラウネ:わがはいの?
閣下:……妻、は、本当は生きているのではないか……と……
アラウネ:閣下様の奥様……パノス様のお母様ということでよろしいのでしょうか?
確かに、亡くなられたとはお聞きしておりますが。
閣下:だが吾輩はあやつの死体を見たわけではない。かと言って、母親が死んだと告げてきた息子に、
どんな死に方をしたとか、死体はどんな状態だったとか、あの幼子に説明させるのは酷だと思い……。
アラウネ:…わかりました。では死者の世界のデータベースから、奥様のお名前があるかどうか捜してみますので、お返事は後日ということでよろしいでしょうか?
閣下:ああ……
アラウネ:……それにしても、やはり閣下様はお優しい方なのですね♥
閣下:……!!! うううううう五月蠅い!!! だから普通には言い出しにくかったのだ!!!!
アラウネ:勝負を挑んで勝てば、勢いで訊けそうですものね~(^o^)♥
閣下:だっ黙れ―――――― !!!!!
アラウネ:(さっき見たものに関しては、もう忘れていただけたようですね。
……そう、「あんなもの」……居るはずがないのですから。きっと、私の見間違いです。)
(注)閣下とパノスの母親は正式に結婚はしていませんが、閣下の祖国の王家では王の子供を産んだ女性は妻とみなされます。