(盆休み、瀬上家)
奈津恵:毎日暑いわね~
大空:そうだね~~奈津恵おばさ~~~ん……
勇希(奈津恵の長男):わー!ろぼっとろぼっと~ いけーっライダーキーック!
颯真(奈津恵の次男):キャッキャッ ろぼろぼ~
大空:俺踏まれるのは嫌いじゃないけどできればきれーでかっこいいお姉さんとかのが好きかな~~せめて起き上がらせてくれないかな~~な~~~~~
奈津恵:何よ。子どもたちと遊んでくれるって言ったじゃない。
そのままでも楽しいみたいだから変に動くより楽じゃないの?
大空:まあそうなんだけどさ~~……子どもに顔踏ませたり蹴らせたりするのって情操教育的にどーなのかなぁ~と…
あ~~俺も氷雨ちゃんたちと一緒に今日からの社員寮旅行ついていきたかったぁ~~!
父ちゃんが盆休み利用して久我さんに大規模メンテ頼むとか言い出さなければ……
代替ボディ(この時に出てきたのと同じやつ)じゃろくな行動できないしな~
奈津恵:社員寮旅行?そんなのあったのね。会社に何の報告もなかったけど…
大空:なんでも、レンタカー代だの宿代だのは湧木さんのポケットマネーから出すとかで
個人的な土産代を負担するだけで格安で行けて、会社には一切負担かけないから特に報告してないって言ってたな~
奈津恵:ふ~ん………誰が参加しているの?
大空:えーっと、紅葉と、大島 梧くんと、なんか最近入った金髪のあんちゃん……ああ、本城さんだ。その3人以外。
奈津恵:欠席者から数えないでちょうだい。
それにしても、結構な大所帯で行ったのね。………白鳥君も………
大空:え?白鳥部長?行ってるけどなんか気になることでもあんの?
奈津恵:……ただの杞憂であればいいんだけど……なんというか、心がざわつくというか、胸騒ぎがするというか。なんだか落ち着かないんだけど、それがどうしてもあの人のせいな気がしてならないのよね…
大空:なんなんその根拠ない心配みたいなの。前から思ってたけどおばさんと白鳥部長って仲いいよね。不倫でもしてるの?
奈津恵:バカ、冗談じゃないわ。彼とは古い友人で気が置けないってだけでそういう如何わしい間柄じゃないわよ。
大空:ま~おばさんは良識から外れたことは大嫌いだからそういうのはないとは思ってたけどさ~
……でもなんか、ただの友達にしては結構、部長のこと気にし過ぎじゃない?
奈津恵:まぁね…その自覚はあるけど、それにはちょっと面倒くさい理由があるのよね…
大空:へえぇ、どんなどんな?
奈津恵:大学時代、白鳥君とは同じ大学のサークルで出会ったわけだけど。
サークルの合宿で、私が死にかけたことがあったのよ。
大空:合宿で死にかけ……って!? なんのサークル!?
奈津恵:歴史研究会。その活動の一環として、古墳や遺跡を見に行ったりして。
まあちょっと危険な場所に行ったりもしたわけよ。
その時に事故で大怪我して死にかけた時に助けてくれたのが、吸血鬼の彼の「契約」よ。
大空:あー、ふるやん先輩から聞いたことあるなあ。吸血鬼と契約すると人間にバフかかるんでしょ?でも代償として血をあげ続けないといけないらしーけど。
【 吸血鬼と人間の契約について 】
奈津恵:バフ……まあものは言いようね……
まぁ、そのおかげで私は一命を取り留めたんだけど、契約してると、大空の言う通り色々面倒くさいじゃない。その後、今の旦那と付き合い始めたし、それなのに他の男に首筋噛ませるとか問題でしょ。
だから、大学卒業と同時に契約破棄してもらった………はず。
大空:はず??
奈津恵:契約破棄したからこそ、彼に血を与え続けなくても私は苦しい思いしたりしないし、特別な力を持ったりもしない。
けど、時々ゾワゾワするというか、まだ彼と感覚を共有し続けているような感じがするのよね…。
もしかしたら、完全に契約破棄しているわけじゃないのかもしれない。
大空:ふ~ん。そういやあ、ふるやん先輩も死んで契約とか関係なくなったはずなのに、なんかまだ契約してる感じする~みたいなこと言ってたな~
それと似たような感じ??
奈津恵:……………
大空:……………
奈津恵:(顔がみるみる真っ青になる)
大空:ん?おばさんどした?なんか顔青いよ??
奈津恵:……何か、急に悪寒が……
大空:えええええ(汗)それさっき言ってた胸騒ぎとかざわつきとか白鳥部長とか関係なしにただ体調悪かっただけなんじゃ!?
どーしよーどーしよー!おじさん(奈津恵の夫)は仕事でいないし、っつーか俺自力で立ち上がれないし!!!
お、おい勇希!ひろしお兄ちゃんを起こしてくれぇ!
勇希:はぁーい!……うううう~~~~ん………(重すぎて子どもの力ではびくともしない)
うわ~~~~ん!おもいよぉ~~~!!!!(爆泣)
颯真:うあああああ~~~~~ん!!!!(連鎖で爆泣)
奈津恵:(頭を抱えて伏せってぐったりしている)
大空:うわぁぁぁん俺も泣きて――――――!!!!
(その後、大空に搭載されていたSNSアプリで沙織に連絡してなんとか事なきを得る)
沙織:なにやってんの君ら。うちも赤んぼいるから大変なんだがー!?
奈津恵:ごめん沙織……すごく助かったわ……
大空:(ちゃんと立ち上がらせてもらった)
いや~俺も助かったよ沙織姉ちゃん!ってか奈津恵おばさん顔色戻ったね。
奈津恵:そうね……今は何事もなかったかのように、なんともないわ…
ただの貧血?でも貧血起こすような原因も思い当たらないけど…
沙織:う~ん、疲れてるんかね?ちょっと心配だから今日はあたし泊まってくよ。
ダンナさん今夜も仕事っしょ?ウチはカズくんに娘任せておけばなんとかなるから!
大空:え~、今赤ちゃんいるから大変とか言ってたのに大丈夫?俺がおばさん家に残れば…
沙織:お前そんなレゴみたいな身体で姉貴の世話ができるとでも思ってんのか?泊まるのは構わんがお前は子どもらのおもちゃでもやってろ!
大空:ガ━━━(;゚Д゚)━━━ン!! ま……まぁいいけど……